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僕たちの7日間戦争  作者: たまきまた
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第9話 水面下


ワタリさんから連絡を受け、僕とテンカさん、そしてショウさんの3人で昨日の模擬戦で使用したコントロールルームに来ていた。


テンカ「何だろうね、ワタリさんの相談」


タケシ「昨日の今日だし、ロボットと事件に関する事で間違いないだろうね」


ショウ「まあ、だろうね」


僕たちが話しているとワタリさんが部屋に入って来た。


ワタリ「皆さん、どうもすみません」


僕たちは立ち上がって軽く会釈をした


ワタリ「タケシさんのお父さんは?」


タケシ「ロボットの調整でアイデアがあるらしくて、昨日開発室に戻りました」


ワタリ「そうですか、、まぁ、皆さんお座りになって下さい」


僕たちが昨日使っていたゲーミングチェアに座るとワタリさんは話しはじめた。


ワタリ「今回お呼びしたのは他でもなく、昨日中東で起きた事件の件です。」


やっぱりそうかと3人は思った


ワタリ「昨日の模擬戦を拝見させて頂き大変驚きました。ロボットのポテンシャルはもちろん、操作する皆さんの技量はちょっと普通じゃない面がありますね。さすが世界レベルだと思う所でした。」


テンカ「そんで、私達に中東の自衛隊を救ってくれってことですか?」


ワタリ「ハハハ!テンカさんは話しが早いですね。もう少し段階を踏んで話そうと思ってたのですが、そういう事です」


ワタリさんはノートパソコンをカバンから取り出しモニターに繋ぎはじめた。


ワタリ「少し説明させて頂いてよろしいでしょうか?」


僕たちはモニターの方向に椅子を回した


ワタリ「昨日の事件が起きたのはイスラエルという国のヨルダン川沿いにあるホテルでした。ホテルには上にあるシリアという国の内戦から逃れた一般人が集まっていて、自衛隊は国連主導の救援活動を行なっていたんです。」


テンカ「地名がいかにもヤバイ所って感じあるよね」


タケシ「治安は良くないイメージですね」


ワタリ「シリアではISMLという武装した過激派集団が独立国家を主張しており内戦が起こっていまして、アメリカが中心になって鎮圧作戦を行っている途中なんです。」


タケシ「ここに自衛隊を送るからデモとか国会でケンカになったりしてたんですよね」


ワタリ「その通りです。現政府は国連加盟国の責任から国際的な人道支援活動をするように詰め寄られていたのと、国民から戦場に自衛隊を送るなという板挟みに合っていたんです。まあ、かなり強制的には法案を通して自衛隊派遣に踏み切りましたが」


ショウ「安全な地域に派遣することが前提だったからな、今回の事件はかなりマズイでしょ」


ワタリ「はい。まだわかりませんが、派遣された全自衛隊の撤退はすぐに始まるでしょう。」


テンカ「捕まった人達は見殺しになるの??」


ワタリ「事件がこういう風に世間に明るみになってしまうと自衛隊を使っての救出作戦はかなり難しいですね。しかも今回犯人が出している要求はかなり無理な要求をしています。」


ショウ「アメリカ軍の撤退と、誰か釈放しろみたいなやつでしたっけ?」


ワタリ「はい。アメリカは基本的にはテロリストとは交渉しません。人質を取られても必ず奪還作戦が行われます。ですが、現在の自衛隊ではかなり難しいですね。さらに犠牲者を出すリスクのある作戦となりますし、戦争行為と言われ大反対されるでしょう」


タケシ「それでロボットに目をつけたんですか?」


ワタリ「ロボットは撃たれても死にませんからね。しかも皆さんのチームワークや操作の技術は誰にでも出来るわけではなさそうですし」


テンカ「でもやっぱこういうのって、政府が水面下で交渉したりするんじゃないですか?お金を渡すとか」


ワタリ「…まあ、一般的な表向きはそうです。ですが、実際のところを言いますと、今、私が行っているのがその水面下の交渉になります」


テンカ「は?」

ショウ「へっ?」

タケシ「え?」


ワタリ「ですので絶対に口外しないでほしいのですが、日本はテロリストの資金源になるような身代金のような物を支払った事はありません。この変はアメリカと足並みを揃えています。というか、アメリカからの要請ですが。」


ショウ「でも!前に捕まったマスゴミがお金で解放されたニュースを見ましたよ!」


ワタリ「表向きにはそうですが、実際はフランスの傭兵団にお願いして犯人全員を殲滅し救出しています。その時にかかった費用がトータルで3億円ちょっとです。」


タケシ「またフランスの傭兵団にお願いできないんですか?」


ワタリ「もちろん可能ですが、ロボットが壊れるのとフランス人が死ぬのとではリスクが違いすぎます。実際に前回の救出作戦もフランス人の死人が出ていますし」


タケシ「それはそうですが現状ロボットを動かすにしても通信速度の面から僕たちも中東まで足を運ばなくてはならないですね」


テンカ「え?ここからじゃダメなの?」


タケシ「ロボットが見ている映像が僕たちのモニターに映るまでのタイムラグと、僕が押したボタンがロボットに伝わるまでのタイムラグが出てしまうんだ。現状だとロボットの活動している20キロ圏内に僕たちはいないといけない。20キロ離れるだけでも画質が落ちたり問題はでてくる」


ショウ「ラグいのは勘弁だな」


タケシ「それに相手がテロリストとはいえ、実際に僕たちは人を殺すことになる」


テンカ「さすがに人を殺すのはキツイね…」


ショウ「出来るなら助けてあげたい気持ちはあるけど…人を殺すとなると…」



テンカ「アメリカは?アメリカ軍は助けてくれないの?」


ワタリ「アメリカ軍が日本人救出の為に命を張るのは日本が努力した後になりますね。意外かも知れませんが、アメリカは日本の為に軍隊を動かした事なんてありませんよ。震災の時にオスプレイを使わせてくれましたが、あれもデモンストレーションのようなものですし。日本に米軍がいるのは太平洋の防衛ラインでしかりません。アメリカを守るためです。」


タケシ「ワタリさん。少し時間をもらえませんか?僕たちだけじゃなくチーム全体が動かないと意味がないので、他のメンバーとも相談させて下さい」


ワタリ「わかりました。でも、時間はあまりないのでよろしくお願いします。あと、巻き込んで置いて申し訳無いのですがチームの皆さんを含めて、この件は絶対に口外しないで下さい。軍事機密の漏洩は結構な罪になりますので」


ワタリさんはパソコンを触って違う映像を出した。


ワタリ「これは今回拉致された15名の自衛官です」


画面に15名の自衛官の写真がならんだ


ワタリ「皆家族おり、子供がいる隊員もおります。どうか、助けてあげて下さい」



写真を見ながら僕たちは何とも言えない気分になった…


ショウ「どうすっかな、なつみやモコは先に帰っちゃったけど」


タケシ「とりあえず僕たちも一度戻りましょう」


僕たちは一度東京に戻り、埼玉にある父の開発室にチームメンバーを集める事にした。


帰りの電車で、テンカさんが思いつめた表情で僕に話しかけた。


テンカ「私はさ、助けに行きたい。なんつうか、出来る事はしてあげたいな…こんな事件でお父さんが死んじゃうなんて、子供はたまんないよ」


タケシ「気持ちはわかりますけど、これはもうゲーム感覚じゃなくて、撃てば人が死にますからね…かなりシビアな問題ですよ…中東に足を運ぶとなると、僕たちも安全ではないし…」


ふたりは黙って考えたまま東京まで戻った。




つづく


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