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第3話 作戦会議

vtuberになる決意をしてすぐに俺は九十九に連絡を送った。翌日九十九から決めたいことがあるから作戦会議をしないかという返事が来たので俺たちは打ち合わせをすることになった。

九十九からのビデオ通話が着信し、俺は一瞬身構えたものの、すぐに画面をタップした。


九十九「もしもし。急にごめんね。高橋からメール来てびっくりしたけど、本当にVTuberやるって決めたの?」


高橋「ああ。決めた」


九十九「よし!じゃあ早速だけど、作戦会議しよっか」

「まずは名前かな、やっぱり覚えてもらいやすいような名前がいいよね」


高橋「名前は考えてある……憂生イツカにしようと思う」


九十九「うえいくいつか……?漢字はなんてかくの?」


高橋「憂いに生きるでうえいく、イツカはカタカナだ」


九十九「それって、いつか上に行くってこと?ダジャレ?」


高橋「ああそうだ」


九十九「ふふっ、あ、ごめんね馬鹿にしてるわけじゃないんだけど真顔で肯定したから、ふふっ。イツカ君って呼ぶのちょっと恥ずかしいかも」


彼女は笑いながら冗談めいた口調で言った


高橋「別にいいだろ。こういうのはやりすぎなぐらいが良いんだよ。他のvtuberだってダジャレみたいな名前ばっかだろ?」


九十九「まあ確かに、じゃあ名前は決定で」

「あとごめん言い忘れてたんだけど機材は大丈夫そ?PCは持ってるって言ってたけどマイクとかオーディオインターフェースとか、いろいろ必要になるの。」


高橋「ああ、そこは自分で何とかする」


九十九「オッケーじゃあ一応リスト化しておいたからあとで送るね」


高橋「ありがとう」


九十九「次は活動方針ね。高橋は何をメインに活動していく?」


一言にvtuberと言ってもそのタイプはさまざまである。歌やダンスをメインに活動していたり、ゲームに芸術、極論を言えば世の中のすべてのことに対してアバターを着て発信していればvtuberとなるのである。例えば人気vtuberである暁野ひなたは歌やダンス、ゲームに加え、企業とのコラボやその他諸々、動画サイトの枠を超え非常にマルチに活動している。そして、柑咲シトラはゲームや雑談の配信がメイン、最近は歌などの活動も行っているようだがどうでもいい。シトラに勝つというのが目標であれば俺は当然ゲーム配信をメインにすることを選ぶ。


高橋「特に武器になるような特技は無いけど、ゲーム配信をしようと思う。ゲームなら昔から結構やってるし」


九十九「うん、良いと思う。じゃあ、次は設定も決めちゃおう?デザインする時の参考にさせてもらうから。」


高橋「いや、そういうのはいい。細かく設定してもどうせ守れねーから。だったら最初から考えずに行こうと思う。」

高橋「ただし、俺がバーチャル世界の住人であること、それだけは守ろうと思うんだ。一つだけならいけると思うんだよな」


Vtuberは設定があることが多い、未来から来たネコ型ロボットだったりリンゴ三個分の体重だったりそういうものだ。これはVtuberがキャラクターであるという側面を反映した要素だと思うのだが、実際その設定はどのVtuberもあまり守ってはいない。いざ自分がVtuberになろうとしてみて分かった、それを忠実にロールプレイするのはあまりに骨が折れる。いちいち設定を考えながら話をするなんて想像するだけでも大変だ。しかし、それではせっかくのバーチャル要素が損なわれてしまうように感じる。苦肉の策としてバーチャル要素だけを設定とし、それを貫くことに決めた。




九十九は一瞬だけ目を丸くするが、すぐに納得したように頷いた。


九十九「なるほど。それならアバターのデザイン。つまりイツカくんの見た目はね、高橋に似せようと思うの。その方がありのままって感じでのが楽でしょ?」


高橋「それはそうだけど、俺に寄せても九十九の絵の魅力がなくなるだけなんじゃねーのか?」


九十九「そこは任せといて」


九十九「リアルの高橋って、なんだか気だるげで、少し冷めた目をしてるよね。そういう見た目の青年をデザインしてみる。」


「わかった。それで頼む」


九十九の言葉は力強かった。その自信に満ちた表情を見ていると俺の不安などちっぽけなものに感じてしまう。


九十九「とりあえずこんな感じでいいかな。後はデザインが完成してからにしよっか」


高橋「了解。じゃあ俺はそれまでゲーム配信の内容でも考えとくよ」


九十九「わかった、今日はありがと。また今度ね」


高橋「俺のほうこそ、本当に、ありがとう」


九十九単との通話を終え、俺は画面が暗転した部屋で一人になった。やはり彼女のイラストレーターとしての実績からだろうか。九十九と話しているとすべてを彼女に任せておけば大丈夫だという気持ちになるのだ。


大船に乗った気持ちで俺はポツリと呟いた。


高橋「にしても次からは普通に通話でいいだろ」


そんなどうでもいいことを考えながら俺は確かな充実感を味わっていたのだった。


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