25.子爵が書いた遺書
夕刻の投票が終わり、結果が報告された。
GM葵子「これより三日目の処刑投票の結果を報告させていただきます。
執事大河内は、散髪屋高遠に票を投じました。
令嬢琴音は、散髪屋高遠に票を投じました。
行商人猫谷は、散髪屋高遠に票を投じました。
久保川医師は、散髪屋高遠に票を投じました。
土方中尉は、散髪屋高遠に票を投じました。
散髪屋高遠は、行商人猫谷に票を投じました。
女将志乃は、散髪屋高遠に票を投じました。
散髪屋高遠が六票、行商人猫谷が一票を獲得しました。
散髪屋高遠の心臓に聖なる杭が打ち込まれました」
夜になると、探偵である人物の下に高椿子爵の遺書がGMから送信されてきた。これは子爵を操作する人物が、昨晩に書き残したものである。探偵は、調査した人物の残した遺書を、死後一日経過してから、ようやく読むことができるのだ。
そこにはこう書かれていた。
この遺書を読んでいる人物には、我が正体が筒抜けのはず。故に、隠しごとをする必要もなく思いを語ることができる。
その通り、わたしが吸血鬼である。しかし、その事実を皆に納得させるのは容易ではなかろう。
ゲームはまだ進行中だ。だから、わたしにはこれ以上ここに書き残すべきことはない。
かえすがえすも残念なのは、猫谷氏の証言を覆せなかったことであり、わたしの栄光の三連勝が極めて遠のいてしまったことだ。
華麗なる豪族、高椿精司。
これを読んだ探偵はくすくすと笑いだした。吸血鬼の子爵が死んでしまったし、天文家と探偵はまだ生き残っている。明日の議論で残りの吸血鬼を吊し上げることもさほど困難はなかろう。
さあ、村人側の勝利は目前だ!




