表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ライスシャワーに贈る詩

作者: 桜雪風月



競馬をしたこともない、私がYOUTUBEで出会った。一つの動画がある。MADという編集された、動画である。


ウマ娘、ゲーム化が発表されるも長い間、動きがなかった作品も、動き出しアニメにもなった。


 現実の話を元にしているのだから、そこには幾多もの感動話も存在する。馬の数だけ、関わった人の数だけ特別な話というのは生み出され続けられていく。



 私の心の奥底を、激しく乱したのはライスシャワーというウマ娘であった。ゲームをプレイしたことのない、競馬知識もない私が、その動画をみた。


 ライスシャワーという題材、その題材に彩りをそえるBGM、リスペクトされたCM。それぞれが、なにかしらの気持ちを揺さぶる素晴らしい作品。私は音楽には詳しくない。CMは記憶の奥に微かに存在した。同じ協会のCMが記憶にあったからである。


 馬主さんが作品に許可をだし、キャラクターに命が吹き込まれる。命の吹き込まれたキャラクターは、それぞれの世界で動き出す。


 彼女は悪役と言われていた。何も知らない私は理不尽だと思った。なぜならば、彼女は宿敵の記録を二度阻止しただけだからである。


 人は偉大な記録というものを大切にする。それを人は偉業という。しかし、簡単に達成できないからこそ、偉大な記録というのは価値があるのではないだろうか。


 彼女も最初から強かったわけではない、宿敵との対決で事実敗れているのだから。彼女は最初から神の如き力をもっていたわけではない。


 彼女の名はライスシャワー、結婚式などで祝福を意味する。誰かを、幸せにしたいという願いが込められた名である。


 彼女が最初に偉業を阻止したときに、民衆は彼女に罵声を浴びせた。正々堂々と戦った勝者、一番速く駆け抜けたものにである。しかし、人気のあるチャンピオンを勝者にと望むものは、それを下した挑戦者にブーイングを投げつけることはあるのである。



 私も、昔から競馬が好きだったならば、この異常な状態を普通の事ととらえていたのかもしれないと、恐怖する。しかし、それさえさせるほどの存在だったのかもしれない。


 彼女は走ることを、勝利することに恐怖する。たとえ勝っても誰も喜ばないのならば、レースにでる意味はないのではないかと考える。


 しかし、宿敵の声を聴き、新しい宿敵と戦うために、彼女は再びレースを走ることを決意する。


 その練習量は、体を壊すのではないかと心配されるほどのものだったという。小さな体から、余計なものがそぎ落とされていく。それは、彼女が持っている短剣で肉体をそぎ落としていくようなものである。そして、大切な何かであったとしてもである。


 いっさいの甘え、様々な誘惑、余計な肉体、極限まで研ぎ澄まされていく体には鬼が宿っていく。鬼が宿っていくと、あふれ出した鬼が鬼火となって体からあふれ出していく。


 そんな彼女に近づいたものは、まさに鬼気迫るものを感じたという。


 夕日の茜色に染まった大地を蹴って、夜の帳が落ちても彼女は走ることをやめない。積み重ねられていく、履きつぶした靴が増える数が彼女の思いをうかがわせる。


 2回目の偉業を阻止した時、相手は天才であった。天才、名門、運などを兼ね備えた、まさに順当にいけば、勝利することが間違いのない運命である。


 白と黒、まさに対局に位置するものである。しかし、黒い米というのも存在する。白いライスシャワーが祝福を意味するのならば、黒いライスシャワーの意味するものは・・・。しかし、その黒いライスシャワーは、血や汗や努力などによって黒く見えるほどの思いが詰まったライスシャワーである。


 あふれ出すほどの鬼の力は、やがて鬼神へと昇華する。努力して得た鬼神の力は、普通の運命などを容易く、捻じ曲げる力をもつにいたる。


 そして、彼女は再び勝利する。誰よりも早く、駆け抜けたのである。




 しかし、彼女のそぎ落としたものの中には、未来という言葉もあったのである。鬼神は、その力の代償に、容赦なく代価を徴収していく。

 



 彼女は静かに眠る、しかし、彼女は英雄だったと私は思う。


 素晴らしい出会いに感謝を、素晴らしい出会いをさせてくれた方々に感謝を・・・。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