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Special Blend ~ ごしゅじんとはじめての朝ごはん(2/3パート)

※前パートからの続きです

※今話は1パートが普段より短くなっています。

 駅に着くまでの間、ごしゅじんといっぱいお話した。


 最初にお話したのは、昔のこと。


 ごしゅじんにいろいろ聞かれると、なんとなくいろんなことがふんわりと頭の中に浮かんでくる。

 

 それを伝えると、ごしゅじんはほっとしてたのな。


 でも、頭の中に浮かんでくることは、なんかふわふわしてる。


 まるで、さっき見ていた夢のように、ニャーチのことであるようなないような……、ぽやんとふわんとした感じなのな。


 それと、今のことについても、いっぱいお話した。


 ごしゅじんは、ここがどこだかわかんなくなっちゃったみたい。

 でも、残念だけど、ニャーチにもここがどこかわかんないのな。ごめんなのな。


 ごしゅじんはしょぼんとしていたけど、すぐに頭を撫でてくれた。

 えへへ、ごしゅじんのなでなでは気持ちいいのな。


 いっぱいお話をしていると、ガタンゴトンがキキーッてなって、ゴットンってした。


 ごしゅじんが言うには『駅』ってところに着いたみたい。


 手を引っ張られるまま、ご主人と一緒に列車を降りる。

 他の人たちが行く方向にニャーチも着いていこうとしたけど、そうしたらごしゅじんが首をフルフルと横に振って手を引っ張った。


 どうやらごしゅじんは、ベンチに座りたいみたい。

 ちょっと疲れちゃったのかにゃっ?

 わかったのな。ニャーチも隣に座るのなっ。


 ごしゅじんの隣に座ってまわりを眺めていると、おおきなお日様が地面に吸い込まれていくのが見えた。


 そっか、もうすぐ夜なのなっ。おねむの時間なのなっ。


 ごしゅじんの横でしばらく夕陽を眺めながらふわふわうとうとしかけていると、おじいちゃんが話しかけてきた。


「そこの若者たち、そろそろ駅舎を閉める時間になるので、改札を済ませてもらえんかね」


 知らない人はちょっと怖い。 ごしゅじんの服の裾をぎゅっとつかむ。

 そしたら、ごしゅじんがニャーチの手をとってくれた。

 やっぱりポカポカしてる。うん、ごしゅじんが一緒なら安心なのな。


 その後、ごしゅじんに連れられて、そのおじいちゃんみたいな人のところへ向かったのなっ。


 このおじいちゃんみたいな人は“駅長”さんなんだって。

 ごしゅじんと“駅長”さんが何かお話ししてたけど、良くわかんない。


 でも、ここって不思議なところなのなっ。

 見覚えが無いはずなのに、なんか懐かしくて、まるで来たことがあるみたい。

 それに、新しい木の香りがとってもいい感じなのな。


 ごしゅじんは“駅長”さんといっぱいお話ししてるけど、ニャーチには難しくてよくわかんない。

 一緒に着いていった小さなお部屋でしばらくキョロキョロしていたら、さっきのおじいちゃん……えーっと、“駅長”さんが話しかけてきた。


「ニャーチさんは、目が覚める前のことや、タクミさんといた時のこと、覚えていますかな?」


 えーっと……どうだったっけ?


 一生懸命思い出そうとするんだけど、なんかぽわぽわしててぼんやりしてる。


 でも、一つだけはちゃんとわかってるのな。


「うーん、よくわかんにゃいのな。でも、『ごしゅじん』とはずっと一緒にいた気がするのなっ。だからきっとこれからも一緒にいるのなっ!」


 あれ? なんか顔がぽかぽかさんになってきたのな。

 ニャーチ、どうしちゃったんだろう??


 うん、こういう時にはニャーチの居場所(ごしゅじんの腕の中)に潜り込むのが一番なのなっ。


 なんかごしゅじんがびくっとしてたけど、ここが一番落ち着くのなっ。


 居場所に潜り込んだら、ごしゅじんが頭をそっとなでてくれた。

 気持ち良くてうにゃーんって声が出る。

 そしたら、もう一回撫でてくれた。えへへ。


 その後半分うとうとしている間に、ごしゅじんと“駅長”さんがまたお話を続けていたみたい。


 今日は、この“駅舎”にお泊りするんだって。

 ニャーチはごしゅじんと一緒ならどこでもいいのなっ。

 ごしゅじんのいるところがニャーチの居場所なのなっ。




―――――




 “駅長”さんが用意してくれた夕ごはんは、とってもおいしかったのなっ!

 でも、ごはんを食べたらあっという間に眠くなってきた。


 ふわぁぁ……ってあくびをしていたら、ごしゅじんがベッドの上で腕を差し出してくれた。


 そこはニャーチの特等席。

 ごしゅじんの腕の中に潜り込めば、あっという間にぐっすりさんなのな。


『ニャーチちゃん。タクミさんの腕の中、気持ちいいでしょ?』


 そうなのなっ、ぽかぽかがいっぱいで、とっても落ち着くのなっ。


 ……あれっ? でも、なんでそのことを知ってるのなっ?

 もしかして、ここってお姉さんの居場所だったのなっ?


貴女(ニャーチちゃん)がそこにいれば、私もそこにいることになるから大丈夫。安心してそこにいていいのよ』


 そっか、それならここにいるのなっ。


 でも不思議、お姉さんは私とおんなじ匂いがするのなっ。


『貴女が私で、私が貴女であるということは、タクミさんも感じているみたい。ほっとしたわ。そしたら……、えっとね、ニャーチちゃん、一つお願いがあるの』


 にゃ? なんなのな?


『タクミさんのことはニャーチちゃんにお願いするから、これからずっと一緒にいてあげてね?』


 それはもちろん任せてなのなっ! 


 ごしゅじんとずーっとずーっと一緒にいるのなっ。


 でも、そしたらお姉さんはどうするのな?


『ありがとう。私のことは大丈夫。ニャーチちゃんのおかげで安心して眠れるわ』


 おねむさんなのなっ? もうお話できないのなっ?


『大丈夫。私も貴女とずっと一緒。お話はできなくても、ちゃんと貴女の中にいるわ』


 うーん……良くわかんないけど、分かったのなっ。

 でも、お姉さんもさみしくなったら、また会いに来るのなよっ。


『うん、約束ね。じゃあ、ゆっくりお休みなさい』


 うん、お休みなのなっ。

※次パートへと続きます

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― 新着の感想 ―
コミック版を読み終えてからここに来ましたので、ニャーチさん視点でのお話の回はホロッとします。柚さんもいつも一緒。
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