表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/28

2.小間使いからの手紙

 ゲームマスター(GM)とは、ゲームの進行を世話する役目で、自身はゲームには参加しない。

 さっそく、GMとなった小間使い東野葵子から五名の参加者プレーヤーに、今回のゲームにおける各人の役割が、個人当ての手紙メールによって通達された。

 ここで、その五名を再度確認しておこう。今回の参加者は、高椿たかつばき精司せいじ子爵、令嬢梅小路うめこうじ琴音ことね、女将柳原やなぎばら志乃しの、行商人猫谷ねこや庄一郎しょういちろう、将校土方ひじかた晃暉こうきである。


 ◇◆◇◆


 参加者の中のある一人の人物のもとには、小間使い葵子が送信した次のような一通の手紙メールが届いていた。


 GMより、親愛なる**さまへ――

 今回のゲームで、あなたは『吸血鬼』となりました。


 そうか、自分が吸血鬼になったのか。これは面白い。

 手紙を受け取った人物は、ゲームのルールが書かれた説明書きマニュアルを開いて、吸血鬼の項に目を通した。


 吸血鬼の留意点(ルール記載書より)

 吸血鬼側に属し、吸血鬼側の勝利を目指している。

 今回のゲームでは吸血鬼は一人である。吸血鬼が死亡した時点で、吸血鬼側は敗北を喫する。しかし、その前に生き残っている村人の総数を一人まで減らせば、その時点で吸血鬼側が勝利する。

 毎夜、一人を襲うことができる。襲撃先の人物は夜になるまでに設定しなければならない。もし、設定がなければ、その夜の襲撃を放棄することとなる。


 やがて、文章を読み終えると、その人物は不気味な笑みを口もとににじませた。


 ◇◆◇◆


 先ほどとは別な人物のもとにも、小間使いからの手紙メールが送られていた。


 GMより、親愛なる**さまへ――

 今回のゲームで、あなたは『天文家』となりました。


 手紙を受け取った人物は考えた。どうやら、村人側で最も重要な役割を担ってしまったようだ。村人側の運命を握っているのはこの自分ということになる。でも、そんな勤めを無事に果たすことなんてできるのだろうか?

 その人物は、恐る恐る、天文家の説明書きマニュアルを読み始めた。


 天文家の留意点(ルール記載書より)

 村人側に属し、村人側の勝利を目指している。

 毎晩、一人の行動を観測することができる。もし、その人物が吸血鬼であれば、そいつが夜空に向かって飛び立つ姿を目撃することになる。吸血鬼以外の人物を観測した場合には、何も起こらなかったという事実を認識する。

 観測をする先の人物は、夜になるまでに設定しなければならない。もし、設定がなければ、その夜の観測を放棄することとなる。


 ◇◆◇◆


 それ以外の三人にも、小間使いは次の文面を送っていた。


 GMより、親愛なる**さまへ――

 今回のゲームで、あなたは『村人』となりました。


 手紙を受け取った三名の人物は、誰もが恐怖の余り震えおののいた。

 魔物に襲われれば何も抵抗ができない無力な存在。そんな村人が生き残ることなどできるのだろうか?

 この『吸血鬼の村』というルールでは、配役が、主流になっている人狼ゲームのものと、次のように対応しています。


  人狼ゲーム  吸血鬼の村

  人狼     吸血鬼

  狂人     使徒

  占い師    天文家

  霊能者    探偵

  狩人     猟師

  

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