Coffee Break ~ ニャーチへのプレゼント
本日も当駅をご利用いただきまして誠にありがとうございます。ローゼスシティ行き始発列車は、明日9時の出発予定です。改札は、出発の10分前を予定しておりますの。ご乗車のお客様は、改札口横にあります待合スペースにてお待ちください。
―― なお、喫茶店『ツバメ』では冷たいお飲み物やデザートをご用意しております。どうぞお気軽にお立ち寄りくださいませ。
「ということで、今年は私たちからもニャーチさんに誕生日プレゼントをしようと思うんですけど、どうでしょうかっ?」
ある暑い日の夕方、片付けを一服させたルナとロランド、フィデルの若者組が、喫茶店『ツバメ』のホールに集まっていた。
三人は額を突き合わせてひそひそと小声で話している。
ルナの言葉にうんうんと頷き、真っ先に賛成を示したのはロランドだ。
「そうだなぁ。いつもお世話になってるし、今年は食事にも誘われてるしなー」
「俺もなんかしたいなって思ってたんだよね。ルナちゃん、さすがにいいところに気づくね!」
「そういえばと思っただけですっ。そうしたら、どうしましょう? みんなで何か贈ります? それともそれぞれでプレゼントしますっ?」
にこにこと笑顔を見せて話すルナ。
しかし、ルナの言葉に、ロランドとフィデルがそろって渋い顔を見せた。
「うーん、できればそれぞれからの方がいいかなとは思うんだけど……」
「別々にしちゃうと、ルナちゃんの分が大変になっちゃわない?」
それぞれ稼ぎがあるロランドとフィデルなら懐にある程度の余裕はあるが、ルナはそうはいかない。
『ツバメ』のお手伝いをしている分で多少のお小遣いはもらっているものの、ロランドやフィデルのようにはいかないということは二人とも十分理解していた。
そして彼らが理解していることはもう一つある。
それをわかっていながらも、二人はそろってルナに提案を持ち掛けた。
「ねぇルナちゃん、ルナちゃんの分も俺たちが出そうか?」
「そうそう、こういう時ぐらい頼ってくれてもいいんだよ?」
「うーん、お気持ちはとっても嬉しいんですけど、それだと私からのプレゼントってことにはならないんですよねっ。これまでとっておいたお小遣いがあるから大丈夫ですよっ」
あくまでもにこやかに話すルナ。しかし、少年二人は渋い顔のままだ。
「とはいってもなぁ……」
「その心がけはとってもいいと思うんだけど、でも、ルナちゃんのお小遣いは、もっと自分のために使えばいいんだよっ?」
「いいんですっ。私がそうしたいって思ってるんですっ!」
ロランドやフィデルの気遣いも少女には届かないようで、ルナがぷぅと頬を膨らませる。
意外と頑固なところがあるルナ。こうなると、なかなか折れてくれないことはロランドもフィデルも十分にわかっていた。
顔を見合わせて、どうしようかと考えるロランドとフィデル。
その時、二人の後ろから不意に声がかけられた。
「だったら、ちょっとアルバイトしてもらえないかな?」
「「わっ!?」」
兎耳の少年と狐耳の少年が慌てて振り向くと、そこにはテオの姿があった。
「話は聞かせてもらったよ。いや、ちょうどルナちゃんに頼みたいことがあったんだよね」
「えっ? 私ですっ?」
突然呼びかけられたルナは、目を大きく見開いてきょとんとする。
するとテオは、額を寄せ合う三人に割り込むようにして、一つの話をもちかけた。
「いや実はさ、この間街の方で知り合った髪結いさんがいるんだけど、彼女から一日だけお手伝いしてくれる人がいないかって相談を受けてたんだよね。ただ、自分は駅の仕事もあるし、さすがに女性ばかりの輪の中に飛び込む勇気もないからさ、だれかいないかなーって探してたところだったんだよ。どう? ルナちゃんやってみる?」
「えっ? でも私なんかで大丈夫なんですかっ?」
軽く話すテオに対し、ルナは大きな戸惑いを見せていた。
