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異世界へと中二病患者が参る  作者: HH
お前は何しに異世界へ
2/10

異世界の初仕事って大概これでしょ

ありきたりな異世界生活

(あ、この仮面カッコイイ、後で買おう……)

 


 真っ白な面に気味の悪い笑みを浮かべた面。まさに俺の為に用意されたと言っても、過言ではないだろう。俺はすぐに視線をギルドの方へと移し、歩幅を大きくした。

 ギルドへ着くと、早々に感動に包まれた。まるで俺の為に用意されたかのような、そんな施設だった。まず、剣士のような者居た。魔術師のような者が居た。槍使いのような者も居た。怪しげな男も居た。

 だが、俺程の存在はどうやら居ないようだ。まあそれは当たり前だろう。真に選ばれし者である俺に勝てるのは、俺以外に居ない……孤独なのさ、結局。



「おい」



 短く呼ぶと、ギルドの受付は即座に動き、こちらに来てくれる。どうやらそこそこ教育が行き届いてるようだ。あまりに迅速すぎて、少し驚いているぐらいだ。



「なんでしょうか?」

「依頼を受けたいんだが、どうしたらいいんだ?」

「えぇと、初めての方でしたら、まずはご説明をさせていただいてるのですが」

「手短にな」

(なんで、ここまで偉そうなんだろう……)



 俺が待っていると、説明をする。どうやら、ランクによって難易度というのが、変わっているらしく、最も簡単なので、Gクラス。最も難しいのがXクラスなんだそうだ。順で説明すると、G・F・E・D・C・B・A・S・Xという感じだ。Xともなれば、討伐によっては、人外クラスの人間を用意しなくてはならないんだとか、あなたでは不可能だとか言われたが、俺もさすがにいきなりXなど選ぶようなアホではない。そもそも俺の力は一目に触れないようにしなくてはならないからな、だがずっとそうできるかは不明だが。



(……さて、まずは……Dのワイバーンを一体討伐……これで良いか)



 紙を剥がし、それを受付へ、受付がそれを確認すると、受理してもらい。証拠としてどこかしらの部分を持ってきてくれと頼まれた、主に歯が良いだとか、材料になるので、皮の部分も申し分ないらしいので、皮と歯を持ってくる事にした。

 ワイバーンはここから少し離れた山奥に生息しているらしく、普段は空を飛ぶ竜とされ、危険度は高いが、そこそこの実力者ならば、問題なく狩る事ができるらしいし、群れでの移動が無いので、囲まれる心配が無いから逃げるのも容易だとか。



(逃げるなど、あり得ないがな)



 俺がコートをはためかせ、山奥へと向かった。模擬刀はどうやら神様の手によって最上級へと変化しているようで、これを使えばいいだろうし、さてまずは山奥へと行くか。







●●●●●






「ハァ、ハァ、ハァ……」



 山奥へ進む事、感覚的には30分。一向に姿を現さないワイバーン。一応姿は絵で描かれていたので、問題は無いと思ったのだが、それ以上に遭遇率が低すぎる。こんな山奥まで足を運んだというのに、どういう事だ……まったく。はっ! 俺の真の実力に気付き、恐れ戦いている!? そうか、さすがに野生の勘というヤツで気付いてしまったというのか。



「……ッ!」



 ワイバーンが現れたようだ。俺の目の前に今、まったくイラストと同じ怪物が迫っている。さ、さすがの俺でもどうやら少しばかり動揺して……いない、そんなはずがない。



「か、かかってこい……」



 こ、声が震えてなどないぞ。俺は――俺は! 森の中で迫り来るワイバーンを俺は持っていた刀を使って、一刀両断しようとするが、その前にワイバーンが天めがけて、羽ばたく。そして、そのまま口を上げたと思ったら、すぐさま下に向き、炎のブレスを放ってきた。ここは森だ。そんな真似をしたら、この森が焼け野原になるかもしれないし、そもそも自分の命が危ないと思い、俺はとっさに叫んだ。



「水の加護を得し精霊よ、俺に力を――『アクア』」



 その衝撃はすべてを飲み込む――とまではいかなかった。その濁流は水道を勢い良く捻った時のような威力で、正直に言えば、まったく役に立たず、俺はその時程、憤怒した事は無い。



(ぐっ、封印されている力が――いや、そ、それより今は――)



 とっさに刀を構え、大きくジャンプする。その速度は思ってたよりも遥かに凄まじく、一気にワイバーンまで届く事ができた。どうやら身体能力をあげてもらう事により、そこそこの跳躍力を手に入れていたようだ、というかこれで一般市民と同じなのか、化け物だな。



「さらばだ。我が宿敵よ……『ソード・オブ・ジ・エンド』」



 ばっさりと切り裂く。俺の必殺技『ソード・オブ・ジ・エンド』により、ワイバーンは真っ二つになった。その一撃はまさに究極の一撃とも称しても良い一撃だった。俺の一撃により完全に息絶えたワイバーンの歯を抜き取り、皮の取り方はいまいちわからなかったが、適当にやった。






●●●●●





 俺がギルドで依頼を完了させ、報酬を貰った。25000ロアだ。どうやらここは1ロアが俺達の世界の1円と同じ価値のようだ。つまり、あれだけの激戦を超えた俺の報酬がたった25000円という訳だ。かなり割りに合わない仕事だ。



「……ん? なんだ。あの群がり……?」



 群がりの中心を見てみると、そこには金色に輝く髪に、イケメンフェイス。そして豪奢な鎧にマントという仕様の装備一式を身に纏っている男とその後ろに従えている女二人――茶色い髪の元気そうな少女に紫髪の少しだけ眠そうな瞳をした少女。



(何だ? なぜ、アイツに群がっているのだ?)



 俺がそんな事を思っていると、回答は思ったよりも早く来た。



「おい、あれが聖剣に選ばれた勇者様ってヤツだろ?」

「あぁ、らしいな。すっげぇな。あの後ろの子も結構な腕前なのかな?」

「バッカ、お前。んなの勇者のアレに決まってんだろ」

「あぁ、やっぱりあんだけ強けりゃ、モテモテっつー訳ですか」

「らしいねぇ……」

(ほう、面白そうな連中だな。接触を図ってみるか……とその前に)



 俺――久遠達間……真名『カオス・オブ・アルティマ』が認めた男。マスターに会いに行こう。





●●●●●





「よぉ、マスター……」

「お、もう来たのか。ってー事は依頼は完了したっつー訳か?」

「あぁ、俺にとっては造作もない事さ」



 真っ黒なコートを翻し、俺は言いたかった言葉をいの一番に言ってやった。



「マスター……一番良いのを頼む」

「あぁ、仕事後の一杯は格別だぜ?」



 客が他に居ないバーで俺とマスターは酒を酌み交わしたのだった。











駄文をここまで読んでいただき、ありがとうございます。



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