第3話 梨花と愉快な仲間達
「ミーンミーンミンミンミーン」
僕らが集まっていた大きな樹の上で蝉が鳴いていた。
都会の人が田舎の遊びで連想するのは、川遊び・木登り・山探索・虫捕りなどが王道だが僕らはその遊びに飽きていた。小学生の内にやり尽くしているからだ。
そんな事も知らない彼女は、僕達に向かって
「川に行ってみたい」
と目をキラキラさせながら言った。
僕と三人の目が一瞬合ってクスッと笑った、皆んな同じ思いだった。
無邪気な彼女を川に連れて行きたいと思っていたのだ。
川に向かう間、僕達は山の名所は知らず知らずに自慢しながら歩いていた。
彼女は不思議な魅力で纏われているのか、僕らは小さい頃からの親友のような感じがしていた。
川に着くと彼女は目を見開いていた。
都会じゃ見る事がないであろう光景に彼女は感動していたのだ。
雄大に広がる山の中に流れる川は、木漏れ日に溢れ神秘的に見えていた。
僕達も久しぶりに見た、この光景に鳥肌が立っていた。
感傷にじっくり浸かった後に僕らは川遊びを全力でした。濡れることもお構いなしに、はしゃいでいた。彼女がいるだけで新鮮味に溢れ子供に戻れたのだ。
あっという間に日が暮れてしまった。
急いで帰路に着く僕達は一つの質問をする。
「名前はなんて言うの?聞くの忘れてた」
なんで僕達は、今まで名前を聞かなかったの笑い合っていた。
「私の名前は梨花だよ」
梨花は今日一番の笑顔で言った。