〝こちらの世界”における髪結いとは、主に上流階級の邸宅に伺い、夫人や令嬢の方々を『より美しく魅せる』のが主な仕事だ。
ただ髪型を整えるだけではなく、メイクやファッション全般に関するサポートやアドバイスを行うなど、その仕事は非常にハイレベルである。
そんな髪結いは、女の子たちの憧れの職業の一つではあるものの、そう簡単にできる仕事ではないとルナは思っていたのだ。
ルナの心配そうな顔を見たテオは、微笑みを浮かべながらフルフルと首を横に振る。
「大丈夫、ルナちゃんにお願いしたいのはあくまでも『お手伝い』だよ。髪を切ったりとかするわけじゃなくて、荷物運びだったり後片付けだったりを助けてほしいんだよね」
「そ、それくらいなら私でもなんとかなりそうですが……本当に大丈夫ですっ?」
それでもまだ思案顔を見せるルナ。
その心配に同意するかのように、横で話を聞いていたロランドとフィデルもうんうんと首を縦に振った。
「うーん、話の出どころがテオさんってところがどうしても心配っすねえ……」
「そうそう、いい話のはずなんだけど、どーにもねぇ。これがタクミさんならなんも心配ないんだけど……」
少女に同調する二人の少年の発言に、青年テオが顔色を変える。
「ちょっ、ちょっと待てよお前ら。俺のことそんなに心配かぁ? 一応人生の先輩ではあるんだぜ?」
「だって、テオさんだし……」
「そうそう、また何か落とし穴があるんじゃないかなーって……」
「あのよぉ。俺も一応大人なんだし? そんなに、うっかりばっかりしてるわけじゃねーっつーの。今回のはマジで大丈夫。彼女はサバスさんやソフィアさんとも懇意だし、ちゃんと身元もしっかりしてるからさ」
「うーん、それなら、まぁ、大丈夫そうっすかねー」
「ルナちゃん、困ったことがあったらちゃんと俺たち二人に話すんだよ?」
まだどこか信じきれないと言った様子のロランドとフィデル。
一方のルナは、いつしか笑顔となっていた。
「きっと大丈夫です。テオさんだってちゃんと大人なんですし、それにサバスさんやソフィアさんともお知り合いの方ってことなら私も安心ですっ。テオさん、ぜひそのお手伝い、私にやらせてくださいっ!」
「そっかそっか。じゃあ、早速明日にでも引き合わせができるよう段取り組んでいいかな?」
「はいっ!頑張りますっ!」
笑顔を見せる少女に、テオもまた首をコクコクと縦に振る。
その様子を間近で見ていたロランドとフィデルは、無言のまま視線を交わし、いざとなったらテオに責任を取らせようと思いを共有していた。
―――――
それからしばらくして、いよいよニャーチの誕生日となった。
一日の営業を終えた『ツバメ』では、誕生日パーティの準備が進められている。
テオとフィデルがテーブルの飾り付けを進めており、キッチンではロランドとルナ、そしてタクミの三人が次々と料理を作っていた。
やがてパーティの準備が終わると、二階で待っているよう伝えておいたニャーチをルナが呼びに行く。
ほどなくして階段から降りてきたニャーチは、きれいに飾り付けられたテーブルを見て歓声を上げた。
「うにゃぁぁぁ!! なんか今日はすごいのにゃーっ! とっても賑やかなのにゃっ!」
「今日はニャーチさんが主役ですからねっ。 さ、こっちへどーぞっ」
エスコートしてきたルナに案内されるがまま主賓席へと座ると、ニャーチはテーブルをぐるりと見渡した。
テーブルには白い大きな布がかぶせられ、その中央には色とりどりの花が飾りつけられ
ている。
そしてテーブルを埋め尽くすように置かれているのは、たくさんの料理だ。
アルマンドラの衣がついた唐揚げに、赤・黄・緑とコントラストが美しい特製の野菜サラダ、コーンポタージュももちろん用意されている。
それに今年はじっくりとローストされた豚のアバラ肉や冷たいパトが入ったトマトの詰め物、それにピミエンタのひき肉詰めなども一緒に並べられていた。
その色とりどりの料理に、ニャーチは目を爛々と輝かせる。
