第19話 DAY7 最後の作戦②
ドバイ時間深夜1時 上空12000メートル
米軍機「バンカーバスター投下。レーザー誘導動作正常」
ユウ「ドローンよりプールに向かってレーザー照射。バンカーバスター誘導中」
タケシ「モトジャさん行きますよ!」
モトジャ「行きましょう!」
米軍機「ロボット2体を続けて投下、バンカーバスターとの距離200メートル」
タケシ「ロボットとの接続良好。バンカーバスター目視」
モトジャ「同じく接続良好。バンカーバスター目視」
コンクリートを貫く大きなミサイルと2体のロボットがドバイの夜空を下って行く
ミサイルは時折エンジンを点火させ、轟音と赤い炎を放ちながら速度と位置を調節しているのがわかる
ユウ「地上からもバンカーバスターを目視!プールに着弾します!」
加速装置を切ったバンカーバスターが無音で空を裂く
ドゴゴォォォォォォォォォォン!!!!!ズゴゴゴゴゴ!!!バリバリバリバリ!!
ユウ「着弾!」
タケシ「着弾確認!パラシュート展開!」
大きな着弾音と共に水の柱が空高く舞う
レストランにいたヨシモトとアサドは轟音と共に、屋上プールの大量の水に押し流される!!
ヨシモト「ぐわぁぁぁぁあいあああ!!」
アサド「ブワァァァァァア!!!」
衝撃でレストランの窓が弾け飛び、大量の水が地上に落ちて行く
ユウ「ドローンにてミサイル確認、予定通りレストラン階で停止!」
ドローンからはレストランにいた護衛部隊が次々とプールの水に押し流され窓から下に落下していくのが見えた
ヨシモト「おおおお!落ちる!!!」
ヨシモトとアサドは家具や柱に捕まり、流されまいと必死にこらえる
ヨシモトが水源に目を向けると、大量に流れて来る水の下に巨大なミサイルが半分ほど突き刺さっているのがわかった
ヨシモト「ミミミ!ミサイル!!!爆発!?」
アサド「不発だ!爆発はしてない!!」
大量の水と巨大なミサイルにレストラン内は恐怖に包まれる
アサド「ここから出るんだ!速く!」
水の勢いが立てる程になり、ヨシモトとアサド、数人の護衛が何度も転びながら出口へ向かう
タケシ「パラシュート離脱!プールの穴に入ります!」
モトジャ「後ろから続く!」
渦を巻いたプール中央の黒い大きな穴に、タケシとモトジャは飛び降りた
中に入ると、水に流されそうになりながらも出口に向かうヨシモト達をタケシは発見した
タケシ「見つけた!いたぞ!」
モトジャ「逃がすか!」
モトジャはヨシモト達の進行方向にスタングレネードを投げつけた
バスン!!!
スタングレネードの閃光が、一帯を白く包み込む
アサド「ぐあぁぁぁぁぁぁ!!!」
ヨシモト「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
ヨシモト達が目を押さえながら倒れ込む
かろうじて閃光を逃れたアサドの部下がこちらに気づき撃ち返してきた!
ズダダダダ!ズダダダダ!ダダダ!!
タケシとモトジャはすぐに柱へ身を隠す
タケシ「麻酔弾撃ちます!」
モトジャ「了解!サーモカメラ起動!」
ヨシモト、アサドとその部下数人が暗闇の中に赤く浮かび上がる
タケシとモトジャは柱から飛び出し麻酔銃を構える
バシュ!バシュ!バシュ!
バシュ!バシュ!
