前奏5
「どこどこ?ねえ、いないじゃないの?」
「ちょっとまってください!!
そうせかされちゃあ、捜せないじゃないですか」
ここは領地境にある小さな町の中央広場。
町とはいえ、領地同士をつなぐ道が町を分断するように整備されているので
流通の要ともなっている。
両方の領地から思い思いの品が持ち寄られ、小さな市がたつのも風物となっている。
市に品物を出すのに、特別なルールはないがただ一つ条件がある。
お酒は売らない、飲まない、持ち込まない。
これさえ守れば子供でも店が出せる。
流通の要とはいえ、所詮規模はしれたもの。
町民も生活で手一杯なものも多く、こどもたちの社会勉強の場と小遣い稼ぎの場になっている。
もちろん大人も店を出しており、よく探せば掘り出し物に出会うチャンスがある。
月神殿の薬草師が見つけたお店も、偶然といえるもので
広場の隅にひっそりとおかれた薬草の数々がたまたまめに止まっただけの話だ。
目的のものはすでに手に入れていたのでひやかしに陳列された薬草をみていたところ
だんだんと目が釘付けとなっていった。
薬草の知識は先輩薬草師から教えられたり、神殿伝わる書物からまなんだもの。
生活に困らない程度の対処はできたが、より効果の出る薬草は手に入らないものが
多いというのが現状出会った。
ところがここに並んでいる薬草はみなほとんど手に入らない高価なものばかり。
その上きれいに煎じられているものが多く、王都でしか手に入らないとおもわれるものが
ほとんどただ当然で売られている。
「おねいさん、なんかお探しものかい?」
聞き慣れた声にふと顔を上げ、思わず思考が停止する。
そこにはいつも見慣れた妹分巫女そっくり同じ顔の少女がたっていた。
ただ違うのは、言葉が雑なのと着ている服が少しよれていたこと。
「…リリア、どうして?」
「りりあだあ?なんだいそれ、なまっちろい名!
御領主様のお嬢さんじゃあるまいしい…
勘違いしてんじゃねえの?」
姿はばっちしなのに,お口が残念な少女ールルカとの出会いだった。




