第六話 私は町を出ることにした③
私が次に来たとこは、シーリスさんが働いている、町外れの鍛冶屋さん。
次の町に行く前に、シーリスさんの所で新しい剣を買っていかないと。
「すいませーん」
「ふぁぁぁい。今親方いないので、ちょっと待ってくださぁぁい」
店の入り口で声をかけると、間延びした声が聞こえる。きっと作業中かな?
しばらく待っていると奥からパタパタと足音が聞こえて、ピンク色の髪をポニーテールに纏めたシーリスさんが姿を現した。
う〜む。汗で髪やシャツが肌に貼り付いてて、なんていうか……こう……ずるいっ! ってなるわね。歳は私の一個上なのに。
「いらっしゃませ。何をご希望ですかぁ?」
「こんにちわ、シーリスさん。少し長めの剣を一振り下さい」
「あれれ? 会ったことありましたっけ?」
「いえ、シーリスさんが冒険者やってた時に何度か見かけてたんです。私はフラムっていいます。よろしくお願いしますね」
「フラムさんですね。こちらこそよろしくお願いします。って、見てたんですね、あはは、恥ずかしいです。ろくに回復も出来ない、硬いだけのヒーラーだったのに。あ、それで剣なんですけど、全部売れちゃってて今無いんですよ。あいにく材料も切らしてまして」
あの硬さは素晴らしいのに……。
それにしても剣ないんだ。残念だなぁ……あっ! そういえば!
「あの、材料があれば作れますか?」
「はいっ。 材料さえあれば! 親方もしばらくいないので」
「だったら……」
ゴトン
私は肩にかけていた袋から、家から持ち出してきた鉱石を出して、シーリスさんの目の前に置く。お父さんの研究室にあったのを拝借してきました!
「これでお願いできますか?」
「こ、ここここここここっ」
キツツキの真似かしら?
「ここここれっ! オリハルコンとハイミスリルじゃないですかっ! これをどこで!?」
なにそれ? そんなに凄い物なの? 黙って持ってきたから、ここからバレるのはまずいかも……。
「えっと、拾いました。山で」
「山っ!? 落ちてるもんなんですか!?」
「はい、コロンっと落ちてました」
「コロンって……。はぁ、普通は落ちてるはずないんですけどねぇ。(……いや、でも、こんなチャンスは滅多に無いと思うし、親方も今はいないし……)」
何かゴニョゴニョ言ってるけど、聞こえてますよ? チャンスなんですよね? ねぇねぇ、もう作っちゃっていいんじゃないですか? ほらほら。
「……うん、決めました! 打たせてください!」
うしゃっ!
「どのくらいで出来そうですか?」
「そうですねぇ……あっ、なんなら見ていきますか? ちょっと試したいこともありまして、成功すればすぐにでも渡せるかもしれません」
「ぜひお願いします!」
ちょっと興味あったんだよねん。楽しみ♪
そしてすぐ、オリハルコンとハイミスリルを持ってウキウキしたシーリスさんに案内されて、作業場に入っていく。部屋を見回すと中央には大きな窯が。壁の棚にはハンマー等が綺麗に並べられていた。
へぇ〜〜。こういう道具を使ってるのね。
「フラムさん。こちらに座って見てて下さいね」
「はい」
言われた通りに作業場の隅にある椅子に座ってシーリスさんを見る。
わくわく♪
「では始めますね」
シーリスさんが大きく息を吸った。
「──我が左手に地獄の獄炎を『インフェルノブレイズ』──我が右手には永遠の孤独を『コキュートスプリズン』」
……ん?