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間奏29
いよいよ月神祭当日を迎えた。
街の中央広場には仮設の舞台が設けられ、その周りには
屋台が所狭しと並んでいる。
今日も俺たちは街のパトロールだ。
二人一組となり、中央広場を中心に担当が振り分けられている。
もちろん俺のパートナーは兄上だ、
「へえ~、月神祭ってこんなに賑やかなんだな!
おいしそうなものもたくさん売っているではないか」
珍しいそうにキョロキョロと周りを見回し、楽しそうな表情を浮かべている。
ー彼女もどこかで舞いを奉納するのだろうか。
きっと綺麗になっているのだろうなあ…
そこで、ふと心配になる。
ーもう、恋人がいるだろうか?
名前は思い出せないが、顔をみれば一目で分かる
自信があった。
ましてや、彼女が舞えば絶対見逃さない。
理由のない根拠。
“思い続ければ、必ず再会できる!”
「どうしたんだい、ハール。そんなにニヤニヤして。
私のことでも考えていたのかい?」
兄上の声で我に返る。
「違いますよ、俺は」
「えええええええん!!」
突然子どもの悲痛な鳴き声が飛び込んできた。俺と兄上は顔を見合わせうなづくと、
声のする方へ駈けだしていった。




