表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕たちの7日間戦争  作者: たまきまた
16/19

第16話 DAY5 容疑者


〜アラブ首長国連邦 ドバイ〜


チームの女性陣を日本に送り、僕たちはテロリストのジョンと連絡を取り、お金を流していた人物の捜索に入った。


ワタリさんがドバイへ入出国している人間で野党議員と繋がりのある人物を選別する作業をしてくれていた。


ワタリさんからの連絡を待つ間、僕たちは少しだけドバイの街を見る事が出来た。


ショウ「クソ熱いな!というか、強烈な大都会だな…」


タケシ「想像以上ですね…」


モトジャ「スゴイ都会なのはわかるんですが、違和感も凄くないですか?」


モトジャさんが言う違和感は僕も感じた。


砂漠の中に突如現れる高層ビル群と過度に発展した街並み。ねじ曲がったビルは美しいが安全かどうかを疑わせる…


そして、何か変なところは、、、歴史というか、(おもむ)きが感じられないところだ…


凄く最先端だが、逆に全てがハッタリのハリボテに見える


ユウ「この街のどこかにジョンに金を渡して自衛隊を拉致させたヤツがいるんですね…」



ショウ「あんな寂れた地域に金だけ送って、自分は大都会を満喫かよ!許せ無さが倍増したぜ!」


トミィ「自衛官達と同じ苦しみを与えてやりたいですね、、、じゃなきゃ気分が治らない」


ノラ「テンカさんが負傷して僕たちも無傷ではないんです。絶対に許せません」


高級な車やブランドのお店を見るほど、犯人の生活が見える気がして、僕たちはイライラしていた。



「パッパッパー‼︎」


大きなエアーホーンの音で僕たちはビクッと驚いた。


エアーホーンの鳴った所を見ると見覚えのある豪華なトレーラーを引いたトラックが走ってきた


ショウ「あ、あれって」


トラックはプシャー‼︎と大きなエアブレーキの音を立てて僕たちの目の前で止まった


運転席の窓が開きクドウさんが顔を出した


クドウ「この辺にいると聞いて来たらすぐ発見しました!」


タケシ「クドウさん!これ持って来たんですね!」


クドウ「はい!さぁ乗って下さい!」


僕たちはトレーラーに乗り込んで1Fのソファに座り込んだ


ショウ「くぅ〜涼しい!俺もう外に出たくない!」


タケシ「昼間は暑すぎて誰も出歩かないそうです、、、」


トミィ「都市なのに人があまりいないのも違和感を感じさせる原因かもしれませんね…」


エアコンで汗が引いたころ、タケシの携帯電話が鳴った


タケシ「ワタリさんだ!」


タケシはハンズフリーにしてテーブルに携帯電話を置いた



ワタリ「皆さま、長旅おつかれ様です。」


タケシ「ワタリさん、誰か怪しい人物見つかりましたか?」


ワタリ「はい、私的にはコイツだろとしか思えない人物がいました」



ショウ「マジですか!」



ワタリ「男の名前はヨシモトと言いまして、3年程前からドバイと日本の往来が数多くあります。そして、ドバイで日本製品の卸をしているのと、日本食レストランを数件経営していますね」



タケシ「このヨシモトと言う人物が怪しいんですか?」


ワタリ「はい。ヨシモトは会社を分社化して8つの会社の経営に関わっています。このヨシモトの経営する会社の全てが野党の政治団体に毎年億単位の献金を行なっています 」


タケシ「毎年数億円!?」


ショウ「また偉く儲かってるな、数億円プレゼント出来るなんてよ!しかも毎年かよ!」


モトジャ「金の出所は怪しいですね、、」


ワタリ「はい。ちょっと普通じゃない感じです。表向きに探ってもこのヨシモトという名前は出てこないので、さらに怪しさが倍増します」


タケシ「ヨシモトは今もドバイに滞在しているのですか?」


ワタリ「はい。パスポートの履歴から現在ドバイに来ていることは間違いありません。日本大使館員に確認したところ、昨年ドバイで新築のタワーマンションを購入しているそうなので、そこに滞在している可能性が高いですね」


