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大学生・小林仁の場合

初めて小説を書くので、遅筆ですが温かく見守ってもらえると嬉しいです。

 親元を離れて一人暮らし!

 自由!

 なんてすばらしいんだ!

 そんな風に考えていたのは最初の一月だけだった。

 家事はしなくちゃいけない、掃除はしなくちゃ部屋はカオスになっていく、親のありがたみが初めて分ったのは夏休み前の7月中旬になってからだった。


 しかし、やはり一人暮らしが悪いわけではない。

 むしろ快適なことの方が多い。

 それはやはり自由があるという方が圧倒的に大きい。

 まず何よりエロゲーをしても隠れる必要が全くない。

 堂々としていられる(ヘッドホンは必須だがな!)。

 親や妹のいる所では、なかなかこうはいかない。

 ネットでも18禁サイトは見放題だし。

 そう今日もエロサイトを適当に巡回していこう。

 そしてなんとなくクリックした先で変なページが開いた。


 下から上へ文字が流れていくページだ。

 映画のマトリックスみたいな感じだが、なんとなく見てしまっていた。

 ボーっと油断していたのだ。

 そして動けないことに気がついたあと、胸をえぐられる様な痛みを覚えて意識が無くなった。




 気が付いたら白い部屋に寝転んでいた。

 まさに朝起きたときと一緒の感覚で、背伸びをしてしまった。

 でもここはアパートの部屋ではない。

 というかこんな何もない部屋は今まで見たことがない。

 入口もない部屋なんてどうやって入ったのだろうか?

 そしてあの胸の痛みは尋常ではなかった。

 そして、思い当たることは一つ。

 僕は死んだのか。

「お目覚めかね。ようこそ僕の箱庭へ。歓迎するよ」

「ああ、どうもここは天国ですか?」

「うーんちょっと違うけど、でも君は死んでいるから、まあ当らずも遠からずってかんじかな」

 あぁ、やっぱりか。

 いままで18年、女の子ともキスもしたこと無いまま死んじゃったのか。

 非常に残念な感じがする。

 後悔の波が押し寄せてくる。

 せっかく大学生になって、ゼミで女の子とも仲良くなりつつあったのに。

「そんなに落ち込むなよ。きっといいことあるからさ」

 そんな何もないところから話しかけてくれる存在は何者なのだろうか?

「ところであなたは誰ですか?ひょっとして神様?」

「…お、おぉそうだ、私は神だ。そ、そうこの世界の神、創造神だ。うん、そういうことになるな」

 若い男の子の様な声だが、神様らしい。

 そしてなんか挙動不審な感じがするのは気のせいか?

「神様ー、僕はまだ女のこと付き合ったことなかったんですよ」

「うむ、そうか、残念だったね」

 年甲斐もなく悲しくなってきた。

 18にして女々しく泣くなんて思ってもみなかった。

 ゼミの隣に座って仲良くなった美奈ちゃんに会えないと思うと、涙が溢れてきた。

「おいおい泣くなよ、話が進まなくなるから」

「とりあえず説明するね。コマンドインベントリと言ってもらえるかな?」

「ごまんどイムベンーーーーーあああああ」

 神様は無視して説明を続ける。

 説明を受けているうちに涙が枯れてきて、気持ちが落ち着いてきた。


「次はステータスを表示しよう。コマンドステータスだ」

「こまんどステータス うっぅぅ。ぐすん」

 ステータス画面は空白になっていた。

「さあここで第二の人生のステータスを決めることができるのだよ、自由にステ振りをしてくれたまえ」

 しばらくいじっているとSTR(力強さ)MAG(魔力)の他にも見た目も自由に決められることが分った。

 ゲームと一緒だ。

 性別、背の高さ、見た目、顔のパーツの位置、それぞれ調節することができる。

 そこで小林は思い付いた。

「神様?いる?」

「何か解らないことがあった?」

「神様ってなんでもできるのか?」

「まあ、神様だし、創造神だし、全知全能だし」

「じゃあさ、最初から最強ステータスにしてよ」

「それはだめ、せっかくの成長の楽しみがなくなってしまうだろ?」

(たぶんそういうと思っていたよ。じゃあ見た目の交渉ならどうだ?)

「顔の形とか胸の大きさとかいじれるじゃん。男でも胸を大きくしても問題ないの?」

「まあ、ルール上は問題ないね」

(ここまでは予想の範囲内だ。なら次はどうだ?)

「なら性別は男でも女でもないってできる?」

「どういうこと?」

 神様にしても予想外だったのだろう。

 続けて問いかける。

「ふたなりってできる?」

「はあ?!!!!」

「だから、男性生殖器と女性生殖器を両方もっているっていうファンタジーとかであるやつ」

「そんなのできるわけないでしょ!」

「でもさっき全知全能の創造神だって言ったよね。できないってこと?」

「ぐぬぬ」

「女の子とエッチしたこともなく死んじゃった僕に少しぐらい融通してくれてもいいんじゃない?神様」

「……ちょっと待って、できるかどうか確認してみる」


 しばらくして神様が口を開いた。

「今回は特別に認めてやろうじゃないか。君の発想力の勝利として!」

「マジか!」

「その代わり、ステータスを下げさせてもらうよ」

「やった、ならステータス振り直すからちょっと待って」

 そして、小林仁は自らのステータスのAPP(魅力)とLAC(幸運)の最大値まで極振りし、その他は適当に大事と思われるところに振り直した。


「神様、全部設定終わりました」

「そうか。あーそれと、これから神様と呼ばずにゴッドと呼ぶように」

「わかりましたゴッド。サンキューゴッド」

「それから僕を呼び出したいときは、コマンドヘルプと言うと呼び出すことができるから。ただいつでも呼び出せるわけじゃないから、その辺は気を付けてね」

「イエス、マイ ゴッド」


「それじゃあ冒険の始まりだ!第二の人生楽しんでくれたまえ!」


 小林仁は大学のことや、奈美ちゃんのことや、家族のことも忘れるくらい喜んでいた。

 エロゲーでたまに出てくる、現実にはあり得ない、ふたなりという属性を手にしたことに。

 そして最近の小説の定番のような展開。

 いわゆる転生ものという展開。

 ゲームの中の様な世界にいけるという展開

 もしかして次元の壁を越えたってやつですか?ひょっとして!

 信じられないことが津波のように押し寄せてきたのだ。

 死んだというショックから、夢にまで見た次元の壁を超えるという奇跡を体験したのだ。

(もう死んでもいい。………いやさっき死んだばっかりだったんだ。また死んだらもう二度とないかもしれない。命は大事にしよう。)


 しかし小林は知らない。

 7月中旬の暑さで死体があっという間に腐敗していくということを。

 アパートの中で朽ちていく小林の死体があるということを。

 そんなことは彼にとっては、もはやどうでもよいことなのだが。


コメントや励ましの言葉があるとやる気が起きてきます。

どうかメンタルの弱い作者を励ましてください。


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