間奏6
おっかないおじさんは、彼女の育ての親で「おとおしゃまあ~♡」とよばれると
顔のパーツが一瞬で壊れるように破顔するのがすごく衝撃だった。
そして,彼女も俺と同じで母親がいなかった。
寂しくないのか?とたずねると
「どしてさびしいの?
おとしゃまも
おばばさまも
おにいたんも
それに、みんながいるもん!
あたちはしあわせだよ♡」
と,答えた。
ー俺のこともちゃんと加えてくれてる!
しかも3番目に
すごくすごく嬉しくて、すごくすごく幸せで。
かあ様がいなくなってぽっかり開いた心の穴を
彼女はみるみるうちにいっぱいにしてくれた。
そして、最もいやしてくれたものは、
彼女の舞い踊る姿だった。
生活費を稼ぐのに、それぞれが自分でできることをする。
小さくても、きちんと働く彼女。
幼くてかわいい舞は、みるものの顔を笑顔に、心をあたたきものに変えていく。
かく言う俺も、毎日舞をみるうちにいつの間にか心が安らいでいった。
「俺もなんかしたい!」
「んじゃ手拍子して」
パンパンパンパパンッパン、パンパンパンパパンッパン。
それにあわせて彼女が舞う。
単純なステップのくりかえし,極上の微笑みを振りまき、
観客は大満足で家路につく。
「ほれぼーず,お前の稼ぎ分だ。
大事に使えよ!」
長さんから渡された小銭5枚。
両手でぎゅっと握りしめた。
ーこれで明日、彼女へのプレゼントを買いにいこう!
高鳴る胸のドキドキで、眠れなかったその夜、
「おやすみ」
「おやすみ、おにいたん」
交わした会話、それが最後になるなんて夢にも思わなかった。