タケシ「わかりました。クドウさんの力も借りて探りを入れてみます」



ワタリ「お願いします。こちらからも何か情報があれば連絡しますので」



ワタリさんとの電話を終え、僕たちは手分けしてヨシモトという男を調べる事にしたのだが、少し動いただけで怪しいことがすぐにわかった。



ウェブ上に上がっている会社の住所をまわってみると全てがレンタルオフィスでペーパーカンパニーであることがわかる。



日本食のレストランすら存在していない。



ノラ「これじゃ何しにドバイに来てるかわからないくらい怪しいですね」


モトジャ「完全に闇取引のみで生計を立てているでしょうね」


タケシ「とりあえず購入したとされるタワーマンションを確認してみますか…」


僕たちは滞在先と思われるタワーマンションに足を運んだ。


そのマンションはかなり高級そうなマンションで、地上100階建て、高さは400メートル以上あり、セキュリティのシステムも最先端な物が使用されていた。


居住者でなければフロントから先に進むのはかなり難しそうだ。


このマンションの98階部分にヨシモトの部屋があるらしいのだが、当然外から見えるような作りでもなく、中の様子を伺うことも出来ない。


ショウ「ここで張り込んでずっと待ってるしかないのか?」


タケシ「どうするべきか悩みますね…」



皆が超高層のタワーマンションを見上げて考えていると、タケシの携帯電話が鳴った。ワタリさんからの電話だ


タケシ「ワタリさん、何かありましたか?」


ワタリ「はい。実はヨシモトが入国する際に一人ではない事がわかりました。今回は妻と中学生の子供も一緒に来ているようです」


タケシ「なるほど、家族で来ているんですね…」


その話しを聞いたモトジャがニヤリと不敵な笑みを浮かべた。


モトジャ「良いアイデアが浮かびました。」


モトジャは思い付いた作戦を皆に話し準備に取り掛かった




〜 その日の夕方、、、〜



妻「それじゃ、私たち買い物に行ってくるから」


ヨシモト「ああ、わかった」


ヨシモトの妻と息子が買い物のために部屋から出て行った。


タワーマンション1階の車寄せでリムジンに乗り込む妻と息子をタケシ達は確認していた。



ユウ「日本人親子が出てきました。パスポートの顔写真と一致、妻と子供ですね」


タケシ「本当に気温が下がってから動き出すんですね」


ユウ「この国の常識なんでしょうね…」



二人を乗せたリムジンが出て行くのを確認して僕たちはモトジャさんの作戦を実行に移す



〜ヨシモトの部屋〜



ヨシモトがパソコンに向かいながら作業をしていると、壁に設置されている電話が鳴った。


マンションのフロントからの電話だ


ヨシモト「はい、ヨシモトです」


フロント「お荷物が届いておりますが、大きいものなので運ばせて宜しいでしょうか?」


ヨシモト「わかりました。運ばせて下さい。」


ヨシモトは電話を切り荷物を待った。


数分すると宅配業者が部屋のドアベルを鳴らした。


ドアを開けたヨシモトは荷物の大きさに驚いた。


ヨシモト「大きいな、、、誰宛てですか?」


業者「ヨシモト トオル様宛ての荷物ですね、、、」


ヨシモト(息子か、、、また余計なもの買いやがって、、、)」


ヨシモトは荷物をリビングに置いておくように指示を出した。


業者「外箱は回収しますね」


業者は梱包を解いて荷物をリビングに置いた


ヨシモト「パッペー君?新型か…」


業者が設置したロボットを見てヨシモトはふ〜っとため息をつきながらパソコンのある部屋へ戻った。


