第五話 私は町を出ることにした②
私の目の前でお父さんが空を舞っていた。
やがて地面に落ちると、白目になってピクリとも動かなくなる。
私はすぐに傍らにしゃがみこみ、お父さんを抱えて天を仰いだ。
「お、お父さん? ねぇ、目を開けてよお父さん! お父さぁぁぁぁぁぁぁん!!……あだっ」
「ちょっとフラム。何変な雰囲気にしてるのよ。気絶してるだけなんだから、寝かせておきなさい」
私の頭を叩いたのはお母さんだった。
せっかく一子相伝系の奥義の伝授で、親であり師匠でもあるお父さんを倒して、悲しみに暮れる感じを再現してたのに。
それにしても……お父さんは昔、Sランク冒険者だったらしいから、てっきり全部叩き落とされるかと思ったけど……。
はっ! きっと手加減してくれたんだ……。 私を送り出すために! ありがとうお父さん。 フラムは絶対に魔王を倒す追放勇者を見付けてみせるから! ホントに復活するのかはわからないけど。
そうと決まったら、旅の準備しないと! ガット君とシーリスさんの所で色々買ってこなくっちゃ。
「ねぇお義母さん? フラムにホントの事言わなくてもいいんですか? 」
「う〜ん。フラムに言ったとしても……バカだからねぇ……。」
「そうですよねぇ。バカですもんねぇ……」
「それにしても、息子相手にあそこまで圧倒的とはねぇ。あたしゃ、孫可愛さに鍛えすぎたかしらねぇ?」
「お義母さんもバカですもんねぇ……」
「なにか?」
「そちらこそなにか?」
「「…………」」
ん? おばあちゃんとお母さんがなんか言ってるけど、なんだろ? バカバカ聞こえるけど……おじいちゃんのことかな?
まぁいっか! 準備準備♪
てなわけで町へやってきました!
まずは、旅の間のご飯の買い出し。
「いらっしゃいま……ひいっ!」
「こんにちは、ガット君」
「い、いいいいらっしゃいませっ! フラム様!ご、ご用はなんでしょうかぁぁぁぁ!」
「なんで様付け? まいっか。えっと、火付け用の鉱石をいくつかと、干し魚と干し肉を、この袋いっぱいにお願いね」
「か、かしこまりましたぁー! って結構な大きさの袋ですね。どこかに行くのですか?」
「ちょっと冒険にね。と・こ・ろ・で、ガット君はもう冒険者には戻らないのかな? ガット君の能力ならズバンスパーンっと無双できちゃいそうだけど?」
「いえ、俺はこの世界で生きてくって決めたので、冒険者にはもう……あ、注文の品はこちらになります」
むう、残念……。てっきり、『やっぱり俺、冒険者の夢が捨てられないんですぅぅぅっ!』ってなるかと思ったのに。しょうがないか……。
それに私は、一緒に冒険したいんじゃなくて、見守って見届けたいだけだし。
「あ、うん。ありがと」
さぁ、次はシーリスさんのところで剣を買わなくっちゃ!