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トリックエンジェル ~院内学級の物語  作者: まーしゃ
第2章 院内学級編
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短編クリスマスイブ

この物語にでてくる薬名、治療法、一部の病名、一部の物理法則はフィクションです。

小さな家の一室。部屋の隅には小さなクリスマスツリー。窓には折り紙を切って作った雪や星。そして部屋の真中にはコタツが一つ。


そんな慎ましやかな雰囲気の中で3人は聖夜を迎える。


舞  :「うわ~、雪が降ってきた。」


あきら:「ホワイトクリスマスだな。」


冬子 :「冬子、感動しました。」


3人で迎える初めてのクリスマスイブ。まだまだぎこちない3人のイブ。


あきら:「社長がクリスマスケーキくれたんだ。」


あきらがデコレーションケーキをコタツの上に置く。


舞がロウソクを取り出しケーキに何本か立てる。


舞  :「冬ちゃん、ロウソクに火をつけて。」


冬子 :「はい。」


冬子がそのロウソクに火をつける。


舞  :「きれい。」


ロウソクの火が揺らいで幻想的な風景がかもし出される。


冬子 :「さあ、ご飯にしましょう。」


舞  :「うん!」


あきら:「待ってました!」


冬子 :「その前に和恵さんにおすそ分け。」


冬子が和恵の写真の前に料理を置く。結婚したとき和恵の写真をしまおうとしたが、冬子が反対してそのまま置いてある。


舞  :「今日の料理は何?」


冬子 :「チーズフォンデュです。」


あきら:「え? 全然チーズの匂いしないじゃん。」


冬子 :「冬子の自信作です。食べてください。」


あきら:「ああ、遠慮なく」


舞  :「いただきます。」


二人は早速串に刺さった料理をチーズに満たされた鍋に通して口に持ってく。


そして、二人とも、呆然として串を落とす。


「箸落としの冬子」の本領発揮だ。


舞  :「ママ! なにこれ?!」


あきら:「こんなうまいものが地上に存在するのか?!」


全然チーズ臭くなく、それでいてとってもクリーミーでまろやかな味が口の中に広がる。


冬子 :「昔、チーズは醍醐と言われてました。舞ちゃんとあきらさんはとっても幸せです。思わず冬子に感謝したくなるでしょう。」


舞  :「ママ、私すごく感謝する!」


舞は普段冬子のことを「冬ちゃん」と呼ぶ。でも本当に感情が高ぶった時は無意識に「ママ」と呼ぶ。めったにないことだ。


あきら:「これが醍醐味か」


この前カレー鍋を食べたとき、これ以上のものは食べられないと思っていたがあっさり、いい意味で裏切られた。あきらはそう思った。


冬子 :「どうです? 冬子に懐柔されましたか?」


舞  :「うん。ママ最高!」


あきら:「ああ、こんな懐柔なら何度でもされたい。」


あきら:「冬子、俺からのお返しのクリスマスプレゼントだ。受け取ってくれ。」


冬子がプレゼントを受け取り、包みを開ける。


あきら:「プラチナのネックレスだ。受けとってくれ。」


冬子 :「あきらさん、これすごい値段しますよね。10万円は下らないはずです。」


あきら:「そんなの気にするな。冬子が俺たちに与えてくれた幸せに比べたら何百分の一だ。」


冬子 :「あきらさんありがとう。あきらさん、もしかしていい人かも知れません。」


あきら:「何をいまさら。」


あきら:「舞、おまえにもプレゼントだ。60色の色鉛筆と新しい画帳だ。」


舞  :「パパ、ありがと~。60色欲しかったんだ。」


舞は本当にうれしそうだ。


舞  :「私からもパパと冬ちゃんにプレゼント。はい。」


舞は2枚の画用紙を二人に渡す。そこには二人の似顔絵がかかれていた。


冬子 :「舞ちゃん、ありがとう。」


冬子は舞に抱きつく。


外の雪はだんだん激しさを増していく。


あきら:「これは積もりそうだな。」


そうあきらはつぶやいた。そして、


あきら:「こんな、何気ない生活がこんなに幸せとは...」


舞  :「うん。幸せ。」


3人の聖夜はこうやってふけていった。


おしまい

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