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第13話 ママ

最終回から一夜明け、俺は初めての雑談配信をしていた。トピックは昨日の鬼畜縛りの振り返り、のはずだったんだが…


イツカ「こんにちは憂生イツカです」


俺が挨拶をしていると早々にとあるコメントが流れた


(つくもたん)[こんにちはー 完結記念にスパチャしたいんだけど、どこに投げればいいの?]


[つくもたん!]

[つくもたんママ!]

[ママー!]


九十九からの質問だった。ていうか普通にコメントしてくるのね。まあ別にいいんだが。


内容はスパチャに関してだった。Vtuberの配信では応援の気持ちを込めてスパチャが贈られることが多く、九十九も完結の労いとして送ろうとしてくれているのだろう。律儀な奴だ。


しかしスパチャ機能は敢えてオフにしていた。つけたところで大してもらえないだろうというのもあるが、前からスパチャはあまり好きでは無かったからだ。俺の考えとしてスパチャは配信をする対価、チップのようなものだと考えている。ただ俺にはどうも対価にしては額が大きすぎるように見えてしまうのだ。まあ金銭感覚の問題な面もあるだろうから敢えて表立って言わないがとりあえずそういう理由で嫌いなのである。


俺は適当に表向きの理由を述べた。


イツカ「よっすつくもたん。来てくれてありがとう。スパチャは読むのがめんどいから今は敢えてつけてない。気が向いたらつけるかも。」


それよりもさっきからどうしても気になることがある。


イツカ「それよりお前ら。つくもたんに馴れ馴れしくママって呼ぶのやめろよ。実際目の当たりにするときちいわ」


Vtuber界隈ではデザインしてくれた人物のことをママと呼ぶ風潮がある。初配信の時にそれは理解したがわかっていても中々きついものがある。


そんな俺をあえて煽るかのように悪ノリが始まった。


[え?なんで?]

[ママー!]

[つくもままー]

[ばぶばぶー]


するとコメント欄に何者かが現れた


[やれやれ、貴方にはママの素晴らしさが分からないようですね。いいでしょう。私が受けて立ちますよ。]


いや誰やねん。何者かが現れたでホントに何者かなことある?でも絶対口調が強キャラですやん、マッドサイエンティストとかやってそうですやん


すると、ゲームマスターも現れた。


[ここは私が取り仕切らせてもらおう]


現れなくていいよ!ナレーションで先に言っちゃったのも悪いけど!もうこうなったら引けなくなってくるから、もういらないから。


(つくもたん)[いやちょっとみんな…]


ほら、つくもたんも何か言いたそうにしてるぞ?


だが、目があったら勝負だ。もう俺たちは止められねえ


イツカ「仕方ないからその勝負受けてやるよ。ユーザーネーム「哺乳瓶ガチ勢」さん」


[名前終わってるww]

[ガチ勢きたww]


そして、開始の合図が告げられた。


[デュエル開始ー!]


イツカ「先攻は俺が頂くぜ!まず普通に考えて自分のママでもない人をママって恥ずかしくないか?百歩譲って俺がママって言うならまだわかるけどお前らが言うのはきめえだろ。」


[いいえ、私たちは、古来より、万物を生み出し、育み、そして包み込む根源的な存在に対して「母なる」という言葉を捧げてきました。つまり最大限の敬愛を込めて「ママ」という呼称を使うことは、決して恥ずかしいことではなく、むしろ根源的な創造への感謝とリスペクトを示す、非常に意義深い行為だと言えるのではないでしょうか。]


イツカ「いやきめえよ。いい年してる癖にママ、ママって」


[年は関係ありません。あなたも言っていたじゃないですか。百歩譲って俺が言うならまだわかると。つまりあなたは無意識に求めているのですよ。ママを。」


イツカ「ぐぬぬ…」


しまった。確かに言ってしまった。どうしてあの時あんなことを言ってしまったんだ、相手はどう考えても強キャラだったじゃないか。


俺は負けを認めるように奥歯を噛んだ。


[そこまで!勝者、哺乳瓶ガチ勢!]


[ガチ勢つえーww]

[さすガチ勢]

[てかイツカがよええ]

[哺乳瓶に負けた男]


勝負は決した。これから俺は哺乳瓶に負けた男として一生を過ごすこととなる。


その時、九十九がその空気を塗り替えるかのように言い放った


(つくもたん)[みんな勝手に盛り上がってるけど、イツカ君が嫌って言ってるならやめた方がいいんじゃない?]

[はい!]

[そうだな]

[やりすぎたわ]


彼女の言葉は力強く、それを聞いたものは皆改心していく。その姿はさながら聖母のようだった。


俺も我に返りそのまま配信を終えたのだった。


良かった、九十九が居てくれて。

あのままだったら場の空気に飲まれて赤ちゃんプレイを晒す羽目になっていたかもしれない。そんなことになったら羞恥心で引退するしかない


しかし先ほどのノリはなんだったのだろうか「長い、だるい、キモイ」の三拍子が綺麗に揃っていた。俺の視聴者はいつからあんな地獄みたいなノリになったのだろうか。おそらく俺は何も悪いことはしていない。うん、絶対に。天に誓って。


とにかく、さっきのは余りにも内輪ノリだ。柑咲シトラに勝つためには新規を増やしていく必要がある。あの状態では新規は見込めない。つまり、あのノイジーゴミクズ共に構っていてはいけないのだ。


「ただあのノイジーゴミクズ共も貴重な視聴者ではあるんだよな、ああやって盛り上げてくれるのもなんだかんだ助かってるところあるし」

「てかあいつら全員男だろ。女性の視聴者はどこに行ったんだ?アナリティクスでは40%は女性が見てくれていたのに」


永遠の謎である。


まあ一応新規を増やす戦略自体は考えてある。その相談もかねて今日は九十九と打ち合わせをすることになっているのだ


俺は九十九からの通話を待っていた。


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