表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/33

25

依子の話がひと段落した時、タイミングよく奏が戻ってきた。


「ごめん!遅くなっちゃった」

「話は済んだのかい?」

「うん。断ってもしつこくてさぁ」

「じゃあ、行くのか?」

何処か不安げな凛が、隣に座った奏を見た。

「行かない、行かない。私、ああいうの苦手なのよ」

その言葉に、ほっと胸を撫で下ろした。


あからさまな安堵感に少しだけ恥ずかしくなり俯くと、奏は当然の様に凛の手を握った。

「合コンより凛とシロと一緒にいた方が楽しいもの」

奏の手の温もりが心地よく、ほっと息を吐く。


これが『波長が合う』という事なのか・・・それだけではないような気もするが、今はよくわからない。

確かに波長だけでなく、性格や考え方も関わってくると依子さんが言ってたな。

奏の事は依子さんから聞いた事くらいしかわからないけど、無条件で全てを受け入れてしまうのは、多分・・・・・


彼女と触れ合うと、不思議と安堵感に満たされる。ただ、それだけではない、どこか胸の奥がムズムズするような感覚もある。

でも、悪いものでは無い事は確かで、どこか浮足立つような気持ちよさ。


昨夜もずっと繋いでくれていたその手に、どれほど勇気づけられた事か。

思い出し、繋がれた手に無意識に力を込めた。

そんな凛の気持を知ってか、奏が凛に寄りかかる様に身を寄せてきた。


「なんか、凛に触ってると落ち着くんだよね。離れたくないっていうか・・・なんでかな?依ちゃん」

「奏には言ってなかったか?凛くんと奏は魂の波長の相性がすこぶる良いんだよ」

「え?本当?だからシロにもメロメロなの?」

「まぁ、そうだな」

「わぁ、マジかぁ。何かあるとは思ってたけど・・・」

奏も初めての感覚と感情に戸惑いを隠せないが、ついつい本能のままに動いてしまう。

兎に角、凛に触れていたいと思う。そして無意識に、行動に移してしまうのだ。


女性嫌いの凛ではあるが、此処まで密着してなお心地よいとさえ感じる奏の体温。

だが凛は朧気だが、奏に対する気持ちが何なのか、本能的にわかり始めてた。


性的な雰囲気皆無ではあるが、女性に体を寄せられても不快に思わない。むしろギュッと抱きしめたいという考えに、凛はハッとした様に顔を赤らめた。

そんな二人の様子に、込み上げる笑いを堪えるかのように口元を隠す依子。

依子のその様子を見て、照れと恥ずかしさから思わず睨んでしまう凛。

その視線に依子は場の雰囲気を変えるかのように、コホンと咳ばらいをした。

「奏、凛くんが困っている。ほどほどにしなさい」

「・・・わかった」

ハッとしたように離れるも、手だけは繋いだまま。

握られた手を見ながら、自然と凛の口元が緩む。


これほどまでとはね・・・


依子は感心した様に、二人を眺めた。

この二人の波長は、パズルのピースが欠けることなく、間違うことなく、きっちりはまったかのような完璧なものだ。

長く生きてきたが、初めて見る波長。

だが、これから先の関係は二人で築いていくもの。

親友になるのか恋人になるのか、はたまたどんな関係にもならないのか。

波長が合うからといって、必ずしも男女の関係になるとは限らない。

波長とは別に個々が持つ性格があるのだ。波長が合っても性格が、価値観が合わなければそれまで。

だが・・・と、二人を見て依子は思う。


気付けば親密になっていた・・・って感じかねぇ・・・


またも含み笑いを漏らす依子に気付かず、奏と凛は楽しそうに笑い合っているのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