プロローグ
外に出た瞬間、電子レンジの中に放り込まれたかと思った。
そんなクソ暑い夏の午後、俺――佐久間優は、学校の図書室へと向かっていた。
理由は、「図書委員会」の業務引継ぎ。
夏休みに入っても、三年生から二年生への仕事のバトンは容赦なく回ってくる。
自転車で片道20分、作画崩壊したアニメみたいな坂を登って登校。
到着した頃には、シャワーでも浴びたのかってくらい汗だくで、タオルと清涼シートがなきゃ人間としての尊厳を失ってしまうレベル。
学校自体は部活で生徒も多いが、校舎内は意外と静かだ。
その静けさが、ちょっとだけ非現実的で――嫌いじゃない。
というのも、俺は模範的なオタクである。
この“ちょっと現実からズレた空気”こそ、俺にとってのご褒美だからだ。
普段の俺は、学校では寝てるかラノベ読んでるか、推しVtuberの切り抜きやアーカイブをこっそり見てるだけの陰キャだ。
そんな俺が、なぜわざわざ「委員会」なんて面倒なものに所属しているのか。
理由は簡単。
クラスの陽キャに「お前、本読んでるし図書委員でいいよな?」と圧をかけられ、
模範的オタクの俺は当然「あぁ……いいよ……」としか返せなかった。
でもまあ、悪いことばかりでもない。
現代日本において、図書室に目的を持って訪れる人間などほぼ絶滅危惧種。
つまり、図書委員の当番中は図書室がほぼ貸し切り状態になるのだ。
教室じゃこっそり見なきゃいけないラノベや切り抜きも、ここでは堂々と楽しめる。
この空間だけは、俺の聖域――ってやつだ。
――と、そんな悠長な話はさておき。
今日は引継ぎ日だ。つまり、仕事をする日。
図書室の前に到着し、ドアを開けると……すでに全員そろっていた。
……やべ、ちょっと気まずい。
そんな空気をぶった切るように、先生が口を開く。
「それじゃ、みんな揃ったみたいだから始めちゃうね~」
引継ぎなんて簡単なもんだろ、と思ってた俺が甘かった。
月に一度の延滞本リストの作成、本の修復、ラベル貼り、入庫管理――地味にやる
ことは山盛り。
そして追い打ちをかける、先生の“粋な計らい”。
「図書委員は委員同士の交流が足りないから、引継ぎは2人1組でやっていこうと思います!」
……勘弁してくれ。
はじめまして。かわちといいます。
この作品が初めての執筆となるので非常に読みにくい物になってしまったかとは思いますがここまで読んでいただきありがとうございます。
小説のノウハウなどが一切無いので自分の思うままに頭の中に浮かんできた映像をそのまま文字に起こしているような状態です。
今4章まで書き終えた状態でこのあとがきを書いているのですが、4章、満足な出来に仕上がったのでもし良かったらこのまま4章まで読んでいただけると嬉しい限りでございます。