「どれもとってもおいしそうなのにゃっ! はやくいただきますしたいのにゃーっ!」
「はいはい、その前にこれもありますよ」
キッチンで最後まで準備をしていたタクミが、一つの大きな丸皿をテーブルへと運んできた。
いつものように朗らかに声をかけながら、運んできた皿をニャーチの前に置く。
するとニャーチはタクミへと振り向き、満面の笑顔を見せた。
「これ! お誕生日ケーキなのなっ!」
「ええ、今年はみんなも手伝ってくれたおかげで、ケーキもちゃんと用意することが出来ました。で、最後に一本だけですけど……」
タクミはそう言いながら、傍らに用意しておいた細いキャンドルを中央に立てる。
そしてキャンドルに火をつけると、テーブルを囲んでいる全員に目で合図を送った。
「ニャーチさんっ」
「「誕生日っ」」
「「「「おめでとうございまーすっ!」」」」
ルナ、ロランド、フィデル、そしてテオからのお祝いの言葉に、ニャーチはにまーっと笑顔を浮かべる。
そして、傍らにいたタクミに促されつつ、キャンドルの炎をふーっと吹き消した。
誕生日を祝う儀式を終えた『ツバメ』のホールに、パチパチと拍手が響き渡る。
しばらくすると今日の主役であるニャーチが、もじもじと照れくさそうにしながら、声を上げた。
「にゃっ! 本当にみんなありがとなのなっ! でも、せっかくのごはんが冷めちゃうから、早速食べるのなっ! みんなも一緒にワイワイやるのにゃーっ!」
ニャーチの恥ずかしそうな様子にくすっと笑みをこぼしながら、タクミもまた席に着いて声をかける。
「そうですね。では、早速頂きましょう。 では……」
「「「「「かんぱーいっ!」」」」なのにゃーっ!」
大人三人はスパークリングワインで、若者組はジュースで乾杯を済ませると、早速楽しい会食が始まった。
ニャーチは骨付きのスペアリブに手を伸ばすと、満面の笑みでかぶり付いていく。
ロランドとフィデルは唐揚げをしっかりと確保し、ルナはコーンポタージュに舌鼓を打っていた。
テオはどうやらピーマンのひき肉詰めが気に入ったようで、グラスを片手にもりもりと食べ進めている。
楽しく会話を弾ませながらテーブルを囲んでいる様子に、タクミはいつも以上の微笑みをたたえながら何度も何度も頷いていた。
―――――
楽しい食事もすいぶんと進み、皆が一服を始めたところで、ルナが席を立って手を上げた。
「はーいっ。ではここからはプレゼントタイムですーっ! 今日はニャーチさんに誕生日のプレゼントを用意してますっ!」
「ふ、ふにゃーっ!?」
突然のことに猫耳をピンと立てて驚くニャーチ。
その様子を見て、ロランドも楽しそうな笑みを浮かべながら説明を続けた。
「ルナちゃんの発案で、いつもお世話になってるニャーチさんにプレゼントしようってことになったんっす」
「俺たちからの感謝の気持ちです。ぜひ受け取ってくださいっ」
「みんにゃ……、ありがとなのにゃーっ!!」
望外の喜びで気持ちがざわめいたのか、ニャーチが席を立ってウニウニと踊り始めた。
その様子を横目に、タクミもまた頭を下げる。
「皆さんありがとうございます。ほらほら、ニャーチも踊ってないでちゃんと受け取りなさい」
「はいなのなーっ! さーて、何かにゃ何かにゃー?」
元気な返事をした割には、変わらず踊り続けるニャーチ。
そんないつもと変わらない様子に、一同顔を合わせてくすっと笑みをこぼした。
「じゃあ、俺からいくっすね。なかなか悩んだっすけど、これならニャーチさん喜んでくれるかなって」
最初にプレゼントを手渡したのはロランドであった。
そっけない紙に包まれた封筒には『いつもありがとうございます』とこれまたそっけないメッセージが書かれている。
「ありがとなのなっ! にゃんだろう? 開けていい!? ねぇ、開けてもいいっ?」
ロランドがコクリと首肯するのを確認してから、ニャーチが包み紙を開いていく。
メッセージの部分が破れないように丁寧に開くと、いっそうキラキラと目を輝かせた。
