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月下の舞姫と 堅物騎士の ラプソディ    作者: アニィアンニンドウフ
38/116

間奏6



おっかないおじさんは、彼女の育ての親で「おとおしゃまあ~♡」とよばれると

顔のパーツが一瞬で壊れるように破顔するのがすごく衝撃だった。


そして,彼女も俺と同じで母親がいなかった。


寂しくないのか?とたずねると

「どしてさびしいの?

 おとしゃまも

 おばばさまも

 おにいたんも

 それに、みんながいるもん!

 あたちはしあわせだよ♡」

と,答えた。


ー俺のこともちゃんと加えてくれてる!

 しかも3番目に


すごくすごく嬉しくて、すごくすごく幸せで。

かあ様がいなくなってぽっかり開いた心の穴を

彼女はみるみるうちにいっぱいにしてくれた。


そして、最もいやしてくれたものは、

彼女の舞い踊る姿だった。  


生活費を稼ぐのに、それぞれが自分でできることをする。

小さくても、きちんと働く彼女。

幼くてかわいい舞は、みるものの顔を笑顔に、心をあたたきものに変えていく。



かく言う俺も、毎日舞をみるうちにいつの間にか心が安らいでいった。



「俺もなんかしたい!」

「んじゃ手拍子して」

パンパンパンパパンッパン、パンパンパンパパンッパン。

それにあわせて彼女が舞う。

単純なステップのくりかえし,極上の微笑みを振りまき、

観客は大満足で家路につく。


「ほれぼーず,お前の稼ぎ分だ。

 大事に使えよ!」

長さんから渡された小銭5枚。

両手でぎゅっと握りしめた。


ーこれで明日、彼女へのプレゼントを買いにいこう!


高鳴る胸のドキドキで、眠れなかったその夜、

「おやすみ」

「おやすみ、おにいたん」


交わした会話、それが最後になるなんて夢にも思わなかった。



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