音と共にひとりずつ倒れ込む
撃ち返す銃声も無くなり、少し遠くでジリリリー!!と非常ベルが鳴り響いているのが聞こえた
タケシ「レストラン制圧!ヨシモトを確保する!」
バシャバシャと水を蹴る音を立ててタケシとモトジャは
倒れたヨシモト達に駆け寄った
ずぶ濡れになり意識もうろうとしたヨシモト
アサドは鬼のような形相で歯を食いしばり、落ちた銃に震えた手を伸ばしている
モトジャはその手をロボットの足で踏みつけた
アサドはロボットを睨みつけ歯をギシギシ言わせながら気を失った
ヨシモトも白目を剥いて意識を失う
ヨシモトが倒れ込む映像をみていた全員が歓喜にわいた
テンカ「やった!」
ワタリ「よし!」
大泉総理もパン!と手を叩き、フーッと息を吐いて緊張をといた
ロボットを操作しているトレーラー内でも、ショウ、ノラ、トミィが肩を組んで飛び回り喜んだ
タケシ「ヨシモトをフルトンで飛ばします」
※フルトン回収システム(Fulton surface-to-air recovery system, 略称 STARS)1950年代に開発され、CIA、アメリカ空軍及び海軍により用いられた、地上の人間を航空機によって回収するためのシステムである。別名スカイフック。
タケシがヨシモトの体にフルトンを取り付けようとしたその時だった
ブウウウウウウウウンンンンン……
鈍い音と共にトレーラーの照射が落ち、ロボットを操作していたパソコンの電源が落ちた
タケシ「あ!」
モトジャ「え!?」
ショウ「な!なんだ!」
日本で見守っていたテンカや総理、ワタリの画面も真っ黒になり、「OFFLINE」の表示がでている
画面にはテンカ、総理、ワタリのポカンとした顔だけが表示されていた
テンカ「何!?なんで!?」
ワタリ「!?」
大泉総理「なんだどうした!!」
ロボットを操作していたトレーラー内はパニックになっていた
タケシ「パソコンだけじゃない!全部落ちてる!?車の電源も!?」
ショウ「おい!マジかよ!」
トミィやユウもパソコンの電源ボタンを長押ししたり、連打したりと、慌てふためいた
パニックなったトレーラー内に外から大声が聞こえた
クドウ「逃げろ!外に出て逃げるぞ!」
声をかき消すかのように無数の銃声が鳴り始めた
ズダダダダダダダダ!!!
ダダダダダダダダダダダ!!
ダダダダダダダダダダダ!!!!
銃弾でトレーラーの窓が割れタケシ達に降りかかる!
タケシ「うわあぁぁぁぁぁぁぁあ!!」
モトジャ「ぐわぁぁぁぁぁぁあ!」
全員がガラスだらけの床に伏せて頭を押さえた!
真っ暗なトレーラーにクドウが駆け込んで来た
クドウ「居場所がバレた!車もダメだ!走ります!」
タケシ達はクドウの声がする方へ身をかがめて移動した
ショウ「くそ!いてぇ!腕にガラスが!!」
タケシ「はやく出よう!!」
銃声が激しくなり撃ち合いになっているのがわかった
トレーラーの車体や金属に当たる弾丸の音が耳元で鳴り響く
トミィ「ぐわぁぁぁあ!ヤバイぞ!」
トレーラーを出たタケシ達はクドウを追って走り出した
クドウ「みんな!こっちだ!行くぞ!」
タケシ「ヨシモトは!あいつはどうするんですか!」
走りながらタケシが叫ぶ
クドウ「今はそれどころじゃない!」
タケシ達が襲撃を受けている時、ワタリは状況の情報収集を急いだ
ワタリ「米軍機!こちら自衛隊局長ワタリ!現地作戦部隊との通信が途絶えた!」
米軍機「こちら米海軍輸送機、現在、現地上空7000メートルにてフルトン回収待機中」
ワタリ「米軍機へ、現在トラブル発生中!上空より現地の目視を頼みたい!」
米軍機「了解、高度を下げて現地確認行う。降下開始。」
米軍機の降下を待つ間、重い無言の空気がワタリ、テンカと総理の間に流れる
米軍機「米海軍より自衛隊本部へ」
ワタリ「こちらワタリ!何か見えますか!?」
米軍機「バンカーバスター投下地点、現在、消防が集結中。一般客の避難を確認。火災はないように見える」
ワタリ「現地南方15キロ地点に作戦拠点があるのですが…」
米軍機「了解。確認します」
米軍機は少し旋回するとすぐに状況を知らせた
米軍機「南方15キロ地点に円形のブラックアウトを確認。半径2キロほどのエリアが停電している」
ワタリ「半径2キロの停電!ブラックアウト!」
テンカ「嘘でしょ!?」
大泉総理「なんと言う事だ!!」
ワタリはすぐに状況を察知した
ワタリ「これは、、、EMP爆弾だ、、、タケシ君たちが攻撃されてる!!!」