23話 動かないと
お久しぶりです。更新を再開しました。
また、それに合わせて改題も行いました。
よろしくお願いします。
「――リオン! くそっ!」
大慌てで逃げ出した俺は真っ先に拠点へと向かった。
ギリギリ残されていた理性に従って拠点の近くでいったん遠巻きに様子を伺ったのだが、何も音が聞こえてこなかったので俺はそのまま中へと入った。
しかしそこにリオンの姿はなく、散乱した物たちを見るにここでリオンが襲撃を受けたのはほぼ確実と言えよう。
(どうする……どうすればいい!?)
こんな時にリオンがいれば冷静に対処方法を考えられるのだろうが、経験が浅すぎる俺の頭は酷く混乱していた。
とりあえず、敵に目をつけられたこの街に居座るのはマズい。
俺を襲撃した奴らの死を奴らが確認すれば、すぐさま俺への追手が来るはずだ。
「頼む、どこかへ逃げいていてくれよな……」
俺は動きやすい外での襲撃だったからこそ何とか逃げ延びることが出来たが、この洞穴の中で襲撃を受けたら逃げ出すのは難しい。
一応簡易トラップや別の出口の用意など対策は打っておいたが、みたところトラップはすべて破壊され、裏口も使われた形跡がない。
俺は最悪の事態を想定しつつも、リオンの無事を祈って走り出した。
♢♢♢
どこまで来ただろうか。
動揺しながら全力ダッシュしたせいで満足に呼吸も出来ておらず、街から脱出した先に合った森の中で新鮮な空気を思いっきり胸に吸い込んだ。
脳内に酸素が送り込まれたからか、少しだけ頭がクリアになった。
「……ここで待つしかないか」
ここは万が一拠点が使えなくなった時ようにあらかじめ決めておいた二人が落ち合う場所。
しかしリオンの姿はここにはなかった。
「……いや、まだ来ていないだけだ。ここを見つけられないようにうまく逃げているに違いない」
きっとそうだ。そうに違いない。
俺はやや強引に首を縦に振った。
そうしなければ、俺の体は冷静さを失って動き出してしまうからだ。
「ふーっ!」
荒く息を吐きだす。
いやな気分だ。胃がムカムカする。
神引きなんてできるはずもないのに、奇跡を信じてガチャに手を伸ばしてしまった時のような気分だ。
それはつまり、分かりきっている事実から目をそらして、奇跡という名の幻想にとらわれている自分を肯定しているようで。
(くそっ! 落ち着かねえ。リオンの奴、俺より逃げるのが得意だって言ってたじゃねえかっ……)
俺はリオンの力を信頼していた。
見た目はただの幼い子供のくせにやけに大人びていて、なんでも知っていて、ちょっとした身の危険くらいなんてことない力を持っていると。
でも、現実はどうだ。肝心のリオンはここに辿り着けず、もしかするとオレの助けを待っているのかもしれないと。
(いや、助けを待ってくれているならまだいい。だけどアイツならきっと――)
俺は思い出す。リオンと言う少女に出会ったときの印象を。
なんというか、そこにいるようで心はそこにあらずと言ったような、ふわふわした印象。
自分の生き死にや辛いことに対してどこか他人事な彼女。
逃げ出してはみたものの、捕まってしまったのならあっさり諦めてしまうんじゃないかと。
「――やっぱり、行こう」
俺は【桔梗】を握りしめて待ち合わせ場所から飛び出した。
このまま黙って待っているくらいならば、いっそ自分から突撃した方がはるかにマシだ。
待ってろよリオン。ちゃんと生き延びていろよな……
♢♢♢
その後、俺はリオンが懇意にしていた情報屋とコンタクトを取り、とある場所について教えてもらった。
それはこのあたりを仕切っているという〝ハック〟が拠点としている建物。
奴は裏社会の人間だが、表向きは傭兵を派遣する組織のトップにいるらしい。
あんな短気で頭の悪そうな男がトップな組織とか本当に大丈夫なのかと心配になってくるが、今はそんな事言っている場合ではない。
居場所が分かっているなら今はそれで十分だ。
俺が今からするべきことは一つ。その組織に乗り込み、リオンを救い出す。
やると決めたからには絶対に成し遂げる。
そう強い意志を持って、俺は拠点としていた街を飛び出した。
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