向日葵の家
ライド街は、街の中心から10分程離れた場所にある。
この国には4つの街に分かれていて
街の入口から1番奥には城があり、
その下に中心の広場、そこから4つに分岐されている。
城の左側はトール街
反対の右側はウィンドル街
左下にはミオス街、
そして、右下にあるのは私の家がライド街だ。
この国は貧しいというわけではないが、
裕福というわけでもない。
4つに分かれているその町並みも
代わり映えはあまりしない。
ストリートに入ると、
花屋さんが目に入る。
店の前にはたくさんの綺麗な花が置かれている。
その隣にはお菓子を売ってるおばあさんの家、
近所の子供達がよく使っている。
そこから3件ほど行った所が、
わたしのうちだ。
レンガ造りのオレンジの屋根で、
玄関の小さな庭には私が昔植えた向日葵が咲いている。
「それじゃあ、君を送ったし僕はうちに戻るよ」
トウマはそういうと、
くるっと振り返った。
その瞬間、私の中でいつかの映像が頭に浮かんだ。
「えっ・・・」
くらっと、軽く頭痛がして頭を抑えた。
今のは、、なんだろう。
こことは違う、荒れたどこかで、
今と同じ、振り返った彼を見た気がする。
私の異変に気付いたトウマが
「だ、大丈夫?!」と私に駆け寄った。
「だ、大丈夫。ありがとう。」
頭の痛みは一瞬だったようで、すぐに引いた。
トウマが心配そうに私の様子を伺っていると、
突然、玄関の扉がガチャっと開いた。
「あら!二人共おかえりなさい・・・って
どうしたの?」
扉を開けたのは、私の母だった。
長い三つ編みを肩から下ろして
緑のエプロンをつけている。
「お、お母さん・・・」
家からケーキのような甘い香りが芳しく香る。
「な、なんでもない。
それよりお母さん、何か作ってたの?」
「あ、そうそう。りんごのタルトをね。
なにせ今日は大事な日だもの。お祝いしなくっちゃ。
たくさん作ったし、
よかったらトウマ君もどう??」
「ご、ごめんなさい。このあと少し予定があって・・・」
「あら、そうなの・・・残念ね
でもリンを迎えに行ってくれてありがとう。
お礼にこれを持って行って」
そういうと母は
ポケットから小さな包みに入ったクッキーを
トウマに渡した。
「りんごのタルトを作ったついでに、
クッキーも作ってみたの。」
「あ、ありがとうございます」
トウマは驚いた顔をして、クッキーを受け取った。
「じゃあ僕はこれで。
またね、リンちゃん」
そういうとトウマはペコっと私達にお辞儀して、
街の中心部への方へと向かっていった。
「さぁリン、中に入りましょ。」
そういうと母は玄関の扉を大きく開けて、
入るよう促した。