86/116
フィルイン
眠り続ける舞姫の寝顔を見つめ、ふーっとため息が出る。
ー送りつけた請求書に対して、どう反応するものか・・・
楽しくなってきたわい
静寂の中、どこかで獣の吠える声がした。
すっと掛布を引き上げると、わずかな隙間から月の光が差し込む。
ーこよいの月の光は、また一段とまぶしきこと!
するりと背の高い影が外に抜け出し、月明かりの中に溶け出していく
突き進んだ影は、
一本の銀白色の大樹の下で止まる。
そこには、銀鈴色の艶やかな毛を持つ数匹の獣が控えていた。
「大樹の護り、ご苦労様。
今宵は月のあかりがまぶしきこと。
一差し舞奏でてみようかのう・・・」
“ワフ~ン”
尻尾をふり、歓迎のい意を示す。
舞が始まる。
静寂の衣をまとい、月明かりの中を銀鈴の残像を残しながら・・・
たわわに実る実が熟すまでもう少し。
収穫の重責を担う彼らは、果たして・・・・
ふと舞を止め、とても大切なことに気がついた。
「あのこたち、わんこ(銀鈴狼)平気だったかしら?」
“ワフ?”
精霊にとってはわんこでも、人にとってはそれは、熊のようなおおきさの狼であった・・・




