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異世界駅舎の喫茶店  作者: Swind/神凪唐州


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28 聖誕祭と初めてのケーキ作り(2/3パート)

※2015.12.19 20:35更新 2/3パート

※第1パートからの続きです。まだお読みでない方は第1パート(前話)よりお読みください。

 私学校で行われるポサダパーティーの前日、営業を終えた喫茶店『ツバメ』のキッチンにタクミとニャーチ、そしてルナの姿があった。

 ニャーチから借りている少しだけ大き目のカフェエプロンを腰に纏い、ルナはキッチンテーブルに材料や調理道具を並べていた。

 タクミと一緒にケーキ作りを行うことと決めた日から、何度か練習はさせてもらっている。多少の失敗はあったが、タクミの言うとおりに丁寧に進めれば、ちゃんとおいしいケーキを作ることができていた。

 しかし、今日作るのは自分たち用ではなく、学校の皆に食べてもらうためのものだ。

 果たしてちゃんと上手にケーキが作れるだろうか……、“本番”を前にして硬い表情を見せるルナの心臓は、周りに聞こえてしまっているのではないかと思うほどドキドキと高鳴っていた。


 キッチンテーブルを前にそわそわとしているルナの姿に、タクミはいつものにこやかな表情で声をかける。


「昨日までもちゃんと上手にできていましたから、一つずつ丁寧に作業を進めれば大丈夫ですよ。それに、まだ時間も早いですし、もし失敗してもやり直せばいいだけですからね」


「そうなのなっ!もし失敗したらお腹の中にしょーこいんめつすればいいだけのことなのなっ!」


 タクミに続けて、ニャーチもいつもの調子でエールを送る。

 二人の言葉に、ルナは少しだけ落ち着きを取り戻すことができた。


「そうですねっ。教えてもらったとおりにきちんとやれば、きっとうまくいきますよねっ」


「ええ、頑張りましょう。それでは、早速始めましょう」


 タクミの声を合図に、“本番”のケーキ作りが始まった。

 “食べる係”を自認するニャーチは、ケーキ作りには加わらない。二人の作業を見守るため、邪魔にならないようにキッチンの片隅にある小テーブルへと移動した。


 キッチンテーブルの上には、既にケーキ作りに欠かせない材料が用意されていた。粉類として使うのはアロース(コメ)粉とマイス(とうもろこし)粉の二種類。新鮮な卵と牛乳、バター、砂糖、塩といった基本の材料も一緒に並べられている。


 そして、今日のケーキに欠かせない材料が、瓶に入ったこげ茶色の粉 ―― カカオ豆の粉だ。

 ココアやチョコレートの主原料であるカカオは、“こちらの世界”でも愛されている食材の一つだ。

 “こちらの世界”では焙煎したカカオ豆をすりつぶしたペーストであるカカオマーサ(カカオマス)をお湯や温めた牛乳に溶かしてドリンクとして嗜まれている。

 カカオ粉は、このカカオマーサから余分な脂分を取り除き細かく砕いて作られるもので、カカオマーサよりも酸味が少なく、またお湯や牛乳にも溶けやすいという特徴を持っている。保存性も高く、ここ最近徐々にではあるが普及の兆しを見せている食材だ。

 

 “こちらの世界”では出始めたばかりの新しい食材であるカカオ粉だが、タクミにとっては非常に慣れ親しんだものである。すなわち、カカオ粉とは“ココアパウダー”、それもいわゆる“純ココア”と呼ばれていた砂糖や粉ミルク等が入っていないタイプのものと全く同じものなのだ。

 むしろ、タクミにとってはカカオマーサよりも馴染んだ食材と言えるものであった。


 タクミは、今日のケーキ作りでは出来るだけルナに作業を進めてもらおうと考えていた。材料が一通り揃っていることを確認し、声をかける。


「さて、早速土台の生地作りから始めましょう。最初の段取りは覚えていますか?」


「はいっ。生地に使う材料をちゃんと測ることですっ」


「そうですね。特にケーキや焼き菓子といったものは量をきちんと測ることが大切です。これから自分で作るようになっても忘れないようにしてくださいね。では、まずは粉から測っていきましょう」


