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今だ膝の上で伸びているシロを撫でていた奏だったが、はっとした様に時計を見た。


「うわ!やばっ!依ちゃん、凛、私ちょっと友達に電話してくる」

「あぁ。明日の合コンの事か?」

「合コン?」と、何処か不機嫌そうに眉を寄せ凛が反応した。

「人数合わせで声かけられててさ。断ったんだけどしつこくて。再度お断りの電話よ。合コン行くよりシロと遊んでた方が何倍も有意義だわ!凛、シロの事お願いね」

そう言って部屋を出ていった。

そして凛は、一瞬感じた自分の気持ちに戸惑いながら、膝の上のシロに恐る恐る手を伸ばす。

思ってた以上にふんわりした毛並みに感動し、先ほど感じだ気持ち薄れていくものの、すっきりはしない。

そんな凛の様子を面白そうに眺める依子。

「気になるかい?」

「え?」

「奏の合コンだよ」

その一言で、先ほど感じていた違和感が甦る。そしてそれは、治まる事無く今も現在進行形で感じる。

答えあぐねている凛に依子は本当に面白そうに笑った。

「気になるのだろう?それは当然の事だよ」

「当然?」

「あぁ、凛くんと奏の波長が、ピッタリなんだから」

「波長?ピッタリ?」

「此処まで相性がいいのは、長い事生きているが初めて見る」


悪い事を言われているわけではなことは分かるが、今一つ飲み込めない凛。


「波長とは魂の発する振動とでも思ってくれ。良く言うだろう?あの人の事は何故か好きになれない、とか」

「あぁ・・・はい」

「霊的な事でなくても、人間って本能的にそう言うのが分かるんだよ」


確かに、と思う。

何かされたわけでもないのに、この人とは合わないな・・・と思う人はいた。


「その反対もあるという事さ。初めて会ったのに好感以外持てない人間とかね」

それは考えた事が無かった。というより、そんな風に感じた人などいなかった。だが・・・

奏は確かに違っていた。助けられたというのもあったが、何の危機感も持たず初対面なのに、のこのことこの家に付いてきたのだから。

これまで自分に降りかかってきた出来事を考えれば、考えられない事だった。という事は、つまりは・・・


「俺が奏に好意を、持っているという事?」


言葉にして初めて、実感が湧いてくる。

先ほどの「合コン」と聞いて頭に浮かんだのが、他の男と会う事への拒絶。

何故なのか分からなかった。助けてもらったからだとか、恩があるからだとか、そんなモノからくる想いで無い事は分かっていた。


それが、まさか魂レベルでの事だったとは。


「あぁ、相性がいいからと言って、そこから先の関係は決まっているわけではない」

つまりは、相性がいいから必ず恋人になるわけではないのだ。

どのような関係になるのかは、これからの二人の付き合い方や考え方によって、変わっていくのだから。


だが凛が感じた奏への想いは、独占欲に近いもの。

愛だとか恋だとかがどんなものなのか、凛にはまだわからない。今まで、女性に対し嫌悪感はもっても恋愛感情などもったことが無いのだから。


でも、奏の隣に立つのは、自分でありたい・・・

自分でない男が奏の隣にいる事を想像しただけで、ドロッとしか感情が湧く。

異性に対して初めて感じる暴力的な感情に、思わず口元を手で覆った。


訳の分からないこの気持ちに混乱する凛に、依子は慈愛に満ちた笑みを向けた。

「焦る事はない。ゆっくりこの気持ちが何なのか気付いていけばいい。奏自身も気付いてないが、凛くんにかなり執着しているんだから」

「え?俺に?」

「シロを構い倒しているだろう?猫好きという理由もあるが、アスモデウスは長い間、凛くんに憑いていた事により波長がほぼ同じなんだ。奏はそれに反応しているんだ。無意識に」

思わずシロを凝視してしまうが、凛自身にはさっぱり分からない。

「本来であれば凛くんに対し、シロにしている事をしてしまうくらいは、好意を持っているよ」

「・・・・え?」

そう言って硬直し、数秒後、一気に真っ赤になった。

「あははは!奏がシロにしていた事を思い出したかい?」

「かっ、からかわないで下さい!」

「ふふふ、すまない。からかったわけではないよ。それほどまでに相性が良いという事さ。だが、先ほども言った通り、相性が良いからと言ってどのような関係になるのかは、互いの気持ち次第。

時が経てば、自然にその関係が作られていくだろう。だから今は、感じる想いに素直になるといい」

「―――わかりました」


今、感じる想い。純粋に感じるのは、奏が大切で、側に居たいという気持ち。

それが人の言う恋愛感情なのかはわからないが、凛にとって今まで感じた事の無い感情だという事だけは分かる。

「正直、この気持ちがどういう意味を持つのか分からないけど・・・・」

凛は、今現在の素直な気持ちを言葉にした。

「昨日出会ったばかりだけれど、奏の事はとても大事に思ってます」


その言葉に依子は、彼の方が一歩先に進んでいるのだな・・・と、微笑ましい気分になった。


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