もちろん、息子はパッペー君なんて買ってはいない。


送り付けたのは僕たちのロボットだ。



モトジャ「よっしゃ怪しまれませんでしたね」


ショウ「ガハハ、大胆すぎて最高」


ユウ「こんなに高価そうな物が届いたらもう少し混乱しそうですけどね…スゴイ生活レベルだ」


僕たちはトレーラーからヨシモトがため息をつくのまでの全てを見ていた。


タケシ「しかし、すごい絶景マンションですね…部屋も広い、、、」


ロボットのカメラを通してかなりの高級マンションである事がわかる。

そして、ロボットの位置から奥の部屋のパソコンの前に座るヨシモトの姿も見えている。


タケシ「カメラをズームしてパソコンの画面を見てみましょう」


タケシはロボットのカメラでパソコンを覗き込む


モトジャ「これは、、、仮想通貨のチャート画面ですね」


タケシ「仮想通貨ですか…」


クドウ「ワタリさんに連絡して日本の仮想通貨の業者にヨシモトが登録してないか確認してみましょう」


僕たちはすぐにワタリさんへ連絡を取り、仮想通貨交換業者への登録情報を調べてもらった



連絡してから15分程ですぐにワタリさんから連絡が入る



ワタリ「タケシさん、ヨシモトは仮想通貨の入出金を日本円だけで15億円以上行っていますね。入金しては海外口座へ、また、海外口座から日本口座へと資金の移動も激しいです。まあ、仮想通貨で億単位の取り引きをする人は数多くいますので、、、これだけでは証拠にはなりませんが…」



タケシ「なるほど、海外口座の方を調べる必要がありますね」


クドウ「やはり、あのパソコンをハッキングする必要がありそうですね」



ショウ「いやさ、もう取り抑えて吐かせてもよくないか?」



ワタリ「そこはどうか、ある程度証拠を抑えてからでお願いします…こういうヤツはデータをクラッシュさせる事も考えてあると思いますので」


ショウ「うーん、、、、」


タケシ「スキを突いてパソコンのハッキングを試みます」


僕たちはヨシモトがPCデスクから立ち上がるのを待った



ヨシモトはカラになったコーヒーカップを持って立ち上がりキッチンへ歩き出す


ショウ「チャンス来たか!?」


タケシ「いけるかな…」


ヨシモトはコーヒーカップをシンクに置きトイレへ歩き出した


モトジャ「今です!行きましょう!」


タケシはロボットをパソコンに向かわせてUSBの差し込み口にハッキング装置を接続した


クドウ「ダウンロード開始!」


ヨシモトはトイレに入りまだ出てこない


タケシ「画面のミラーリング装置もつけます」


タケシはパソコンの映像出力コネクタにミラーリングの装置を接続した


クドウ「35%、36%、37%、、、」


ヨシモトはまだ出てこない


クドウ「51%、52%、53%、、、」


トイレの方からジャジャーッと流れる音が聞こえた


ショウ「出て来るぞ!」


クドウ「71%、72%、、」


ヨシモトは洗面台へ移動し手を洗い出す


クドウ「97%、98%、99%!ダウンロード完了!」


タケシはクドウの合図でUSBを引き抜いた



「ピー!ピー!ピー!ピー!ピー!」


PCからとてつもないエラー音が鳴り響き出す


タケシ「ヤバ!」


ショウ「ヤバイ!」


ロボットが背面を振り向いたと同時にヨシモトがゴルフクラブを振り上げている映像が映し出される


ヨシモト「オラァァァァァアアアア!!」


ドガ!!


ヨシモトがゴルフクラブでロボットの頭部を殴打した!


その衝撃でカメラの映像が途絶える!



