異世界エンジョイできると思った?part2
とりあえず、状況を説明すると、俺は公園で暑さで気絶していたら、いつの間にか異世界召喚されちゃって、何処ぞのお屋敷の庭で倒れていた、というわけだ。
うん、おかしいね。何がおかしいかって?決まってるだろ。
出会いだよ!!なんだよ!異世界来たら普通、「よぉ嬢ちゃん可愛いじゃねぇのちょっと付き合えよ」って絡まれている美少女を俺が何か異世界の力にに目覚めて美少女を助けるって展開になるんじゃねぇのかよ!?
オマケにこの隣の女は、倒れていた俺に手錠掛けてベットに繋げておくようなサイコもんだぞ、どこにときめく要素があるってんだ。…………あと、ニコニコすんな怖い。
「あ、今だぁりんの思ったこと当てましょうか!?」
「ドウゾ、どうせ間違ってるだろうけど」
「『なんて可憐な乙女なんだ。まるで、砂漠に咲いた一輪の花ようだ!俺は今までにこんな美しい娘に会ったことが無い!結婚してくれないか!』、ですよね!?」
「ほら見ろ!これっぽっちも当たってねぇし掠りもしてねぇよ!あと、長ぇわ!!」
「えー、違うんですかぁ?………………ちっ」
「おい、そこは『ちぇっ』じゃねぇのかよ……」
色々とぶれ過ぎたろこの娘。お姫様って皆こんな感じなのか?いやいや、いかんいかん。もう少しでコイツが異世界少女の基準になるところだった。
他に女の子はいないものか。一刻も早くここから出て異世界生活エンジョイしたいんだが、…………手錠が、外れん。こうなったら一かバチか。
「なぁ、俺トイレ行きたいんだけど。コレ外してくれないかな?」
「トイレですね。いいですよ。」
よっしゃぁぁぁぁぁ!!自由だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!なんかよく分からんがあの娘が馬鹿で助かったァ!もっと、粘らなきゃって思ってたが、案外すんなり行けたぜ!
俺は今城の中と思われる廊下を全力で走っている。もちろん出口を探すためだ。ここを出て適当に街に行ってそこでギルドみたいな所入って仲間と出会って冒険して…………くぅぅ、夢が膨らむぜ!待ってろよぉ!俺の異世界生活!
「長い…………」
あれからどれ位走った?一向に出口が見当たらないんだが。どれだけ走っても似たような所をグルグル回っているような?
すると、一つの扉の中から幼い女の子が出てくるのが見えたので、とりあえずこの城の出口が何処にあるかをその子に聞くことにした。
「ねぇ君」
「?」
その子は振り向くと、ライトブラウンの長髪をツインテール状に結んでおり、ルビー色の眼をしているのが見て分かった。一瞬その子に見とれてしまったが俺はロリコンではないので、邪念を振り払うと、
「この城の出口が何処にあるか知らない?俺道に迷っちゃってさ」
俺がそう聞くと、女の子はすぐ右の扉を指さした。
この扉の先に出口につながる道があるということだろうか。とにかく、早くここを出たいがためにその子にお礼を言い何のためらいもなくその扉を開けた………………のが、2秒後に後悔することになるとはこの時は思いもしなかった。
「トイレ。遅かったですね。だぁりん♡」