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間奏28
季節もそろそろ実りの時期を迎えようとしていた。
この頃になると、人々は浮かれ気味になってくる。
それは、月神祭がちかづくからだ。
年に一度、月が一年で一番美しく輝く満月の夜に
その祭りは行われる。
月神殿の巫女が、月の精霊に感謝を捧げるため
奉納宴がもようされるのである。
奉納されるのは、領域ごとで違う。
歌であったり、
楽器の演奏であったり、
舞いであったり。
ここ、赤の領地は,
竪琴の演奏が奉納される。
神殿の巫女の中に、竪琴の名手がいるらしく
他領の神殿からも教えを請いに巫女たちが訪れるそうだ。
人々の出入りもふえ,治安の悪化をふせぐため
騎士団の見習い生たちもかり出されることとなった。
兄上もおじい様に無理を言って参加していた。
「どうせこんな辺鄙な土地に,私の正体を知る者など
いるわけなかろう」
そう言って高をくくっていたことを後で後悔する事になろうとは
このとき予想だしてなかったのである。