 タクミの言葉、ルナは用意しておいた計量のためのカップとスプーン、それに測った材料を入れるための大小のボウルを手元に寄せた。


「えっと、アロース粉とマイス粉は同じボウルに入れちゃっていいんですよねっ?」


「ええ、こちらは合わせて使いますのでそれで大丈夫です。生地用のカカオ粉も一緒に入れていいですよ」


「分かりましたっ!」


 タクミに一つずつ確認を取りながら、それぞれの材料を計量していく。手つきはまだおぼつかないところはあるものの、丁寧に作業を進めていくルナの表情は真剣そのものだ。

 大きなボウルにはアロース粉とマイス粉、そしてカカオ粉が一緒に入れられ、別のボウルにはたっぷりの砂糖が用意される。牛乳とバターは小さなボウルに一緒に入れられた。

 

「はい、大丈夫ですね。では、次はメレンゲを作っていきましょう。折角なので卵も割ってみますか?」


「は、はいっ。えっと、白身と黄身は別々のボウルに入れるんですよね……。頑張ってやってみますっ」


 タクミの言葉にルナの表情に緊張の色が現れる。卵を割るのはルナにとって苦手の一つなのだ。

練習の時には、打ちつける力が強すぎてぐしゃっとつぶしてしまったり、中の黄身を傷つけて白身と黄身が混ざってしまったりとなかなか上手く割ることが出来なかった。


 それでも、何度も失敗を繰り返しながらではあったものの卵を割るだけであれば何とか出来るようにはなっていた。

 しかし、ここからが難関だ。今回のケーキ作りの場合には、ただ殻を割るだけではなく“白身”と“黄身”を分けるということも求められるのだ。


 タクミに教えてもらったのは、卵の殻をきれいに半分に割って、半分ずつになった殻の中を交互に移動させながら殻の中に黄身だけを残す方法だ。しかし、まず卵の殻をきれいに割ることが大変だし、うまくいったとしても、黄身を落とさないように白身だけを下に受けているボウルに流すというのは非常に大変だった。

 タクミは慣れた手つきで行っていたものの、ルナにとってはとても難しい神業のように思えていた。


 それでも、やってみなければ上手くいくことはない。まずは一個だけやらせてもらって、もし失敗したらタクミさんに残りはやってもらおう……。

 いよいよ決心したルナは、用意しておいた新鮮な卵を一つ手に取り、コンコンとキッチンテーブルへと打ちつける。


(回すようにして、コンコンと……)


 卵の側面をコンと当てると、硬い殻にひびが入り小さな凹みが出来た。そこから、卵を少しずつ回しながらコンコンと優しく叩き、ひびを広げていく。やがて、凹みの部分から一本の筋がきれいに伸びていった。

 ひびの筋がくるりと一周したところで、ルナは卵の殻を両手でそっとつまむ。そして、丸い底の方が下になるようにそっと殻を開くと、中から溢れた白身が手元をスルリと流れ落ちた。


(ここからは、慎重に……)


 黄身の周りに残っている白身をボウルへ落とすため、空いた方の殻へと黄身を移す。しかし、緊張して手が震えてしまったのか、白身だけではなく、黄身も一緒にボウルの中へと落ちていってしまった。


「あっ!」


 ルナの短い悲鳴がキッチンに響く。ボウルの中には、透明な白身の中に丸い黄身がポカンと浮かんでいた。

 やっぱりダメだった……。材料を無駄にしてしまったことを申し訳なく想い、ルナの眼がみるみる潤んでいく。


 すると、ルナの作業の様子を見守っていたタクミが、黄身も一緒に入ってしまったボウルを手に取った。

 何をするんだろうとルナが見つめていると、タクミはボウルの中に乾いた大さじの計量スプーンをそっと入れて、ひょいっと持ち上げる。

 そしてタクミがスプーンを持ち上げると、上に載っているのは先ほどボウルの中に落ちたはずの卵の黄身。なんと、計量スプーンにぴったり納まるかのように、卵の黄身だけがきれいにすくい取られていたのだ。


