後奏12
明るい朝の日差しに、心地よい目覚めを誘われる。
「ふあああ~、よく寝ましたわ。
さすがにこの寝具のおかげですわね」
そういって起き上がろうとしたとたん、足元に重みを感じた。
ふとみると、ノアさんがうつぶせで寝込んでいる。
「ノアさん、ノアさん。
起きて下さいませ。
もう朝ですよ」
ゆさゆさと優しく揺り起こすと、ノアさんが身じろぎをした。
ーこうして私もお姉様方に毎朝起こしていただいたものでした。
やっぱり帰りたい!
そう、真実をお話して、神殿に戻りましょう。
リリアがそう決心している間に、ノアさんは完全に目覚めたようだ。
「まあ、わたしったらすっかり眠りこけてしまいました。
申し訳ありません。
ずっとお目覚めにならなかったものですから、つい心配で・・・」
ノアさんは本当に優しい人だ。
見ず知らずの私に母親のような優しい心配りで接して下さる。
「ご心配をおかけして申し訳ありません。
それより、奥様に大切なお話があるのです。
取り次いでいただけますか?」
「おやすいご用ですよ。
それでは朝餉のしたくついでに取り次いで参りますね」
そういってノアさんは退室していった。
ーこれで、やっと神殿に帰れるわ。
気持ち同様、すっきりした朝の空の向こうに暗雲が立ちこめていた。
これから起きることを暗示しているかのように。




