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12.二回目のゲームを始めます

GM葵子「それでは準備も整いましたので、二回目のゲームを始めたいと思います。

 ここは名もなき村。今、皆さんの目の前には、昨晩、吸血鬼から襲われてしまったわたくしの無残な死体が転がっております。

 これではっきりいたしました。ここにいらっしゃいます五名の皆さんの中には、恐ろしい吸血鬼が一人だけ紛れ込んでおります。すみやかに吸血鬼を退治しなければ、翌日も、その次の日にも憐れな犠牲者が生まれてしまうことでしょう。

 幸いなことに、皆さんの中には過去を見通す力を有する探偵と、未来を救う力を有する猟師がおります。さらには、吸血鬼のしもべたる使徒も紛れ込んでおります。

 さあ、一刻も早く恐ろしい吸血鬼を見つけ出して退治してください」


 参加者全員には、小間使い葵子が送信した銘々の役割が記された手紙メールがすでに届いていた。


 ◇◆◇◆


 GMより、親愛なる**さまへ――

 今回のゲームで、あなたは『吸血鬼』となりました。


 やった、自分が吸血鬼になれたんだ!

 その手紙を受け取った人物は、すぐさま説明書きマニュアルに目をやった。


 吸血鬼の留意点(ルール記載書より)

 吸血鬼側に属し、吸血鬼側の勝利を目指している。

 今回のゲームでは吸血鬼は一人である。吸血鬼が死亡した時点で、吸血鬼側は敗北を喫する。しかし、その前に生き残っている村人(ここでは使徒も含む)の総数を一人まで減らせれば、その時点で吸血鬼側が勝利する。

 毎夜、一人を襲うことができる。襲撃先の人物は夜になるまでに設定しなければならない。もし、設定がなければ、その夜の襲撃を放棄することとなる。

 五人の中には、吸血鬼のしもべである使徒が紛れ込んでいる。使徒は、吸血鬼側に属していて、吸血鬼の正体が誰であるかを知っている。一方、吸血鬼は使徒が誰なのかを知らない。


 吸血鬼となったその人物は、ふっとほくそ笑んだ。さっきのゲームの仕返しをする絶好の機会が、こんなに早く訪れるなんて……。


 ◇◆◇◆


 GMより、親愛なる**さまへ――

 今回のゲームで、あなたは『探偵』となりました。


 探偵になったその人物は、無表情のまま説明書きマニュアルを開いた。


 探偵の留意点(ルール記載書より)

 村人側に属し、村人側の勝利を目指している。

 二日目以降になってから能力を発揮することができて、朝になると、前日に選択した一人について、その人物が吸血鬼なのかそうでないのかを知ることができる(実際にはGMから探偵に、朝になった時点で、調査結果が報告される)。

 なお、調査する人物は、前日の夜になるまでに設定しなければならない。もし、設定がなければ、その日の調査を放棄することとなる。

 さらに、今回のゲーム(第二ゲーム)では、探偵の調査対象は生存者でも死者でもどちらでもよい。


 なるほどね、しかし探偵の能力なんて少人数戦ではあまり効果が期待できそうもないな。さて、どうしたものか?

 探偵になったその人物は、深く考えに沈んでいった。


 ◇◆◇◆


 GMより、親愛なる**さまへ――

 今回のゲームで、あなたは『猟師』となりました。


 猟師を命じられたその人物は、ただちに猟師の説明項目を読み始めた。


 猟師の留意点(ルール記載書より)

 村人側に属し、村人側の勝利を目指している。

 毎夜、一人の人物の護衛をすることができる。もし、護衛先に指定した人物がその夜に吸血鬼から襲撃を受ければ、それを防ぐことができる。

 首尾よく攻撃を防いだ場合には、猟師は護衛した人物が吸血鬼から襲撃を受けた事実と、護衛した人物が吸血鬼ではないという事実を認識する。しかし、襲ってきた吸血鬼が誰であるかまでは、暗闇の中の出来事ゆえに、知ることができない。

 また、猟師は全ゲームを通じて一度だけ『銀弾』を使用することができる。銀弾使用の有無は、護衛先を指定する際に同時に行う。

 銀弾使用時の夜に、護衛した人物を吸血鬼の襲撃から防いだ時には、『返り討ち』として、吸血鬼を銀弾で殺してしまう。

 護衛する先の人物は、夜になるまでに設定しなければならない。もし、設定がなければ、その夜の護衛を放棄することとなる。また、自分自身を護衛先に設定することも可能である。


 ◇◆◇◆


 GMより、親愛なる**さまへ――

 今回のゲームで、あなたは『使徒』となりました。


 使徒だって? 何やら妙な役回りにされてしまったな……。

 使徒となったその人物はあわててルールの確認を行った。


 使徒の留意点(ルール記載書より)

 吸血鬼側に属し、吸血鬼側の勝利を目指している。

 数勘定の上では、使徒は村人と全く同じ扱いである。ゲーム開始時から、使徒は吸血鬼の正体を知っている。吸血鬼は使徒が誰であるかを知らない。


 さらに、GMから次のような極秘メッセージも送られてきた。


 GMより、親愛なる**さまへ――

 今回のゲームで、あなたの主人となる吸血鬼になった人物のお名前は―― ** です。


 そうか、こいつが今回のゲームで味方になった吸血鬼か!

 使徒となった人物は、腕組みをして椅子に拠りかかると、静かに目を閉じた。


 ◇◆◇◆


 GMより、親愛なる**さまへ――

 今回のゲームで、あなたは『村人』となりました。


 村人になったその人物は、自らの運のなさを呪った。五人のうち四人までもが特殊能力者になれるルールの中で、何故に自分だけが無力な村人になってしまうのだ?

 頭を掻きながらも、その人物はゲームが長期化するのに備えて、コーヒーを入れるため席を外した。


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