表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夏のお尋ね者に僕は恋をした  作者: めんとうふ
5/5

第5話 暗い道に溢れる光

ビックリした様子の梨花に僕もビックリしていた。何故手を握ってしまったのか僕にも分からなかったが、ここで手を離すと男がすたる気がして離せなかった。


「手が寒そうだったから」


僕は夏の日の夜にこんな苦し紛れの言い訳をしている。梨花はいつもの笑顔でうなづいていた。


隣のおじいさん家までは、いつもは10分も経たずに着くが、今日は違った。


手を繋いでるからか時間が何十倍にも感じた。

心臓もドクドクと脈を打っているのが分かる。

梨花に聞こえていないか気になり息もろくにできず、手汗も溢れだしていた。

人生で経験した事がないくらいに緊張していた。

その事が梨花に伝わったのか、


「ありがと、手暖かくなったよ」


と笑顔で言い、手を離してくれた。

手が離れた瞬間、僕は何故だか寂しくなった。

何故寂しくなったのかは分からなかったが、ホッとしたし、これでよかったのかもしれない。


僕は深呼吸をして、乱れていた呼吸を整えた。

僕は、梨花の前を懐中電灯で照らすため、梨花の少し前を歩いていた。すると、梨花が僕の背中を少し引っ張っていた。


「ごめん、ちょっと暗くて怖いからこのままで」


と言われた時、僕は少し嬉しかった。

いつもと同じ風景の坂道がいつもと違って見え、暗い道に星という光が溢れていた。


そんな僕の長い旅路がやっと終わった。

隣のおじいさんが心配して家の前で立っていた。

僕はおじいさんにお礼を言われ、梨花に手を振って帰った。すると、


「今日は楽しかったよ、また遊んでね」


そう梨花が手を振りながら言っていた。僕は何故か胸が痛くなっていた。理由はこの時は分からなかった。


いつもより長く感じた道の帰りは、あっという間に感じた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