女子高生・桃地梨花の場合
初めて小説を書くので、遅筆ですが温かく見守ってもらえると嬉しいです。
なんでだろう。
女子高生と言ったら、もう何をやっても許される神の様な時期。
女子高生が習字をするというだけでドラマ化される。
女子高生が料理をするというだけでアニメ化される。
女子高生がいるというだけで、もうそれだけでメディアとして成り立つ。
女子高生最強説がまかり通る時期に、私はなんでモテナイのだろう。
現実は非常である。
確かにモテナイ女=喪女をテーマにした作品がアニメ化されていたのは知っている。
またネットゲームにどっぷりつかった女子高生がアニメ化してヒットしているのもやはり女子高生だからだ。
つまり世間の男はかわいい女子高生が好きなのだ。
二次元の女子高生は大人気だし、確かに自分もかわいいと思う。
でも、二次元の女子高生と同じ服を着たからといってかわいくなるとは限らないではないか。
コスプレをすればモテるようになるの?
違うでしょ!
そういうのが好きな男共が寄ってくるだけ!
自分はそんなに安くはない。
だいたい、肌の露出が多い服は恥ずかしいし、毎日学校の制服を着ているのだ。
アニメの中の制服を纏うのは何か違う気がする。
とにかく、なんでモテナイかということだ。
ギャルの様なメイクをしたり、馬鹿みたいに女子同士ではしゃぎ合うというのは、なんか違う様な気がする。
あれこそ頭の悪い子に見えてしまう。
そう自分はきっと空気が読めないのだろう。
波に乗れていないのだろう。
女子同士で他愛もない会話を楽しめないというのが女子らしくないのであろう。
それでも、ある程度男子とは会話もするし、別に抵抗感はない。
でもそこから一歩踏み出せないのだ。
というか、好きな男子がそもそも居ないというのが問題なのだろうか?
中学生のころはなんとなくバトミントンをしていたが、高校生になって部活をすることを止めた。
自分に才能がないということが中学の時にわかってしまったのだ。
結局のところ才能がないということに尽きるのだろうか?
スポーツをすればモテるのは男子の方。
女子はどうやったらかっこいい男子にモテるかはわからない。
下校時刻になったので席を立つときに自然とため息が出た。
「どうしたのモモチィ?」
「んー、マックでも行って話さない?」
そう言ってはっちゃんと優ちゃんとミキちゃんを誘う。
はっちゃんと優ちゃんは簡単にいいよと返事してくれたが、ミキちゃんはやんわりと断ってきた。
(あぁ、男ができたんだったな)
マックに着いて恋話が展開される。
自分は男と付き合ったことがないので、想像でしか語れない。
でも漫画とかにあるのを読むと、胸がキュンキュンするようなことが書いてあったり、ちょっとエッチな展開があってドキドキするのは知っている。
でも自分にはそんな体験はまだない。
高校2年になって、誰とも付き合ったことがないのだ。
結局のところ、好きな男っていうのが現れないからだろうか?
それとも、自分の脳のどこかに欠陥でもあるのだろうか?
はっちゃんや優ちゃんに適当に相槌を打っていると、話の流れが変わった。
「昨日パソコンをいじっていたら、チョー怖い動画見ちゃったの。思わずビクってなっちゃったの」
「はっちゃん怖い話とかほんと好きだねー」
「だって楽しいじゃん」
「怖いのに楽しいなんて、意味不明ー」
「スマホで見れるかな?あ、この動画だ。視て」
(そんな怖い動画でも二人もいるし、マックだし大丈夫だよね。)
夜の公園を女の人が楽しそうに歩いている。
そしてカメラに向かって話しかけているのだ。
撮っている人は彼氏かな?やけに楽しそうだ。
(また彼氏とのいちゃいちゃ動画か)
そして画面はいきなり大きくブレて地面が映った。
たぶん男の方が転んだのだろう。
「大丈夫」と女の人が男の人を起こすために手を差し伸べて、カメラが女の人をもう一度映すときに、女の人の肩のところに髪の長い女の首が乗っているのだ。
さすがにちょっとびっくりしたが、チョー怖いと評価されるほど怖い動画ではなかった。
優ちゃんは「こわー」と言っているが私はそれほどでもない。
「モモチィは怖くなかった?」
「いや、ちょっとはビビったけど、背中がビクってなるほどじゃなかった」
「そっかー、じゃあ今度はモモチィが探して来る番ね!」
「えっ何を?」
「だから怖い動画。心霊写真とかでもいいよ。ただしグロイのはだめね。あれは別だから」
「確かにグロイのは私も駄目だなー」
と言って笑いあう。
結局のところ暇つぶしをして家に帰っただけだった。
6時ころに家に着いて、夕食までの間、居間のパソコンを開き、ネットで怖い動画を探してみようと思った。
あまり遅い時間だと、本当に怖くて眠れないことになったらどうしようという不安もあるし、なにより7月の6時はまだ明るい時間だ。
適当に恐怖映像とか、心霊写真とか検索してみた。
いろいろ見ているがあまり怖くない。
井戸から幽霊が這って出てくるほどのインパクトは未だに梨花の中には起こらない。
次々と見ていく。
そして恐怖映像とはまた違った【閲覧注意】というページを開いてしまった。
単なるアルファベットの羅列が流れてくるだけのページ。
そこで気が付いた、怖いものを見ようとしてある程度身構えているから怖くないのかもしれないと。
つまりギャップだ。
今は何も怖くないけど、それがいきなり恐怖の映像に変わったらびっくりするだろう。
そのアルファベットの羅列を見ていた。
キーンという高音が出た後にガタンと大きな音がして、料理をしていた梨花の母親はその音のしたところを見た。
なんと娘が椅子から落ちて倒れているのだ。
「ちょっと梨花大丈夫?」
返事が全くない。
というか動く気配がない。
「ちょっと梨花?」
慌てて駆け寄ってみると白眼をむいて倒れているのだ。
しかも呼吸をしていないのだ。
近くで携帯ゲームをしていた妹に何があったか尋ねても「いきなりお姉ちゃんが椅子から落ちた」と言っている。
救急車を早く呼ばなくちゃ、半分パニックになりながら電話をかける。
その間妹には火を止めてと支持を出しておいた。
救急車で運ばれた先の病院で桃地家は非常なる宣告を聞くことになった。
心臓麻痺だそうだ。
何の前触れもなく、さっきまで元気そうだった娘がいきなり死んだのだ。
悲しくて悲しくて仕方がない。
妹の方は泣きじゃくっている。
父もきっと声を出して泣きたいのだろう。
肩を震わせて母を抱いている。
誰にぶつけていいかわからない感情が桃地家を包んでいた。
ただ医者だけが不可解だという顔をしていたのだ。
さっきまで元気だった人間がいきなり心臓麻痺ということがあるのだろうか?
救急搬送されて来た人間はたくさん見て来た。
脳梗塞や心筋梗塞の患者だってたくさん見て来た。
それでも今回の患者、桃地梨花の異常な死に方は納得ができない死に方なのだ。
原因なくいきなり死んだ。
そうとしか言えない。
血液検査をしても毒の類は検出されないだろう。
彼の医者人生において最も不可解な死というのがそこにあった。
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