フィルイン
「おばば殿、ちょっといいか?」
ライガードが元気のない様子で、アストレラおばばのとこにやってきた。
「なんだい、しけた面しやがって。
陰気くさい長の相手はまっぴらごめんさ。
あっちへいっちまいな!!」
相変わらずの毒舌に、しょぼあおおんと肩を落としとぼとぼ去っていく背中に
爆弾を落とす。
「ルルカはお前さんを嫌って出て行っちまったのさ」
くるっと振り返った長の顔がますます青白くなり、限界まで開かれた目から
涙がこぼれ落ちそうになる寸前、
「嘘だよ、へたれ」
プシュウウウウウウン。
長のダマシイがぬけて出て行ったのが見えるようだった。
おばば特性の薬草茶を飲みながら、ぽそっとつぶやく。
「愛が足りなかったのかな…」
ふん、と鼻であざ笑うおばばから予想もしない言葉がでた。
「もうじき、あの子らに試練が訪れるよ」
「あの子ら?」
「バカ娘とそのかたわれさ」
「!」
「あの子は今、お前さんの妹とんとこにいる」
「エルのところに!!」
立ち上がろうとしたライガードの腕を握り引き止める。
「それよりも、大事なことがある。
不眠病が広がり始めたよ」
「バカな!!まだあれは覚醒していない!!」
いつもよりしかめっ面を深め、おばばは告げた。
「夢魔が復活する。それも、今までにないほど強力な奴が」
ライガードは言葉を失い、ただ呆然とするのみであった。