 まるで手品を見ているかのようにきょとんとするルナ。溢れ出しそうになっていた涙が思わず引っ込んでしまった。

 眼をくりくりとさせながら見つめるルナに、タクミは優しく話しかけた。


「実は、先日教えた白身と黄身の分け方は同じ方法をロランドにも教えているのですが、どうしても失敗しがちなのですよね。ルナちゃんも苦労していましたし、もっと簡単な方法がないかなっていろいろ試してみたら、こうして計量スプーンできれいに掬えることを見つけたのです。これなら、卵を割ってから黄身を掬えばいいのでやりやすいのではないでしょうか?」


「は、はいっ!黄身をつぶさずに卵が割れれば大丈夫ってことですよね?」


 ルナの言葉にタクミは頷いて応える。

 自分にとっては一番難しかった白身と黄身を取り分ける作業、これを簡単にできることが分かったルナはホッと一息をついた。

 

「じゃあ、続きもやってしまいましょう。ルナさんが割ってくれたら、黄身は私が掬いますね。もし殻の欠片が入っても掬ってしまえばいいですからね」


「ありがとうございますっ。じゃあ、続きもやっちゃいます!」


 緊張がほぐれたルナは、その後の作業をスムーズに進めていった。黄身を壊さないようにボウルへ卵を一つ割り入れたら、タクミに黄身を取り出してもらって、白身も別のボウルへと移す。

 この作業を何度か繰り返し、ルナは一つの失敗も出すことなく必要な量の卵を準備することができた。


 一番悩んでいた作業を失敗なく終えて、ルナの表情が明るさを増す。しかし、まだまだ作業はたくさん残っている。タクミは、意識を作業へと向け直すように次の作業のポイントを尋ねた。


「次はメレンゲ作りですね。どうするのでしたっけ?」


「メレンゲはあったかく、クリームはつめたく……でしたよねっ?」


「その通りです。そうしたら私の方でお湯を用意してきますので、ルナちゃんは泡立て器の準備をおねがいします」


「分かりましたっ」


 大き目のボウルを用意したタクミは、その中へ冷たい水を少しだけ汲み入れてから予め沸かしていたお湯を注ぐ。ボウルの底を触って適温になっているかどうかを確認しながらの作業だ。

 お風呂よりも熱めの丁度良い温度となったところで、お湯入りのボウルをキッチンテーブルへと運び、その中へ卵の白身が入ったボウルを浮かべる。


 お湯に浮かべた白身入りのボウルがひっくり返らないようタクミが押さえるのを待ってから、ルナは手回し式の泡立て器をボウルの中へと入れる。

 タクミの合図を待って、ハンドルが回される。カラカラという音とともに、泡立て器のホイッパー部分がくるくると回りだした。

 ルナがハンドルを回す一方で、タクミは混ぜムラができないように白身入りのボウルをゆっくりと回転させる。すると、透明の液体だった白身がみるみるうちにふんわりとした白い泡にその姿を変えていった。


 角が持ち上がる程度までしっかり泡立てたところで、先ほど測っておいた砂糖が三回に分けて入れられる。

 一生懸命ハンドルを回し続けるルナに、タクミは頃合いを見計らって手を止めるように合図を出した。合図を受けたルナが手を止めて泡立て器をすっと持ち上げると、きめ細やかに泡立てられたメレンゲがすっと角を立てた。上々の仕上がりだ。

