異世界エンジョイできると思った?
ガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャ……………………!!!!!!!
くそ!この手錠さえなければ!早くここから逃げなきゃ、と俺の本能が告げている!どう考えてもこの娘は普通じゃない気がした。
異世界召喚してみたいと何回も思った俺だったが、ここはダメだ!この娘は重要な人物なんだろうがこのままでは俺の貞操が危ない気がする……。
そんな慌てふためく俺を見てエシリアは
「無駄ですよ、その手錠は魔法で固定してあるので力ずくでは取れないようになってるんです。解除魔法が扱える人じゃないと取れないんですねーこれが。」
魔法、この世界に魔法があるのか。なら、早くここから出て魔法使いながらの異世界生活エンジョイしないと。俺が元の世界でどれだけ魔法があれば、と思ったことか。俺の異世界生活の邪魔をされてたまるか!
「君は解除魔法使えるのか?」
「もちろんです。そもそもその手錠つけたのは私ですから。」
「外してくれ」
「い・や・で・す♡」
くっそぉぉぉぉぉぉ!!と力ずくで手錠を外そうとするが、やはり無理だった。彼女の言う通り、解除魔法を使わなきゃ手錠は取れないらしい。だが、外してくれないと言う。どうすればいいんだ!?
「私のお願いを聞いてくれるなら手錠、外してあげないこともないですよ?」
「!、お願い?それを聞いたら外してくれるのか?」
「あ、正確にはお願いを聞いて、それを叶えてくれると約束してくれるなら、です。」
どんなお願いかは知らないが、このままでは埒が明かないのでここは話に乗ることにする。
「分かった。君の願いを聞こう。」
「では、」
「私と結婚してください」
「それさっきも同じような事言ってたけど、ギャグじゃないの?ギャグならひくし、ギャグじゃないならもっとひくわ」
「どちらにしてもひくんですか!?いや、ギャグじゃないです本気です!」
「ぃやでも、俺君と会うの初めてなんだけど、そんな求婚されるようなことした覚えないんだけど」
異世界召喚者だからそれは当たり前だ。現に俺は目の前の彼女のことを見たこともないし聞いたこともない。
「…………覚えてないのも無理はないです、あれは暖かい朝のことでした」
え?何、過去回想入んの?いやいや、俺召喚されたのって……………………………はっ!?まさか、異世界召喚は召喚でも憑依ってやつか!?俺は彼女の幼馴染で、小さい頃にプロポーズしたが、親の都合で離れ離れになったがようやく会えた俺の見知らぬ男になっているのか!?いや、でも俺の体はそのままだし………はっ?まさか顔がその人になっているとか………………
「私が庭を散歩していた時、ふと視界の隅に何かが落ちてくるのが見えました。恐る恐る近づいて見てみると、そこには!」
そこには、赤色のラインが入った草木まみれのPU○Aのジャージを着ていた鳴海響夜が白目をむいて倒れていた。
「変な服を身にまとい、大の字で倒れていた人がいたんです!」
「俺じゃねぇぇかぁぁ!?」