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【彼女の教室】 3/27完結「ずっと見ていたのは、あなたかもしれない」 ~後ろの席は空席のはずなのに、誰かが“決めて”いる  作者: Taku


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2/5

第2話 「あの日の『いいね』は、誰だったのか?」~3年C組、45分間の密室推理・第二章~

※この作品は『彼女の計画』シリーズのスピンオフですが、本編未読の方でも独立した作品としてお楽しみいただけます。

【前回までのあらすじ】


四月。クラス委員決めのLHR。

誰も立候補しない中、瞳の「じゃあ、拓で決まり」の一言で拓が委員に決まる。

しかし純が「拓さん、やるって言ってない」と異議を唱える。

拓は「“別にいい”って言っただけだ」と静かに言い、教室に長い沈黙が残る。窓の外のフェンスの手前には、かすかな「揺らぎ」のようなものがあった。


五月。


文化祭の出し物を決めるLHR。

瞳が配ったプリントには役割分担まで書かれていた。

康介が気づく――締切が昨日の夜になっている。誰も決めた覚えがないのに、いつの間にか決まっていた。拓は呟く。

「空気って、俺たち全員の呼吸でできてるんだな」。

教室を出る純が机の上に見つけたメモには『文化祭の出し物は、まだ決まっていない』と書かれていた。


---


六月の午後。


梅雨の合間の晴れ間。湿気を含んだ空気が教室に漂う。


LHRのチャイムが鳴る。担任は職員室に戻り、教室には6人だけが残されている。


「……なんか、今日は静かだね」


沙織が呟く。誰も答えない。


---


六月の午後。


その時、拓のスマホが震えた。


画面に表示された通知。


「1年前の今日、あなたはこの投稿に『いいね』しました」


拓がタップする。夕暮れの非常階段が写っていた。誰もいない。鉄骨の影が長く伸びている。


康介が写真を拡大する。

「下から撮ってる。渡り廊下からだ」


沙織が首をかしげる。

「渡り廊下って……工事中で立ち入り禁止じゃなかった?」


沈黙。


Eが、小さく言った。

「……この写真、私の目の高さと同じ」


全員の視線がEに集まる。


「あの日、私は渡り廊下に立っていた。でも、写真は撮っていない」


写真はある。Eの視線の高さで、Eがいたはずの場所から、撮影されている。


でも、Eは撮っていない。


ピコン


短い通知音が響く。全員が自分のスマホを確認する。違う。


ピコン


今度は、教室の後ろの方から。


一番後ろの窓際の席に、誰も置いた覚えのないスマホが置かれている。


拓が近づき、手に取る。画面は真っ暗。でも、通知履歴に一件だけ残っている。


「あなたはこの投稿に『いいね』しました」


同じ写真。同じ時間。


ピコン


もう一度通知音が鳴った。今度は、誰のスマホからも聞こえなかった。置かれたままのスマホの画面が、一瞬だけ薄く明るくなった。


誰も何も言わない。


拓はスマホを、元の位置に戻した。


拓が窓の外を見たまま、ぽつりと言った。

「……押した側も、押された側も、変わってしまうんだな」


長い沈黙。


窓の外、校庭のフェンスの手前。いつもの場所に、揺らぎがある。じっと、そこに立っているだけ。


チャイムが鳴る。


誰もすぐには立ち上がらなかった。


教室を出る最後の一人、純が机の上に落ちているものを見つける。


小さなメモ。


『あの日の「いいね」は、まだ押されていない』


窓の外の揺らぎは、もう消えていた。


純はメモをポケットにしまい、教室の灯りを消した。


最後までお読みいただき、ありがとうございます。


『彼女の教室』は、本編『彼女の計画』シリーズの登場人物たちの高校時代(同級生設定)を描く全8話の学園ミステリーです。

本編で複雑に絡み合う大人たちの「なぜ」の答えが、この教室の中に隠されています。


また、本編『彼女の計画』シリーズも連載中です。

ご興味のある方は、作者ページよりぜひお越しください。


X(旧Twitter):@KEI67266073

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