ショウ「しまった!カメラやられた!」


タケシ「クソ!サーモカメラ起動!」


ヨシモトが急いで部屋から出て行くのが熱源の動きでわかった


モトジャ「逃げますよ!」


タケシ「ちくしょう!サーモカメラでは追えない!」


クドウ「僕のチームで追いかけます!」


タケシ「僕たちも予備のロボットで建物を囲みます!」



ヨシモトは逃げながら電話をかける



ヨシモト「追われている!至急助けろ!地下駐車場に行く!」


ヨシモトの護衛「すぐに向かう!」


ヨシモトの部屋の下の階にいた護衛たちが部屋を出て地下駐車場に向かい始めた


タケシ「ユウ、ドローンでの追尾を準備!モトジャさん、ショウ、トミィ、ノラ、僕はロボットで取り押さえるチャンスを待ち出動体制」


クドウ「地下駐車場の車を抑える!駐車場の出入り口を塞ぐ!」


クドウ達の部隊がが駐車場入り口に車を回したときだった


物凄いスピードでハマー2台が駐車場から飛ぶように出て来ると続いてロールスロイスが猛スピードで出てくる


クドウ「クソ!あの車列だ!ヨシモトには仲間がいるぞ!」



タケシ「ドローンで追尾します!」


クドウ達もヨシモトの車を追いかけ始める


ハマー2台はロールスロイスを挟んで縦1列に猛スピードでハイウェイへ上がる


後ろから来たクドウ達の車列に気がついたのか3台はどんどんスピードを上げる


クドウ「高速を使って移動してる!可能な限り追いかけるぞ」


タケシ「トレーラーもヨシモトとの距離20キロ以内をキープして追いかけます!」





〜東京 首相官邸〜



一方、タケシ達がヨシモトを追い詰めていたその頃、

大泉総理はワタリから現在の進捗報告を受けていた



大泉総理「すると、そのヨシモトが政治献金を送っていた相手が今回の自衛隊襲撃事件の首謀者である可能性が高いと言うことだな」


PC画面越しのワタリが話し出す


ワタリ「ヨシモトが送金したのは政党に対しての献金ですので指示をした個人の特定にはまだ少し時間がかかりますが、公民党の上層部である事に間違いないと思われます」



大泉総理「公民党の中でなら大体の想像はつく。絶対的に金山の策略だろう… 金山までたどり着く証拠は出ないと思うが、可能な限り詰めてくれ。犯人の確認が取れるまで辞任は絶対にしない」



ワタリ「了解致しました。先程ヨシモトのパソコンをハッキングする事に成功しましたので、精査して日本にいる黒幕を全力で割り出します」



大泉総理「たのむ」


総理はワタリとの通信を切り、大きくため息をついた、、


菅村官房長官「公民の金山ですか…」


大泉総理「間違いないな…金山も大きく出たな。自衛隊を殺してまで政権を取りに来た…」


菅村官房長官「金山を捕まえても今回の事件の全てを世間に公表することはできませんからね、、、、解散後の選挙はかなり不利な状況になります」



大泉総理「こちらもただ転ぶ訳にはいかない。必ず金山にも一緒に地獄へ落ちてもらう。その手がかりを掴むまで解散はしないつもりだ。」




大泉政権の転覆は確実になり、解散後の選挙も今回の事件で国民世論により大敗するのは間違いない状況に追い詰められた。



僕たちは事件の犯人を追い詰める中で、大人達の策略や醜さをどんどんと痛感していった。


お金や権力といった欲望が、支配された末端の人間を死に追いやり、あってはならない事が次々と起こる。



正義は悪とされ悪は正義と見せられ、何を良しとするのか、、、もう全てがめちゃくちゃな世の中だと感じざるを得ない…




〜ドバイ ヨシモトを追うタケシ達〜



クドウ「高速を降りるぞ!ここはかなり民間人が多い!銃撃戦になるとマズイ!」


タケシ「人混みに逃げる気ですね、、、クドウさん達は一度引いて下さい!ドローンで車両を追尾していますので、作戦を立て直しましょう!」



ユウ「ヨシモトの車両を追尾継続!高速を降りて建物に入るぞ!」


ショウ「高層ビル?ホテルか!?」


ユウ「地下駐車場に入ったぞ!」



クドウはヨシモトの入ったビルを見て愕然とした


クドウ「これはマズイな…」



ヨシモトを追い詰めたと僕たちは思ったが…クドウさん達はかなり深刻そうな様子だった




つづく





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
よろしければ広告下の【☆☆☆☆☆】より評価、又はブックマークしていただけましたら、創作活動の大きな励みになります! 素人なのでコメントにて感想やご意見など頂けるととても嬉しいです!よろしくお願いします^_^
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