11.フリートーク
令嬢琴音「何よ何よ? 子爵さまが吸血鬼だったの?
そんなあ、琴音は最後まで一心に、ただただ子爵さまだけをお慕い申しておりましたのにい……」
ゲームが終了したので、参加者全員でゲームの反省を顧みるフリートークの時間帯となった。
高椿子爵「いやあ、二日目の女将さんの揺さぶりには、若干肝を冷やしましたね。でも、終わってみればわたしの知力が皆さんを圧倒したということでしょう」
令嬢琴音「だって、琴音は子爵さまを信じたがゆえに、危険も怖れずに自らの正体を暴露いたしましたのよ」
高椿子爵「いやあ、あのお馬鹿発言にはほとほと参りましたね。真面目に天文家であると暴露されたんですか? いやはや。
想定外の爆弾発言のせいで、わたしの明晰なる頭脳の回路もしばらく混乱をきたしてしまいましたよ。はっはっは。
まあ、この恥さらしを機に、もう少しレベルの高い行動を、以後のゲームではお嬢さまに期待申し上げます」
ううっ、こいつ本当は性格悪いやつなのかも……、と令嬢は心の中でそう唱えたが、あえて口には出さなかった。
土方中尉「しかし、最後に女将が起死回生の一撃を放ったにもかかわらず、猫谷氏がそのチャンスに応えることができなかった。実に残念である」
行商人猫谷「なんでい、なんでい。結局、責任は俺さまに振ってくるということかい? 二日目のあの状況で子爵と女将のどちらにつくかなんて、神さまじゃなければ分かるはずねえや!」
女将志乃「たしかに、猫さんのいう通りだわ。あたしたちの完敗よ。今回のゲームはね」
土方晃暉「ここに来て、余もようやくゲームの内容が理解できた。今度は皆の足を引っ張らぬよう配慮するから、早々に次のゲームを始めよう」
高椿子爵「ふん、どうせわたしがまた勝利の美酒を味わうことになるのでしょうがね。
よろしい。葵子、第二ゲームを準備しなさい!」