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第14話 作戦会議2

九十九「完結おめでとー!」


俺がビデオ通話に出ると、九十九は開口一番そう告げた。


突然の祝福に呆気にとられてしまったが、やはりこういった一言は嬉しいものだ。特に迷惑を掛けてしまっている九十九からだと猶更だ。


高橋「ありがとう。それで…」


九十九「それで今日は今後についての相談があるって言ってたよね。久々の作戦会議ってわけだ。」


素直にお礼を言い本題に移ろうとすると九十九に遮られてしまった。何やら今日は少しテンションが高い。


とりあえず本題を話すことにする。


高橋「そうなんだよ。新規のリスナーを獲得したくて戦略を考えてるんだが意見を聞かせてくれねえか。」


九十九「新規?シリーズ完結させた直後なのにすごいね…。新規を獲得すると言えば例えばコラボ配信とか?」


高橋「そうだな、でもコラボってのは基本お互いにwin-winの関係じゃないと成立しないだろ?現状俺が提供できるものが少なすぎて成立しないと思うんだよな。」


コラボはお互いの視聴者をシェアする意味合いが強い。だとするならば俺のあの意味不明な視聴者層が相手方に望まれると思うか?俺だったら即クーリングオフだね。

また、コラボによる相乗効果で配信を面白くするために行われることも多いが、俺の配信スタイル的にコラボして面白くなるとも思えない。それならば現状維持で伸ばしていった方が視聴者にとっても俺にとっても方向性ハッキリしていいのではないかと考える。


それには九十九もある程度納得したようで


九十九「そうかなあ?まあそうかも?」

「でもさ、提供できるものならあるんじゃない?」


九十九は何やら思いついたように言った。一体何だろうか?俺は聞いてみる。


高橋「なんだ?それは?」


九十九「それは私だよ、私。こう見えて私結構有名な自信あるんだよねー。私と繋がりを持てるって言うならコラボしてくれる人いたりするんじゃないの?」


まさか九十九がそんなことを提案してくるとは、だが俺は却下した。


高橋「それは駄目だ」


九十九「どうして?」


高橋「お前をダシにコラボしたとして、そのあと何を要求されるか分かんねーだろ。もし無償でイラスト書いてとか言われたら断れるのかよ。そういう無責任なことは言うんじゃねえ。現状お前には迷惑かけ続けてるんだ。これ以上迷惑かけられるかよ。」


九十九「それは…そうかもしれないけど…急にそれはびっくりするじゃん…。」


俺が強く言い過ぎてしまったのか、九十九は弱弱しく俯いて言った。


俺は慌てて話を変える


高橋「そ、そうだ!それで前々から考えてたことがあってVtuber限定のゲーム大会に出場するのはどう思う?抽選は通ってて予選からなんだが、ほら、審ミナモ主催の奴。」


すると九十九は気を取り直したようで目を輝かせ反応した。


九十九「え、待って。みなーもの大会?まじで!?」


(あきら)ミナモ。暁野ひなたと同じく「MetaMitto(メタミット) production」所属の大手Vtuber。甘い声とクールな話し方のギャップから、人気を博している。さらに、ゲームもVtuber界一上手いとの呼び声も高くゲーム配信を主に活動している。インド象も二秒で倒せるとか倒せないとか


高橋「ああ。本戦出場者は既に殆ど決まってるんだが今回は予選枠ってのが一枠だけ用意されてて、その予選の権利を持ってる。」


九十九「凄いじゃん!あ、でももし仮に優勝できたとしたら他のファンから恨まれるんじゃないの?本選のメンツ有名どころばっかじゃん。」


九十九の指摘は真っ当だ。だがそれでいい。悪名は無名に勝るだ。


審ミナモ自身は運営に専念するため出場しないが、本戦に出場するメンバーはある程度ゲームが上手い連中で固められている。そこで優勝すればゲームが上手いという拍がつく。それが重要なのだ。まあそもそも予選を勝ち上がり本選を優勝しないと成り立たないのだが。


高橋「仮にじゃねえ、優勝すんだよ。別に恨まれたって良い。本戦で胡坐かいてる奴らは全員俺の踏み台にしてやるぜ。」


九十九「あーそういえば高橋はそういう奴だったね。」


呆れたように九十九は呟いた。


九十九には呆れられてしまったが俺は炎上商法がしたいわけでもない、予選から勝ち上がるのは正規のルートではあるのだ。それは、サクセスストーリーとして捉えられたっておかしくない。

別に俺に悪意なんて無いんだから。うん。


九十九「でもイツカ君の性格が悪くなったのはよくないよねえ。解釈違いっていうやつ?」


揶揄うような口調で九十九は言った


高橋「仕方ねーだろ。俺が中の人やってんだから」


九十九「あれ?バーチャルの設定は?」


高橋「くそ!お前が言い出したんだろうが」


九十九「あはは!まあ大会については心配してないよ。好きにやったら?」


力強い言葉だった。ソロでやっていくにしろ、コラボにしろ、大会にしろ、現状俺には色々な選択肢があった思う。でも今日ではっきりと道筋が見えた。

九十九の肯定は確実に俺の背中を後押ししていた。


高橋「じゃあそうさせてもらうぜ。今日はありがとな。んじゃ」


九十九「うん、じゃあね」


そうして通話は終わった。



通話画面を閉じ、九十九の顔が消えた後、残像のように憂生イツカの立ち絵が現れる。俺がサムネ画像を作る時に置いたままにしていたものだが、まるで通話相手が変わったようである。


「次は絶対失敗しないからな。」


語り掛けるように呟いてゲームの準備に取り掛かった。

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