「えーっとこれは……、わかったスケッチブックなのなっ! お絵かきいっぱいできるのなっ!」
「うぃっす。いつも紙の裏とか伝票とかに落書きしてるじゃないっすか。だからニャーチさんってお絵かきが好きなんだろうなって思って、選んだっす!」
「ありがとなのなっ! さすがはロランド君、ニャーチのこと良く分かってるのなっ!」
ニャーチはそういいながらロランドにハグで感謝を伝える。
そのお礼は少年には少々刺激的だったようで、ロランドは思わず顔を真っ赤に染めた。
「じゃ、次は俺ですね。ロランドにしてはなかなか気が利いたものを選んだっぽいですが、俺のはまた一味違いますよ? ニャーチさん、どうぞ俺のも見てみてくださいっ」
フィデルが渡したのは、きれいな模様が描かれた薄手の布袋であった。
口の部分を纏めている赤いリボンを外して、ニャーチが中を覗きこむ。
すると、またもやニャーチが大きな歓声を上げた。
「これはまたすごいのにゃっ! おしゃれアイテムなのなっ!」
「街中で前に見かけたときに、『あ、これニャーチさんにぴったりだ』と思ったんですよね。タクミさんとのデートのときにでも使ってください」
フィデルが贈ったのは、革で出来た黒いポシェットであった。
ワンポイントとして猫のシルエットが描かれており、留め具の部分には肉球を模した形の飾りがついている。
早速身につけてみると、やや大きめのポシェットがかわいらしくニャーチの腰に納まった。
「とってもかわいいし、使いやすそうなのにゃっ! フィデル君もありがとうなのにゃーっ!」
そう言いながらニャーチは、フィデルにもハグをする。
先にロランドの様子を見ていたフィデルは、どこか余裕の仕草で、しかしほんのりと頬を染めながらニャーチ流のお礼を受け止めた。
「じゃあ、次は私から。若者組では手に入らない、ニャーチさんのための逸品を用意させて頂きました! さぁ、どうぞっ」
自信に満ちた表情で語りながら、テオが一つの木箱をニャーチへと差し出した。
蓋をぱかっと開くと、中には緩衝剤がわりの鉋屑が敷き詰められている。
そして、その中央には透き通った琥珀色の液体が入った一本のガラス瓶が納められていた。
「お酒がお好きなニャーチさんのために選んだ、最高級のロンです! 深い色合いは樽の中で長年熟成された証。折角の機会なので、奮発させていただきました……、って、あれ?」
意気揚々と説明し始めたものの、周りの微妙な空気にテオは徐々にトーンダウンしてしまう。
ニャーチの笑顔も、どこかに苦みが混じっているようだ。
「……あれ?」
もっと激烈に喜んでもらえるかと思っていたテオは、おかしな雰囲気に辺りをきょろきょろとし始める。
そこに声をかけたのは、この場にいたもう一人の女性、ルナであった。
「あのー、テオさん? たぶん女性への贈り物として、ロンはちょっと……」
「え? でも、ニャーチさん、お酒好きみたいだし……」
「ええ、それでも、ロンって確か荒々しい風味の割と強いお酒じゃないですか。そうすると、男性相手にはともかく、女性がもらっても喜びづらいかなーって」
「え、そ、そういうもん?」
周りに確認を求めるが、フィデルもロランドもウンウンと頷いていた。
自分の失敗にようやく気付き、苦笑いを浮かべるテオ。
すると、それをフォローするように、ニャーチがお礼の言葉を述べた
「う、うん……、でも、これはこれでテオくんらしいのにゃっ。むしろ、このうっかりはテオくんじゃなきゃできないのなっ! ホントにうれしいのにゃよ? ありがとなのなっ!」
自分を納得させるように言葉を口にしたニャーチは、最後には笑顔でうんうんと何度も頷いた。
テオは、頭をポリポリと掻きながらも、頭を下げてその礼に応えた。
「じゃあ、最後は私ですっ。皆さんみたいにお金はあんまりかけられませんでしたが、その分気持ちを込めましたっ!」
ルナが渡したのは少しふくらみのある封筒。
