第3話 私は偶然見つけた②
三話目です!
よろしくお願いしますっ!
急いで家に帰ると、お母さんとおばあちゃんが朝食の準備をしていた。
間に合ったみたい。
「ただいまぁ」
「フラムおかえり。朝食には間に合ったねぇ」
「うん、いっぱい採ってきたから、おばあちゃんの薬もたくさん作れるからね♪」
「おや、ありがとさんだねぇ。ご飯はテーブルの上にあるからねぇ」
「ありがと! 私、食べたらまたギルド行ってくるね。急がないと!」
「ちゃんと噛んで食べるのよぉ」
「はぁい!」
とは言われても、あのパーティーがいつギルドに着くのか、わからないから急がないと!
それにしても、あのシーリスって子は可愛かったなぁ。腰まであるピンクの髪にタレ目気味の大きな目に大きな胸。私には無いモノだなぁ……。
「ごちそうさま! いってきます!」
「はい、行ってらっしゃい」
おばあちゃんの見送りを受けて私はギルドに向かった。
急いで向かったけど、まだ戻って来てないみたい。寄り道でもしてるのかな?
いつもの席に座ってしばらく待ってると、お昼頃になって、やっとあのパーティーがギルドに戻ってきた。今は換金してる所。あのヒーラーさんも一緒だ。なんだかみんなヘトヘトっぽいけど。
「へへっ、とんでもなく疲れたけど、やっぱりフェザーバードは良い金になったな」
「そうだな。ほらシーリス、お前の取り分だ。そしてさっき言った通りに、ここでお前とはお別れだ」
チリンッ! とシーリスって子の目の前に、銀貨が一枚落ちる。あれじゃ二食分位でおわりじゃない!
「そ、そんな! これだけなんて……。ま、待ってください!」
ギチッ!ミシミシミシ……
「いぎっ! いでぇぇぇ! 思いっきり腕を掴むんじゃねぇ! この馬鹿力が! っはぁ……ちぎれるかと思ったぞ……。大体な、回復出来ないヒーラーなんていらねぇんだよ! 顔と体はいいからパーティー入れてたけど、身持ちも固くて夜の誘いにも乗ってこねぇしな。耐久力だけじゃなくてそっちも固くちゃつまんねぇんだよ。じゃあな」
そう言うとシーリスさん以外の三人はギルドから出ていってしまった。
「うぅぅぅぅ、こんな【パーフェクトメイデンボディ】なんてスキルじゃなくて、回復力があがるスキルさえあったらこんな事には……ふぇ、早く次の仕事見つけないと宿代がもたなくなっちゃう……」
え? ちょっとなにそれ!?
明らかに強いでしょそれ!
追放した人達は馬鹿なの!?
まぁいいわ! きっとこれは、これから回復力にも目覚めていくパターンね! それで不沈の回復物理乙女の誕生の布石にちがいないわっ!
ふふっ♪ 貴女の事、見守らせていただきます!
次の日ギルドに行くと、シーリスさんは何かのクエストを受注していた。なんだろ?
こっそりと後ろをついていくと、海岸に着いた。
シーリスさんは、辺りをキョロキョロしながら岩場の陰にはいると、おもむろに服を脱ぎだして、水着姿になる。
予想よりも大きい……今にも水着から溢れそうじゃない……。自分の胸元に手をやってもその手は空を切るばかり。羨ましいっ!
ってそれはとりあえず置いといて、一体彼女は何するつもりなのかしら?
じっと見ていると、シーリスさんは思い切り海に飛び込んだ。そして、潜って少したった時……
ドゴーンッ!
衝撃音と一緒に、私が立っていた場所まで揺れた。
えっ、何? なんなの!? 地震!?
そして揺れが収まった頃、輝きを放つ大きな岩が海面から顔を出してきた。それはどんどん姿を表していき、最終的にそれを担いだシーリスさんも出てきた。
水中モンスターが何匹もシーリスさんに体当たりをしてるけど、全然気にもしていないし、効いてるようにも見えない。
すごいっ!
シーリスさんはそのまま陸に上がると、その大岩を地面に置いた。
「よいしょっと。鍛冶屋さんから出てた鉱石採取クエストだけど、ちょっと大きすぎたかなぁ? せーの、えいっ! えいっ!」
パキンッ! パキンッ!
可愛らしい掛け声と共に大岩を殴るシーリスさん。その音と共に、大岩はどんどん砕かれていく。やがて一つ一つが、両手で抱えて収まる程度の大きさになると、服を着たシーリスさんがそれを何個か軽々と持ち上げて、町に向かって歩きだした。
す、凄いわシーリスさん!
きっとその力に注目した人が貴女を導いてくれるの! 頑張って!
そして一ヶ月後──
カーーン! カーーン!
町の外れから鉄を打つ音が響く。
何かしら? 町外れなのに凄い人だかりだけど……。
興味本位で覗くと、そこには小さな鍛冶屋があって、ドワーフみたいなおじさんが人だかりを整理していた。
「はい、押さない押さない。数には限りがあるからナ! 一番高い値段を付けた順に売るからナ! 奇跡の鍛冶師、シーリスの歯こぼれしない剣と包丁はここでしか買えないからナ!」
……え? シーリス?
そんなまさか……。確かに最近ギルドで見なくなったけど……。
その時、店の奥から見たことある姿と声が聞こえた。
「ふぇぇ、親方ぁぁぁ。材料がなくなりましたぁぁって、なんですかぁ? この人だかりは」
「あぁん? みんなお前さんの打った得物を買いに来てんのよナ! だからこれからも頑張るのナ!」
「は、はいぃぃぃ!!」
なんで貴女まで、地域に根付いた才能を発揮してるのよぉぉぉぉ!!
見返すのは? 冒険は?
はぁ、とりあえず……
「包丁一本下さい」
面白い!続きが気になる!って方!
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