表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/29

第2話 対立

月明かりが差し込む部屋で俺はただ考えていた


九十九単の提案は、まさに渡りに船だった。無職の俺に、生活を立て直す道筋が見えたのだ。それも、有名イラストレーターである九十九単の協力まで得られる。普通なら、飛びつかない理由はない。だが俺はvtuberのアンチだ。かつてvtuberに夢を見ていた感情に蓋をし、アンチという名の鎧を身に纏った。紛れもなくそれは変わらない。


未だ自分の中で答えは出なかった。


堂々巡りの先に行きつくのは日々のルーティンである。俺はパソコンの前に座り柑咲シトラのつぶやきをチェックする。



柑咲シトラ @kanzakishitorav


まだまだ暑さが続きますね!暑さでPCが動かなくなった時の対処法をまとめてみました!もしお役に立てれば嬉しいです! 以下画像



なんだこれ。調べてみました系のブログかよ。しょーもないバズ狙いなのが透けて見えるんだよなぁ。やるならわからないようにやれよ。口調も普段と違いすぎるし、てかPC苦手な設定はどうした。はぁ…。


さっきアキメイトで見かけた暁野ひなたのつぶやきもチェックしてみる



暁野ひなたー1stアルバム配信中ー @akenohinatadesu


ミナモちゃんの大会面白かったなー!第二回も開催決定ってあつすぎー!



どうやら同じ事務所のvtuberの配信を視聴していたようだ。ちなみにvtuberの所属する事務所やグループを「箱」と言いそれ自体のファンであることを「箱推し」と言ったりするが俺はあいつしか推したことがないのでわからない。こういうつぶやきは事務所内で活気を感じられていいね。あいつとは大違いだ


俺はそれを掲示板に投下する


 

421 名無しさん


 今日のひなーたのつぶやき https:/


 それに対してシトラさん https:/


 なにこれ、、おじさん悲しくなっちゃうよ、ぴえん。



こうして二人を対立させることによって劣等感を煽っていくよくある手法である。こういうのは共通項が多ければ多いほうがいい。今回の場合シトラは個人勢だがひなたは違う。それによって対立関係が薄れてしまうと効果も薄れてしまうのだ。


個人勢で誰かちょうど良い奴が居ればいいんだが、あいつはなまじ信者だけは多いから難しいんだよな。


やはり掲示板での反応は薄かった。いつものことなので別に気にはしない。


気にはしていないが今日はいろいろと疲れたので寝る。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




声が聞こえる


「おい、お前、お前は何でアンチ活動なんかしてるんだよ。」


「ん?この声は…俺の声?」


気だるげな青年が俺に話しかけている。


「おい、答えろよ。」


「だりーなー。疲れてんだよ。」


「いつもみたいに逃げんのか?」


「はあ?逃げてねえよ」


「じゃあ答えろよ」




「アンチしてる理由?そんなの簡単だ。柑咲シトラ、あいつが気に食わねえから。」


「ああそうだな。それは俺も同意だ。ついでにあいつのおかげでVtuberそのものも嫌いになれたぜ」


なんだこいつ急に同意してきたぞ


「でもお前、その活動楽しいと思ってやってんのか?」


楽しい?それはおそらく否である。最初の頃は鬱憤が晴れるような気持ちがあった。

しかし今では宿痾のように俺の心を蝕んでいる。


だから答えた


「楽し…くはない、が間違っているとも思わねえ。嫌いだからアンチ活動をする。間違ったプロセスじゃねーだろ」


俺がそう言うと青年は待っていましたと言わんばかりにニヤリと笑い言った


「だったらやり方を変えることだなー。Vtuberになってアンチ活動するなんてどうだ?。批判の矢面に立って堂々と批判する。フェアでスリルがあって楽しそうじゃねーか?。」


なんだそれは、フェアもスリルもすべて自己都合、詭弁も良いところだ、だけど、、、、


めちゃくちゃ楽しそうじゃねーか


あいつに捧げた時間、お金、熱狂、それを取り戻すかのように自演、荒らし、印象操作、ヲチ、対立煽り本当に色々やった。後悔などは全くない。しかし、そのどれもあの時の熱を取り戻す程ではなかった。でも今回なら、、、


「なんなら俺が対立煽りの対立側に立ってやる。自分の比較対象がアンチなんてとんだ皮肉じゃねーか」


自分の中の靄が晴れていくのを感じる。隙間から差し込んだ光で俺はハッと目を見開いた


「夢…か…」


それは最悪な夢だった。しかし、それぐらいが丁度いい。


「柑咲シトラ。あいつより絶対に人気になってやる。」


そう決意して早速俺は九十九に連絡を送った。いつもは画面の光を反射するだけの瞳。その瞳は自ら光を発しているように見えた。少し目を動かすと画面に反射する自分のにやけ顔が見えてしまった。とても見れたものではないので俺はすぐさま画面を閉じたのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