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後奏17
突きつけられた請求書には、手紙が付いていた。
手紙を読んだ世継ぎの君は、妙な顔をして黙り込んでしまった。
「・・・あの、兄上、何て書いてあるのですか?」
薬草師おばばの性格の悪さを知るハルフォードは、
とてつもない要求をされたのではないかと心配し尋ねた。
「意味が分からない」
「?」
「代金を支払う代わりに、お前とリリア孃をしばらく貸し出せ、
と書いてある。
リリア孃とは、誰のことだ?」
「ハルフォード様が失神させた巫女姫さまのことでしょう」
ロイがグラディアスの疑問に答え、もう一つ付け加えた。
「それに、若君の婚約者候補の筆頭であらせられる方ですよ」
「「っえ!?」」
兄弟揃ってびっくりした顔を向けられ、側使えの青年は微苦笑を迎えながら
心の中で想うのだった。
ーおどろいた時の口を開けた間抜け顔は、本当にそっくりでいらっしゃいますね。
さすが!ご兄弟。
でも、少しこの状況は厄介かもしれませんね。
その時扉をたたく音がして、声がした。
「若君、少しよろしいでしょうか?
お話申し上げたいことがございます」
それは、領主夫人の声であった。




