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第12話 鬼畜縛り実況 Vol:FINAL 2

地道にプレイを続けていると度々来訪者がやってくる。


[雑魚は消えろw雑魚は消えろw雑魚は消えろw]


ガチの荒らしである。こういうのはコメント欄を埋め尽くしてしまい読む時に邪魔になるので普通にBANしている。だが今回は配信が停滞してきたので荒らしだろうが何だろうが使えるものは使う


イツカ「最弱演出の荒らしカットインが入っちまった。でも俺にとっては関係ないぜ」

「もうパターン掴んだから。鼻歌交じりでもクリアできる」


俺がそう言うとリクエストが飛んできた。


[嘘だろ]

[じゃあ歌って]


リクエスト通り俺は歌いながらプレイする


イツカ「スープラッピースープラッパー♪」


歌ってみたは良いものの緻密な調整を要求されている真っ只中、リズムに乗った拍子に自然とボタンを長く押しすぎてしまった。修正は不可能。既に俺は鎮魂歌を歌っていた。


イツカ「体が勝手に落ちてゆく~♪」


そうして投げ飛ばされた自キャラは奈落の底へ落ちていった


[草]

[草]

[流石に草]

[わざとやってるだろw]


まあそんなこんなでとうとう最後の小島までやってきた。先を見るとゴールがキラキラと光り輝いている。ゴールは目前だ


イツカ「正解の道は一つ。ここで決めるのがVtuberだろ!」


NPCが二人鎮座している。一人はハズレで一人は当たりだ。生か死か、運命の選択が迫られた...まあ死んでもリトライするんだが


俺は運を天に任せNPCに話しかける。


ィィッヒヒヒィーーーーーーー!


髭のおじさんが叫びながら宙を舞う


勢いは十分、結果はもう見なくても分かる。


「ふうぅぅぅ」


ほっと一息、俺は大きな息を吐く。


画面にはSTAGE CLEAR の文字が映し出された。


[やったああああああああああ]

[ヒミツ制覇きたああああ]

[長かったー]


常にヒミツステージには辛酸を飲まされてきた。正にこの縛りの目玉と言える存在であり続けてくれた。そして、俺は遂にすべてのヒミツを解き明かしたのだ。


「さあ、残すはラスボスだけだ。ノンストップでいくぜ!」


感傷に浸っている間もなく俺がボタンを押すと、ゲーム内でムービーが流れ始めた。


眼前に佇むは巨大な甲羅を背負った怪物、主人公は攻撃を繰り出すも強靭な体に弾かれてしまい攻撃が通じない。絶体絶命の主人公だが、今までの冒険で助けてきた町の人々の勇気の力が結集し主人公に力を与える。新技「スーパージャンプ」を炸裂させ反撃の狼煙を上げた。。


熱い展開だが要はスーパージャンプでしかダメージを与えられないということだ。


イツカ「ラスボスはスーパージャンプを使わないとクリアできない。それはつまり、、、」


[つまり?]

[どっちだ?]

[それって…]


視聴者もおおよそ察しているようだ。ジャンプが使えないとなると考えられることは二つ、スーパージャンプをジャンプとみなさず縛りに抵触させない方法、もしくはクリア不可能、「詰み」である。


俺が選んだのは…


「...詰み。」


イツカ「なんて、言うわけねーだろ!ジャンプ、解禁だああああああああああああああああああ」


[うおおおおおおおおおおおおおおお]

[まじかw]

[解禁きたああああああああああああああああああ]

[めちゃくちゃやんww]


俺が選んだのはジャンプそのものを解禁することだった。この縛りは進行上やむを得ないときはジャンプを使用できることになっている。今がその時だと判断した。


そこからは通常プレイとほぼ変わらない。無双だった。


イツカ「これは今まで封印されてきたジャンプの恨み!」


[八つ当たりで草]

[自分で勝手に縛ってるくせにひでぇw]


恨みの籠った一撃を与える。


しかしジャンプが使えるだけでこうも違うとは、体に羽が生えているようだった。


イツカ「体が軽い。もう何も怖くない。」


[おいやめろ]

[それフラグ]


次の一撃を与える、そして、、、


イツカ「これで、とどめだああああああああああああ」


長きにわたる戦いに終止符を打つ渾身のスーパージャンプをお見舞いしてやった。

怪物は崩れ去りエンディングが流れ始めた。

かつての強敵達、凶悪なステージ達が流れていき、THE ENDの文字が映し出される。


苦しかった、本当に苦しかった。俺が縛りプレイを選んだのは普通にやるとつまらないと思ったから、だがここまで難しいとは思わなかった。


「…っ」


こみ上げる達成感に俺は声を出せなかった。


これは俺にしか味わえない味だ。苦しみの先にある。喜びと熱狂のマリアージュ。

そしてひとしきり達成感を味わった後は案外味気ないもので、それ以上何も感じることはなかった。


最後に言いたかったセリフを一言。


「ザ・エンドってね」


[おめ]

[8888888888]

[おめ]

[お疲れさまでしたってね]

[おめええええええええ]


視聴者も皆喜んでくれている。どうやら楽しんでくれたようで良かった。

祝福のコメントの中に見知った名前からのコメントもあった。


つくもたん [おめでと]


[つくもたん!?]

[つくもたんもようみとる]

[つくもたんとイツカと俺でこれから飲みに行こうぜ]

[俺も連れてってくれ!]


イツカ「いやお前ら誰だよ。俺は疲れたから寝るんだよ」


九十九もずっと見てくれていたようだ。


九十九には本当に世話になった。厳しい時でも常に俺のサポートをしてくれた。もはやただ俺のデザインを手掛けてくれただけに留まらない。今の俺が成り立っているのはひとえに彼女の尽力のおかげ。

いや、九十九だけではない、見てくれている視聴者もコメントでグダグダ言ってくる視聴者も、間違いなくそいつらのおかげで今の俺が成り立っている。


イツカ「みんないつも応援ありがとう。本当にみんなのお陰でここまでやってこれた。感謝する」


[:;]

[誰?]

[毎日やってたからな。すげえよ]

[ヤンキーが猫拾ったみたいなやり方で好感度上げないでください]


イツカ「最後までうるせえな。今[誰?]ってコメントした奴全員BANしとくわ。じゃあな!」


[おつ]

[面白かったぞ]

[こっわ]

[じゃあな]

[完走おつ]


名残惜しさもありつつ俺は配信を閉じた。


配信を終えた俺は茫然としていた。もう何度か経験しているが配信終わりのこの感覚は何とも言えない。現実と空想の狭間にいるような感覚だった。


九十九と出会ってからというもの、光芒一閃、急転直下、とにかくとんでもない日々だった。全てが行き当たりばったりの突貫工事、それでも何とかここまで形にすることができた。そう考えるとこみ上げてくるものがある。


…まあ冷静に見ると現状は底辺に毛が生えた程度のVtuberが一つのシリーズを終えただけ、まだまだこれからだ。


「…待ってろよ。柑咲シトラ。」


誰に聞かせるでもなく、呟いた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


憂生イツカ


ママ:つくもたん


バーチャル世界の住人

嫌いなもの Vtuber

ハマっているもの Vtuber



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