1話 ただの日常
煌々と輝く太陽の光が、熱を持って地面につき刺さらんとざかりに、照りあげていた、夏の日。
僕等はサッカー部がグラウンドで練習しているその周りを走っていた。
「「ファイットー!」」
250メートルという距離を全力で走っている時、聞こえてきた応援の声。同じ陸部の仲間からのものだ。
僕はそれに答えるかのように加速していく。
スパイクの針が、グラウンドの砂に刺さるのを感じる。その度に反発を貰い、足を大きく、早く上げて加速を伸ばしていく。
しかしこれも5本目となると、さすがに足に疲労溜まって、足が、腕が、思うように動かない。
最後まで全力で走るも、思うような記録が出ない。そんな自分にまだまだと思い反面、高校に入って一年目の夏にしては、上々ではないか思う自分もいた。
「はぁ、疲れたー……。足パンパン」
「お疲れぃ!今日はもう短距離本練終わり?」
「うん。終わり」
「そか。長距離ももう終わったよ。あ、アイシングする?」
「うん、ありがと。あ、両足欲しいかな」
「2つ?いいよ、入れてくるわ」
そう言って、氷嚢を両手に持ったのは、同じクラスで一緒に陸部に入った西条緋だ。
高校に入って初めてできた友達で、今では、親友と呼べる仲である。
「ほんと?ありがと〜」
「おう」
そう言ってかけて行った。
僕みたいな陰キャがこの部活いいられるのも、一重に緋のおかげである。中学の時、元々帰宅部だった僕を、陸部に誘ってくれたのは、勿論緋だった。