 タクミはにこやかな表情で頷きながら、ルナへ声をかける。


「それくらいでよさそうですね。このまま、生地の仕上げをやっていきましょう」


「卵黄、粉、牛乳とバターの順番で、大きく折りたたむようにして混ぜるんですよねっ!」


「その通りです。では、卵黄から早速いきましょう」


 タクミはそう言うと、別に取り分けておいた卵黄を菜箸で軽く溶き混ぜてからメレンゲの中にそっと流し入れた。すぐさまルナが薄い木べらでボウルの中のメレンゲを底から持ち上げるようにしながら大きくかき混ぜ、卵黄をなじませる。


 ルナが卵黄を混ぜている間に、タクミは次の作業へ取り掛かった。

 計量の際に一緒に入れておいたアロース粉とマイス粉、カカオ粉を、細かい目のザルに通しながら別のボウルへとふるい落とす。ダマになりやすいカカオ粉も潰すようにしながら丁寧にふるいにかけられた。

 一度目のふるいが終わると、今度は同じザルを通しながら元のボウルへと戻される。丁寧に振るうことで全体をむらなく混ぜ、粉に空気を含ませるのが目的だ。


「これくらいでいいでしょうかっ?」


 二度目のふるいがちょうど終わったタイミングで、ルナから声をかけられた。メレンゲは全体がクリーム色となり、卵黄がむらなく合わせられている。問題なさそうだ。


「ええ、そうしたら粉を入れていきますね」


 タクミは、先ほどふるいにかけた粉をもう一度ザルを通しながら半量だけメレンゲ生地の中に落としていく。

 卵黄の時と同じように、ルナは生地を大きく畳むようにしながら粉類を全体になじませていった。

 ある程度馴染んだところで残りの半量も同じように合わせた後、湯煎で温めておいた牛乳と溶かしバターも合わせ、しっかりとなじませる。

 やがて、全体が淡くカカオ色に染まった生地が出来上がった。


「生地はこれでよさそうですね。あとは焼き上げるだけですが、今日はコレを使います」


「えっ?これって底がないですよね?どこに生地を入れるんですか?」


 タクミが取り出した器具を見たがルナが、不思議そうに質問する。


 これまでの試作は小さめサイズのもので作っていたため、焼き上げには玉子焼きを作るときに使っている四角いフライパンが使われていた。

 しかし、今日作る本番用のものは今まで試作してきたものよりも大きな生地が必要になる。すると、今まで使っていたフライパンではサイズが足りない。

 そこで、タクミはグスタフに依頼し、大きな正方形のセルクル(型枠)を作ってもらっていたのだ。

 ただ、このセルクルには底板が見当たらない。この器具を初めて見たルナが疑問に思うのは無理のないことだった。


 首をかしげるルナに、タクミは微笑みながら言葉を返す。


「確かに今までのフライパンとは違う使い方になりますね。でも、使うところを見ればすぐに分かってもらえると思います。さて、このセルクルの内側にバターを塗ってもらっていいですか?」


「は、はいっ!」


 タクミに言われたとおりに、ルナは受け取ったセルクルの内側にバターを塗っていく。そして、オーブンストーブの前へと移動すると、タクミの指示に従って既に温まっている天板の上にも直接バターを塗りつけた。


「バターを塗り終えたら、このセルクルをこうします」


 タクミはそういうと、バターが塗られた天板の上にセルクルを置いた。それを見てようやくセルクルの使い方を理解したルナが、わかった!と声を上げる。


「そっか、天板をフライパンにしちゃうんだっ!」


 ルナの元気な声に、タクミは一つ頷いた。


「そういうことでした。天板を直接フライパン代わりにすれば大きな生地もちゃんと焼けますからね。普段は鍋やフライパンを置いて調理することが多い天板ですが、本来はこうして直接調理に使っても構わないのです。ただ、その分、普段からオーブンを使い終わったら後は、ちゃんと丁寧に磨かないとダメですよ」


