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金髪狐耳戦国時代より続く名家の二代目のじゃロリ巫女~職歴の空白期間についてお訊ねしたいのですが~

【コゥヘンバルム掲示板☆partすっごいたくさん☆】


名無しさん@コゥヘンバルム

昨日はカレピッピと24回もしちゃった☆


名無しさん@コゥヘンバルム

はいはい処女乙


名無しさん@コゥヘンバルム

皇族以外に男がいるわけねーだろ頭イカレてんじゃねーのコイツ


名無しさん@コゥヘンバルム

何年こじらせてんだ糞して寝ろ



 背景、お父さんお母さん。

 緊張は人を育てると聞きますが、あなたの息子は成長できているでしょうか。


 異世界より帰還の折、狐耳幼女の幻影を見ましたが、ご存知の通り、町内格闘大会四位の私の逃げ足を以ってすれば振り切るのは容易でした。

 あの時、獣耳はもうおなか一杯で非日常には胸焼けがしていましたが、今にして思えば折角の国産獣耳。存分に堪能するべきであったと後悔しています。




 さて、現在私は『旅館かな? 旅館じゃないよ豪邸だよ』な感じの邸宅を訪問しております。

 塵一つ浮いていないよく磨かれた板張りの廊下を安物の靴下越しに踏みしめ、右手側には立派な枯山水の庭。

 侘び寂びよりは肉欲の宴を好む私ですが、磨きぬかれた美を相手取り敢えて否定しよう等とは考えません。綺麗だなと感じたならば、いいね! をすることも吝かではないのです。


 勿論仕事です。


 遅ればせながら私、藤村スポーツ用具店という会社で働いているサイタマ・ケイスケと申します。

 営業職でございまして、全国津々浦々、少年少女や社会人、果ては老人まで、ありとあらゆるスポーツクラブや団体に『ウチの道具、ドーっすか? マジぱねっすよ?』と売り込みをかけているのです。業界的にはFUJIMURAのブランドで名が知れてます。


 例えば出入りしている有名野球校の部活と顔を繋いでいると、後援会の代表なんかに招かれたりする訳ですね。

 今日はそんなお招きに従い、東京から愛知まで新幹線でやってきたわけです。


 次元超越の応用でさっさとワープすりゃいいんじゃないのって?

 それがどうも上手く行かないようでして。

 あれから根掘り葉掘りとなすびに異世界の超技術や魔法について質問したのですが、曰くに


『けーすけよ。次元超越と短距離転移は別のモノだ。我はエルフ型次元超越ロボであるから短距離転移の機能は備わっていない』


 と微妙に融通の利かないお答えを頂戴しました。

 MNK7786休養世界こと地球にすっかり馴染んだ彼ですが、最近はもっぱら私の部屋の回線から電子の海を漂うのが日課になっています。


 私だってただでは引き下がりません。

 つかえねーなこのエルフ型以下略と罵ったところ


『どうしてもというのならば、やってやれないことはない。だが万が一移動先に小石程でも障害物が存在した場合、存在力干渉による次元震と空間膨張による高圧力が周囲数キロメートルに渡って破滅的な現象を引き起こす事になるが、それでも構わないか?』


 と、よくわからないようごを交えて説明してくれたので、身体の頑丈さには自信のある私ですが、話を聞くになんちゃら膨張は流石に耐えられなさそうだったので丁重にお断りしました。


 まあそんな訳で、異世界に行って帰って来たにも関わらず、特にズルもせずこうしてお仕事に励んでいる訳です。

 こういうカチっとした日本屋敷に招かれると、柄にも無く緊張してしまいます。

 異世界に招かれても緊張しなかったのに、不思議なものです。

 慣れない場所という点では、この邸宅も異世界と呼べなくも無いのかもしれませんね。


「こちらでお待ちください」


 案内してくれた女性(お尻の大きい)が障子を引いてくれた。

 お礼を言って入室。

 悪代官が密談とかしてそうな和室だ。それでも12畳くらいはあるんだろうか。少なくとも私のアパートの部屋よりは広いように感じる。

 敷いてある座布団に腰を下ろし一息吐く。


「うむ、お待たせしたのじゃ」


 のじゃ?

