第2話 私は偶然見つけた①
新連載二話目!
よろしくお願いしますっ!
今日は朝からちょっと忙しかった。
朝っていうか、早朝? 太陽がやっと顔を出してきた時間に起こされたの。ねむい……。
なんでも、おばあちゃんがいつも飲んでる薬の材料が足りないみたいで、この辺りには無いから、山を二つ越えたところにある泉の側の花を朝食までに取ってきて欲しいと、お母さんに頼まれたから。
相変わらず無茶苦茶なことを言うお母さん。
私はまだFランクなのよ? 朝食までに山二つ分の往復なんて、相当急がなくちゃ無理じゃない! もうっ!
これがAランクとかの冒険者ならきっと、『シュンッ』って行って、『シュンッ』って戻ってくるんだろうなぁ……。
はぁ……まぁいっか。行かないとおばあちゃんも困るもんね。がんばろっと。
背負いカゴを持って庭に出て、まずは準備体操。途中で足とかつりたくないしね。
体操の後は、家の近くで一番高い木の上に飛び乗って辺りを見回す。
いつもなら森の中を突っ切って行くんだけど、今の時期は虫がたくさんいるから嫌! 虫はホントに嫌い!
だから今日のルートは、目的地まで高い木の上を飛び移っていくことにする。それなら虫との遭遇率も低い……はず!
よし、しゅっぱ「フラム〜」……ん?
私を呼ぶ声がして下を見ると、そこにはおばあちゃんがいた。
「おばあちゃんどうしたの?」
「なんでもないけど、気をつけていきなさいよ〜」
「はぁ〜い! じゃあ、行ってきます!」
おばあちゃんにそう声をかけると、私は思いっきり踏み込んで次の木に向かって飛んだ。
──よし、これだけあればしばらくは大丈夫よね。
出発した後は、特になにも問題なく目的地について、花の採取も終わったところ。持ってきたカゴにいっぱいにつめたから、後は帰るだけね。これなら朝食までには間に合いそう。
そう思ってまた同じように来た道を戻っていると、山を一つ半越えたあたりで戦闘音が聞こえた。
早朝クエストかな? それか、たまにある深夜の緊急クエストとか? そういうのはCランクからだから、私が受ける事は出来ないけど、話だけは聞いたことがある。どんなのだろ? ちょっと覗いてみよっと。
木の上から降りて、なるべく草むらになってないところ(虫がいないから)に体を隠して覗いてみる。
「おいシーリス! はやくこっちも回復しろよ!」
「はいぃ! 今やってますぅぅ!」
「ねぇ! こっちもやばいんだけど? しかも回復量少なすぎない!? ヒーラーなんでしょ!?」
「はいぃぃ! 今すぐにぃぃぃ!」
「おそいんだよ! それにアンタも攻撃されてるのになんでケガしてないんだよ! 自分ばっかり真っ先に回復してんだろ? 前衛が落ちたら終わりなのわかってんのか?」
「そんなぁぁぁ、自分の回復なんてしてませんよぉぉぉ!」
「くそっ! 耐久には自信があるヒーラーだっていうから連れてきたのにとんだお荷物じゃねーか! お前だけ耐えれても意味ねーんだよ!
このままじゃ全滅だぞ!」
あれは……大きな鳥? 名前忘れたけど。冒険者の人達が持ってるのは大きな卵ね。あーそっか! 商業ギルドからたまに出る朝一の卵の採取のクエスト! それで、卵を取られた親鳥との戦闘になったって感じかな。
それにしても……結構苦戦してるみたい。きっと四人中、Cランクは一人しかいないのね! あの鳥そんなに強いのかな?
下を見ると、手ごろな石が落ちてたから、それを拾って鳥を見る。
見つからないようにっと……。
ヒュンッ!
『グエッ!』
大きな鳥は一声鳴くとパタリと倒れてしまった。あれ? なんだ、弱いじゃん。もしかしてあの人達、ランクを偽ってクエスト受注したのかな? たまにそういう事をする、冒険者に憧れた一般人達がいるってきいたことあるけど、それかな?
ちなみに、私が軽く投げた石は、鳥の頭を貫通してから反対側の木にめり込んだみたい。
よかった。もう少し力入れてたら、木を倒してたかも。危ない危ない。
「な、なんだ? いきなり倒れたぞ?」
「わからねぇ……さっきの俺達の攻撃が時間差で効いたとか?」
「さあ? まぁいいさ。せっかくだから素材になりそうな所を剥ぎ取ってギルドに戻ろうぜ。こいつのは結構高値で売れるからな。おいシーリス。お前とはそこでお別れだからな」
「そ、そんなぁぁぁぁ……」
ん? お別れ? これはもしかして!
追放の気配を感じ取った私は急いで家に向かう。早く戻ってギルドで待ってないと!
面白い……でしょうか??