「きれいにしておかないとおいしく作ることができないですもんねっ」


「その通りです。さて、この型の中に生地を流し込んでもらってよろしいですか?」


「はーいっ!」


 ルナの口からひときわ元気のよい声が上がった。

 レードル(おたま)を手にしたルナがボウルの生地を掬い、セルクルの中心目がけてそっと流し込む。少し白っぽさのあるカカオ色の生地が、セルクルの中へと静かに広がっていった。


 高さにムラができないよう隅の方まで丁寧に注がれた生地に、温められた天板から熱が加えられる。

 セルクルの上に蓋を置いたタクミは、手元に用意しておいた小さな砂時計をひっくり返した。

 しばらくの間、生地はゆっくりと蒸し焼きにされる。そして、砂が落ち切ったのを確認したタクミの手により、ゆっくりと蓋が外された。


「わぁ!いい香りですっ!」


 ふわっと立ち上ったカカオの香りがルナの鼻孔をくすぐる。

 薄目に流し込まれた生地は、じっくりと蒸し焼きにされたことで高さを倍ほどに膨らませていた。生地の周囲は乾き始めている。ちょうどひっくり返す頃合いのサインだ。


「でも、縁まで生地がいっぱいになっちゃっていますけど、どうやってひっくり返せばいいんですっ?」


 ルナはこの後の手順をタクミに尋ねる。確かにそのままではフライ返しを入れる隙間もなく、フライパンと違って天板を持ち上げるわけにもいかない。

 そんなルナの素朴な疑問に、タクミは穏やかに微笑みながら答えた。


「もう縁は固まっていますから、こうしてしまえばいいのですよ」


 タクミは、やけどをしないように手に布を巻きつけると、セルクルをそっと持ち上げる。予めバターを塗っておいたおかげで生地は崩れることなくセルクルから外された。


「そっか!縁がしっかり固まっているので、型が無くても大丈夫なんですねっ」


「その通りです。さて、生地づくりの最後の作業が待っていますよ。少し大きいですが、頑張ってひっくり返してください」


「はいっ!」


 タクミから二つの大きなフライ返しを受け取ったルナは、オーブンストーブの前で真剣な表情となった。

 慌てずに落ち着いてやればきっと大丈夫 ―― 一瞬まぶたを閉じて自分の中に言い聞かせてから、ルナはそっと生地の下へフライ返しを滑り込ませる。

 そのままゆっくりと持ち上げると、生地は勢いよくひっくり返された。崩れることなく、無事に成功したようだ。表に返された生地は、焦げることなくむらなくきれいに焼き上げられていた。


 うまく生地を返すことができ、満面の笑みでタクミを見つめるルナ。タクミも、微笑み返しながらルナに声をかけた。


「上手に返せましたね。裏面は軽く焼き目がつけば大丈夫です。この調子で、残りの生地も焼き上げてしまいましょう」


「はーいっ。残りも頑張りますっ!」


 小さな成功を重ねたルナの返事は自信に満ちたものだ。

 その時、それまで静かに見守っていたニャーチが少し残念そうなトーンで声を上げた。


「にゃぁ、しょーこいんめつ係な私の出番はどうやらなさそうなのな……。残念だけど、それでいいのなっ!」


 待ちくたびれたような呑気な発言に、二人は思わずクスクスと笑みをこぼす。その言葉を独特の言い回しでの声援と受け取ったルナが、ニャーチに言葉を返した。


「ちゃんと成功したのを食べてもらえるように頑張りますから、もうちょっとだけ待っててくださいねっ!」


 その後、残った生地も順番に焼き上げたところで今日の段階での作業はいったん終了となった。

 最後の仕上げは明日の朝から行う予定となっている。ルナは、どんな飾りつけをしようかと改めて頭の中でイメージを膨らませながら、頑張って焼き上げた生地は傷まないようそっと布で包み、食料庫へと運んでいった。


※第3パートに続きます。更新は明日12/20(日) 22時~24時頃の予定です。

 (更新時間がいつもと異なります。ご注意ください。)

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