その表側には、かわいらしいニャーチの似顔絵が描かれている。
受け取ったニャーチは、にこっと微笑みながら封筒を開き、中のものを取り出した。
「にゃっ! これはとってもかわいいのにゃっ!」
ルナが贈ったのは、硬貨を三つほど並べたほどの大きさがある卵型のブローチであった。
金属の土台の上には、きれいに磨かれた丸い木の板がはめ込まれている。
そして、その木のブローチには、封筒にもあったニャーチの笑顔が同じように描かれていた。
「この間テオさんに紹介してもらった美容師さんに土台を譲って頂いて、そこに頑張ってニャーチさんを描きましたっ。あんまり上手に描けなかったんですけど、もらって頂けますかっ?」
「もちろんなのなっ! こんなにかわいく描いてもらって、とっても嬉しいのなっ! 何より、ルナちゃんの気持ちに、いっぱいいっぱいありがとうなのにゃーっ!」
ニャーチは一目散にルナへ駆け寄ると、ハグをしながら頬ずりをする。
全身で喜びを表すニャーチに驚きつつも、ルナもまたニャーチをしっかりと抱きしめた。
ひとしきり喜びを分かち合ったところでようやく離れたニャーチが、四人からもらったプレゼントを机の上に並べていく。
「これがロランドくんので、こっちはフィデルくんの、で、このお酒はテオくんからので、このお手製のブローチがルナちゃんのなのなっ! みんな、本当にありがとうなのなっ! 今までで一番うれしい誕生日になったのにゃっ!」
ニャーチが満面の笑みでぺこっと頭を下げると、四人が顔を見合わせ、そしてはにかみながら声をかけ合う。
「そういってもらえると、なぁ……」
「ああ、頑張った甲斐があったな。 ルナちゃんのお手柄だね」
「そんなことはないですっ。これはみんなのそれぞれの気持ち」
「自分はちょっとはずしちゃいましたけどねー」
一人バツが悪そうにしていたテオがおどけると、テーブルがどっと笑いに包まれた。
そしてようやく場が落ち着いた頃、静かに見守っていたタクミが全員に声をかける。
「本当に皆さん、ニャーチのためにありがとうございます。私からもお礼を申し上げます。さて、まだ料理もありますし、せっかくなのでもう一度乾杯しましょうか?」
「そういや、師匠からは何かプレゼントをあげないんっすか?」
「あ、そういえば……、タクミさん、どうなんです?」
ふと気づいたようにタクミに質問をするロランドとフィデル。
それに対してタクミが何か言おうと口を開きかけるが、それよりも早くニャーチが二人の疑問に答えた。
「大丈夫なのなっ! ごしゅじんからはもういっぱいもらっているのなっ!」
「えっ? それって何なのですっ?」
興味深々といった様子で尋ねるルナ。
するとニャーチは、満面の笑みを浮かべながら、力強く答えた。
「ごしゅじんは寝る前にいつもいっぱいハグしてくれるのなっ! だからそれでじゅーぶんなのなっ!」
その言葉を予想していたのか、タクミは明後日の方向を向いてポリポリと頬を掻いている。
思わぬ惚気に当てられ、若者組の三人は固まってしまった。
そしてなんとか気を取り直したテオが、ぽつりとつぶやいた。
「えーっと……、ごちそうさまでしたっ!」
お読みいただきましてありがとうございました。
今回のCoffee Breakは1年越しのニャーチお誕生日回でした。
さて、一部では既に書籍化に関する情報らしきものがチラリと見える状況になっておりますが、現在発表に向けて最後の詰めを行っている段階です。
もう間もなく正式に発表できる段取りとなるかと存じますので、もう少しだけお待ちいただけましたら幸いです。
きっと皆様に喜んでいただけるような情報をお届けできるかと存じます。
書籍化に関する情報はツイッターや活動報告でもお届けする形になるかと存じますので、
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それでは、引き続きご愛読いただけますようよろしくお願い申し上げます。