間奏1
「えぐっ、えぐっ、えぐっ・・・」
「ハール、ハール、泣かない、で。
・・・かあ様は、いつ、も・・・見守って、いま・・す・よ」
元々体の弱かった母は、無理がたたってとうとう重い病にかかってしまった。
薬代は高価で到底手に入るわけがない。
母子二人の生活は決して裕福とはいえなかったけれど、
俺にとって母の微笑みが何よりのご馳走だった。
泣き虫でヘタレだった俺は、久遠のせかいへ旅立っていこうとしている母を前に、
ただただ泣きじゃくるしかなかった。
そうして、母は、ー
近所の人が、皆で世話をやいてくれた。
母を見送り、俺は、町外れの孤児院で世話になることになった。
「ぼーず、お前が大人になって帰ってくるときまで、
この部屋はちゃんと管理しといてやるから」
そう言って大家のおじさんは、涙ながらに話しかけてくれた。
そうして、孤児院からの迎えの馬車を待っていると
向こうから物凄い勢いでこちらに駈けてくる騎馬が見えた。
それは、俺の少し手前で止まり、独りの男が慌てて降りてきて俺の方へ近づいてきた。
そうして、いきなり俺をぎゅっと抱きしめて言った。
「ようやく見つけた、我が愛し子よ!
寂しい思いをさせてすまなかった」
突然のことで俺の頭の中は真っ白になった。
(怖い、怖い、怖い!)
ガツン。
「っつ」
男に頭突きをくらまし包容がゆるんだすきに、俺は、脱兎のごとく駆け出した。
後ろから俺を呼ぶ声が聞こえたけれど、
俺は振り返ることなくめちゃくちゃには走った。
そうして、おきまりのごとく迷子になった。
日も来れ、途方にくれた俺は、見知らぬ家の軒したで腹の虫をキルキル泣かせながら
ただただうずくまっていた。
ーこのままかあ様のところに行こう!
そう考えていたとき
「おにいたん、迷子さん?」
かおをあげると、小さな二つの瞳が心配そうに俺の顔をじっとのぞき込んでいた。
それが、俺、ハルフォードとルルカとの運命の出会いだった。




