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赤の王国  作者: 空想S
6/8

日記

ーコンコンー

ーコンコンー



「ん・・・」



「リン、起きなさい。ご飯よ」



扉の奥から母の声が聞こえる。



バッと勢いよく体を起こして、窓の外を見てみると、

既に外は真っ暗になっていた。



「ごめんなさい!起きたから!すぐ降りる!」


私はいそいそと立ち上がると、部屋の扉を開けた。


「ずいぶんぐっすりだったわね。

父さんも帰ってきてるから、降りましょ。」



「わ、わかった!」



母の後に続いて私も階段を降りる。



ご飯の匂いだろう、とてもいい匂いがする。



「今日はチキンとポトフよ」


リビングに着くと、父がニッコリ笑って出迎えた。


「降りてきたか、リン」


「お父さん、おかえりなさい」


父の横にあるイスを引いて、腰掛ける。



ーいただきます。






「リン、今日の式典、見たか?」




「えっ、あぁ・・・少しだけ。

最初の方は見てないけどね。間に合わなくって。」



「そうか・・・次の王はリオ王。またこの国も

騒がしくなりそうだなぁ。

特に女性からの支持が強い。

今日だってあの祭典の途中、リオ王を見た瞬間

気絶してしまう者までいたらしいよ。」



「そ、それは凄い・・・」



「今日でもこれなんだ。明日はもっと大変かもなぁ」


「明日?」


「あぁ、初めのほうは聞いてなかったんだったか。

明日はリオ王が町を見て回るらしいよ。

王として、自身が守る民の姿を

実際にその目で見ておきたいんだと。」


「へぇ・・・」



「リンも明日はおめかししないとね」

ニコッと母が笑う。


おもわずスープを吹き出しそうになった。


「べ、べつにいいもん!」



「なんだ?リンはリオ様が嫌いなのか?」



「別に嫌いじゃないわよ。ただそこまで

好きっていうわけでもないだけよ。」



私の顔をみた二人がクスクスと笑う。

もうー・・・すぐからかうんだから。






食事を終えると、私は就寝前の用事を済ませて、

また部屋に戻った。



父と母も、私が部屋に戻るのと同時に、

寝室へと入って行った。



「夕頃寝てたから、やっぱりすぐには寝付けないやー。」


私はテーブルの上のなんでも箱から指輪を取り出して

これの事を考えた。




「どこかで見た事がある気がするんだけど・・・」




数分後眺めたり、指輪をいじったりしてみたが

特に変化は見られなかったので、

私はそのまま指輪を箱にいれて、

机の本棚から日記を取り出して書き綴った。




*今日、トウマという少年に連れられて

式典へ行った。この国の新しい王が決まった。

リオ王が、この国の新しい王となり、

明日、王がこちらへ降りてくるそう。

また明日も街は騒がしくなるだろうな。



そして今日は久しぶりにメディおばさんの所へ行った。

おばさんの大好きなりんごのタルトを持って。

メディおばさんに会うのも、愛犬のドニに会うのも

いつぶりだったか。

そして、そのメディおばさんの所で、

綺麗な指輪を見つけた。

指輪の中心部にはとても小さいが燃えるように赤く光り、

まばゆい輝きを放つ石が埋められている。


とてもこんな場所では見られないものだ。

どこかで見覚えのあるそれを

こっそりと持ってきてしまったが、

家に持ってきてじっくり見てみても、

特になにもわからなかった。


そういえば、すっかり忘れてしまっていたが、

今日、トウマの別れ際に一瞬見たあれも、

なんだったのか気になるが、

ただの幻覚だろうか。


それに、母さんがまるで別人になったかのような

あの感じー。



今日はなんだか色んな事がありすぎて

とても疲れてしまった。



明日は王がこちらへ来るらしいが、

朝、またあの場所へ行こうと思う。*


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