 暫く待っていると、そんな幼げな声と共に戸が開かれ、声の主が姿を現す。


 その姿を見て、私はよく声を上げなかったと思う。

 いや、呻き声ぐらいは出ていたようだ。声の主が若干首を傾げていた。そりゃ聴覚は優れているだろうよ。


「常より愛高野球部への奉仕、誠に大儀である。褒めて遣わすぞ」


 セリフだけ切り抜けば時代劇だが、喋っているのは小学生くらいの少女である。


 和風な家に全くそぐわず金髪で、装いこそ巫女服だが、あれは神社で見るものであって他所のお家にお招きされて出てくる代物ではないと思う。

 いやもう目をそらすのは止めよう。

 そんな時代錯誤な少女の頭頂部には髪の色と同じ立派な獣耳がひこひこ生えており、その後背では孔雀に負けるなと言わんばかりに白と金色のコントラストが眩しい太くもふもふしてそうな尻尾がうねっていた。


 なすびに連れられ異世界に行っていなければ即死だった。

 またか。またしてもファンタジーか。

 しかも三者連続獣耳だぞ。エルフ(?)けものけものけものだ!

 いや、希望を捨てるな。最近の小学生の間ではああいうのが流行っているかもしれない。


「失礼致します」


 さっきの女性(大きい)がお盆を持ってやってきた。

 お絞りおいてーの、お茶をおいてーの、と全く普通だ。普通に接待している。

 少女の耳や尻尾を見るでもなく、ただ普通に来客対応をしているだけだ。


 ここでは獣耳が普通なのか?

 それにしては女性(大きい)には生えていない。生えてるとか生えてないとかなんてお下劣な。

 もしかして見えていないのか? 見えているのは私だけなのか?


 どちらに異常がある可能性が高いかと言えば、異世界に行ったとのたまう私の脳みその方だと思うのだが、何事も無く堂々と振舞っている所に波風を起こすのは如何なものなのだ。


『あの、耳と尻尾生えてますよ?』と訊ねるのか? 身体的特徴を女性に対して問うのはどうなんだ。セクハラなのではないか?


 よし。ここは一つ、見なかったことにしよう。

 それが大人のやり方だ。

 堂々としている事だし、やはりそれにならって私も何事もなく過ごすべきなのだ。

 おかしいのは私。それで全部丸く収まるなら、それでいいじゃないか。


「どうじゃ、ちゃんと隠せているかの?」

「ええ、それはもう」


 チクショー!

 だめだ来客の前だというのに意味深な会話を挟んじゃっている。

 今だけは無駄にいい聴覚が恨めしい。

 一応小声だったけどばっちり聞こえちゃったよ。

 これは確定だ。絶対そうだ。

 隠してるんだよ、バレてない心算なんだよ、突発スルースキル検定開催だよ。


 初心に帰ろう。

 私は何をしに来ているのか。

 それは仕事だ。

 営業先の顔役に招待され、歓待を受ける立場なのだ。

 ならば大過なく役目を全うすればいい、それだけを考えていれば良いのだ。

 耳がどうとか尻尾がどうとか気になるなら、オードレーヌさんに頼めばいくらでも秘密の獣耳プレイをさせてくれるに違いない。

 前後に有給消化が必須となるが背に腹は変えられない。


「み、みみがかゆいなーおかしいなあ、み、みみがぁー」


 嗚呼、私は何をやっているのだ。

 昔からボタンがあったら押してみる、変なものがあったらとりあえず拾う、迷ったらGOで生きてきたのが悪かったのか。

 頭頂部の耳のあたりをかきながら放った私の言葉は、広々とした和室に虚しく響いた。

 当然少女も女性(大きい)も怪訝な顔。


「耳? おぬしが掻いているのは頭ではないか」

「あはは、そうですね、いやおかしいなあーあはは」


 少女と女性の目がすぅーっと細まる。

 好奇心は猫をも殺す。私は猫じゃないから死なない。証明完了。

 よし、自己暗示は完璧だ。


「…………おぬしに一つ訊ねるが、おぬしから見てこれは何に見える?」


 そう告げて少女は後ろの尻尾を指差す。

 袖から覗いた小さなお手手が実に愛らしい。

 しかし、そんな手にはおじさん引っ掛からないぞ。


「これ、というのは何のことでしょうか」

「ふむ。ところでわらわの金髪、綺麗じゃろ? 自慢の髪なのじゃ」

「へ? ええ、とてもお美しゅうございます。そこまで見事な金髪は外国でも中々お目にかかれないのではないでしょうか」

「おぬし、見えているな! まきのー! くせものじゃー! 者共であえー!」

「なぜなのじゃー!」


 女性(大きい)と襖から現れた屈強な男達に取り押さえられ、哀れ私は簀巻きにされてしまったのだった。



明日は夕方だと思います。日曜は競馬( ^ω^)ダノンプレミアム!

タイトルはアストロノーカのリズムで読むと読みやすいかもしれませんね

宇宙メンデル指数のごとく属性もっていきましょう

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