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第11話 鬼畜縛り実況 Vol:FINAL

憂生イツカの配信が始まってから、およそ一か月が経過した。

俺はほぼ毎日配信を続けていた。同接数は初配信に遠く及ばないものの、地道に攻略を続け、俺の配信は地獄の作業配信として、少し予想外な形で一部の視聴者の支持を得ていた。


そして今、俺は最後の戦いを前にしている。残るは、最終コースの「ヒミツステージ」、そしてその先に待ち受けるラスボスのみ。



憂生イツカ@ueikuitsukav

鬼畜縛り実況本日最終回。クリアするまで耐久します。



自身のSNSにて配信の告知をする。泣いても笑っても今回で最終回だ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

そのつぶやきは九十九単の元にも届いていた。


彼女はイツカの名前が入ったうちわを両手に持ち、画面とにらめっこしていた。

どうやらSNSにイラストを投稿するかどうか迷っているようだ。それは、ぶっきらぼうな憂生イツカのキャラクターが彼女の持っている物と同じうちわを持っているイラストだった。


しかめっ面の後、彼女は投稿を辞めたようで、再度画面の前でニコニコと待機し始めた。



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Vtuber総合スレ


123 名無しさん

つくもたんとこのV 今日で最終回らしい https://


141 名無しさん

>>>123 久しぶりに見たわ まだやってたんや


146 名無しさん

実況するなら勝手にすればええけどワイはパスやな


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


俺はコントローラーを握りしめ、深く息を吐いた。長きにわたる縛りの集大成。目の前のモニターに、憂生イツカの姿が映し出された。俺の声が、いつもよりわずかに熱を帯びたトーンで響く。


イツカ「こんにちは。憂生イツカです。今日は遂に最終回だ。クリアまでぶっ通しでいくから着いてこれる奴だけ着いてこい。」


[わこ]

[よっす]

[やっと解放されるー]


挨拶をするや否や、皮肉を込めたコメントが目についた。


イツカ「解放される?それは俺の配信が苦痛ってことか?いや違うか、楽しみすぎて眠れなかった日々から解放されるってことだよな!ありがとうありがとう!君の為に今日の配信は2倍時間をかけて進めていくことにするぜ!今決めた。そんなに楽しみにしててくれたなら仕方ないな~、君の為だからな~」


[だる]

[うんうん]

[ロックオン!]

[ちょっと先生怒らせたの誰~]


二回目の配信以降、視聴者とのレスバトルはいつの間にか恒例行事のようになっていた。挑発的なコメントではあるが悪意がないのはなんとなくわかる。このレスバトルはプロレス的なものとしてみなされているようだ。


[口よりも手を動かしてください]


イツカ「口よりも手動かせって、、それはそうだ。」


見事に論破され俺はヒミツステージに突入した。


今回のヒミツステージは離れ小島を渡り歩いていく構成になっている。しかし攻略方法が少し特殊で、それぞれの島に配置されたNPCに自キャラを投げ飛ばしてもらいながら長い距離を移動していく。

ジャンプアクションが必要ない分難易度は低いように思われるが


イツカ「とりあえず普通にやってみるか。」


自キャラが投げ飛ばされ、その軌道は弧を描きながら宙を舞う、その時


チャリン♪ と音が鳴った。


[あああああああ]

[これだめなのか]


コインを取得してしまったのである。それは縛りでは禁止されている行為だった。実はこのコースは投げ飛ばしてもらう軌道上にコインが大量に配置されている。製作者的には親切心で配置されたものではある。しかし夜空に浮かぶ星のように配置されたそれは死のアンドロメダだった。


それを突破するためにはNPCに話しかける角度を微妙に調整する必要がある。

緻密な作業だった。

何度か調整を繰り返し最適な角度を見つけ、コインを避けて次の島に到着することができた。


イツカ「オッケー」


[ん?]

[いや待て]


何やら視聴者が騒いでいる。見事な調整のどこに文句をつけるというのか。

俺は尋ねてみた。


イツカ「ん?どうした」


[今敵倒してたぞ]


まさかそんなこと、確かにあまりに完璧な軌道に惚れ惚れして安心しきっていたが画面自体は見ていた。

それには異議を唱えざるを得ない


イツカ「そんな馬鹿なことあるはずないだろ」


[レフェリー!VARを要求します]


配信のアーカイブを遡れとのリクエストがあったので俺たちは当該シーンを確認することにした。


俺はわかりやすいよう再生速度を落としてアーカイブを切り取った。


そして再生していく。


空中は問題なし、やはり惚れ惚れする調整だ。


そして着地の瞬間、着地の衝撃波と共に俺の間抜けな声が響く。


「ヴぅぅおっっけえぇぇぇい」


再生速度を落としているからよくわかる。そこには確かに写っていた。画面端で衝撃波に潰される雑魚敵の姿が。


念のためもう一度確認する。


「ヴぅぅおっっけえぇぇぇい」


何度見てもやはり結果は変わらない。



[あうとおおおおおおおおおおお]

[はいリセ]

[ざまああああああああああああ]

[ねえ今どんな気持ち?どんな気持ち?]


イツカ「くそがあああああ!」


憎たらしいコメントに台パンしながら俺は再度挑戦するのだった。



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