第15話 地元最強
イツカ「てなわけで、今日からは格闘ゲームの大会に向けて練習していくぜ」
俺は視聴者に審ミナモの大会に出ることになった経緯を説明していた。
[まじかよ]
[テメエじゃ無理だw]
[地獄の練習配信キター]
[ここの視聴者は地獄には慣れてるからな]
地獄の練習配信と言うコメントがあった。審ミナモの大会まで約一か月。奇しくも鬼畜縛り実況をやっていた期間とほぼ同じ。その間俺はひたすら練習風景を垂れ流すことになる。
視聴者は慣れているとは言っているものの、それを言い訳にするのは甘えだ。視聴者は面白い配信についてくると俺は考えている。
それならば少しでも配信に見どころを作るため策を練ったほうがいいのではという考えもある。
しかし俺にそのつもりは無かった。初配信では柑咲シトラに圧倒的な敗北を喫した。それは俺の実力不足が主だが、準備が足りていなかった面もあった。
大会に出ると決めた以上、鬼畜縛りが終わってから大会までのこの期間を一秒たりとも無駄にしないと俺は決めたのだ。
早速俺はトレーニングモードでキャラを動かし始める。
イツカ「お、結構動くじゃん」
[うまくね?]
[格ゲーやったことあるの?]
イツカ「一応地元最強を名乗らせてもらってたからな」
[地元最強w]
[だっさ]
[この感じだと良い線いけるかもな]
格闘ゲームは地元の大会で優勝するぐらいにはやっていた。今回の大会で使われるゲームもその人気タイトルのシリーズで、俺のやっていたゲームを何回かアップデートした後のバージョンだ。馴染みは深い。
俺はコマンドを入力し、配信画面ではキャラクターが華麗なコンボを決めていた。
とはいえ昔とは違い、知らないシステムやキャラばかり。それに適応しなければならない。
俺は大会で使うキャラクターを決める為、一通りキャラを触ってみることにした。
スタンダードタイプ 弾や突進など、一通りの技が揃っており、使い手次第で色々な戦い方が出来る万能キャラ。大会では色々な相手と当たることが想定されるため、このタイプのキャラを使うのも悪くない。
パワータイプ 動きは遅いものの、投げや突進などのパワーが高く。一撃で戦況を変えてしまう一撃を重視したキャラ。劣勢を一瞬でひっくり返すこの力に頼る場面も多いだろう。
遠距離タイプ 弾やリーチのある技で相手をチクチクと削っていくキャラ。相手を近づけることはそれだけでリスクになる。こういった遠距離キャラで相手を寄せ付けず、安定して戦っていくのも悪くないだろう。
しかし俺はとあるキャラを見て手を止めた
テクニカルタイプ 予測不能な動きで相手を翻弄し、一瞬の隙から奇襲を仕掛けて戦う変則キャラ
予測不可能な動きを相手に押し付けて戦うことができる。
このキャラの強みとして、動きを知らない=負け の初見殺しが出来るのだ。長丁場ではこういうわからん殺しで拾っていくことも大事になってくる。
それにわからん殺しだけではない。どんなキャラ相手でも素早い動きでこちらの土俵に持ち込み心理戦を仕掛け、ワンチャンスを物にすることができる。
どんな状況からでも勝ちを拾えるこのキャラで俺は優勝を目指すことに決めた。
イツカ「どうやらこいつが手に馴染むみたいだ。こいつを極めてみるかな」
[地味じゃね]
[パチンコキャラはいねえのか?]
[そいつゴミらしいぞ]
視聴者からは不評なようだ。
ともかく俺はこいつでオンライン対戦、ランクバトルに行ってみることにする。
イツカ「お、マッチングしたな」
最初の何戦かはランクの認定戦だ。ある程度のランクの人とマッチングして結果次第で自分のランクが決められる。ここで連勝すれば最初から上のランクで戦えるというわけだ。
お互いのキャラが対峙し、試合開始のゴングが鳴った。
相手は遠距離キャラ、弾を駆使してこちらを揺さぶってくるが逆にこちらが素早い動きで相手を揺さぶる。相手の弾の隙間に攻撃を差し込み痛い一撃を食らわせた。
試合は終始こちらの優勢
そのまま最後の一撃を決め俺が勝利した。
「よっしゃあ!」
[つええええ]
[初心者狩り辞めて下さい]
[いや、相手プラチナあったぞ]
[お前のような初心者がいるか]
イツカ「初心者じゃねーっつてんだろ。地元最強なめんなよ!」
冗談交じりでそう言い返してやった。
[サーセン]
[地元最強!]
そうして俺はネット対戦のさらに深くへ潜っていくのだった




