6.牙をむく吸血鬼
GM葵子「夕刻の投票が済みました。ただ今より結果を報告させていただきます。
高椿子爵は、土方中尉に票を投じました。
行商人猫谷は、土方中尉に票を投じました。
女将志乃は、行商人猫谷に票を投じました。
令嬢琴音は、土方中尉に票を投じました。
土方中尉は、行商人猫谷に票を投じました。
土方中尉が三票、行商人猫谷が二票を獲得しました。
土方中尉の心臓に聖なる杭が打ち込まれました」
ゲームは終了宣告されることなく一日目の夜に進んでいった。こうして初めて、吸血鬼を除いたゲームの参加者全員は、ある事実に気付くこととなる――。
土方晃暉中尉は吸血鬼ではなかったということに!
吸血鬼となった人物の画面には、GMから送られた赤枠の入力画面が、昼の議論の途中からずっと表示され続けている。
よく見ると、参加者の五人の中で、自分と土方中尉の名前が書かれたチェックボックスだけが消えてしまっている。特に、土方中尉のチェックボックスは、先ほどの処刑投票の前までは表示されていたのだが、処刑の結果が報告されて間もなく消えてしまったのだ。明らかに、GMの手腕によるものである。
それを確認したこの人物は、そっと一人の名前が書かれたチェックボックスにしるしを刻んだ。
今宵の憐れなる犠牲者に……。