後奏14
「あらあら、先客がいらしたのですか?
それに、もうお知りになったようですね」
「マルーカ様・・・」
戸口に立っていたのは御領主婦人だった。
「ミスカさん、とおっしゃったかしら。
まず落ち着きましょう!
お茶の用意をさせますから、そこにお座りになって。
ノア、支度をお願いいたしますね」
「はい、奥様」
ノアさんが席をはずしている間、取りあえずリリアとミスカが並んで腰掛け
向かいにマルーカ様が腰掛けた。
ザアーザアーザアー。
外は、大雨。
雨音が気まずい静寂を埋めてくれる。
「あの、お気づきだったのですか?」
リリアがおずおず尋ねると、マルーカ様はにっこり笑ってお答えになった。
「気づいたのは、私ではありません。
ハルフォードです」
「ハルフォード様?」
「あなたを失神させたお馬鹿イケメンですわ」
「!」
思い出した!
控え室で出会った方のことだわ!
そこにタイミングよくノアさんがお茶の用意を整えて入ってきた。
「まず、お茶をいただいてから、詳しいお話をいたしましょう。
でも一つだけ、訂正いたしますわ。
舞姫さんは倒れたのではなく、ずっと眠っているだけだそうですわ」
その目覚めに自分が大きく関わってくることなど
予想だにできないリリアであった。




